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日本のAIビジネスは新局面へ向かうか、SOMPOとABEJAの資本提携が持つ意味

AI系のTechベンチャーとして注目を集めるABEJAが、損害保険大手SOMPOホールディングスと資本業務提携を発表した。両者の関係は日本のAIビジネスの新局面と見ることができる。

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 2021年4月、SOMPOホールディングス(以下、SOMPO)はAI(人工知能)ベンチャー企業のABEJAとの資本業務提携を発表した。SOMPOはABEJAの発行済み株式の21.9%を既存株主から譲り受けることで、ABEJAを関連会社化する。同時に、ABEJAはSOMPOから役員を受け入れる。

 SOMPOはABEJAの大株主になったわけが、ABEJAの既存株主の中にはベンチャーキャピタルやグーグル、NVIDIAなどのIT企業が複数存在する。2021年4月28日に開催された記者会見の場でABEJA代表取締役CEOの岡田陽介氏は「ABEJAがSOMPOに買収されたわけではない」と念を押す。資本業務提携によるシナジー強化はあるとはいえ、従来通りの独立性をは維持される。両者の狙い、今後のSOMPOのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の方向性を見ていく。

技術集団ABEJAと「リアルデータ資本」保有企業


ABEJA 岡田陽介氏

 岡田氏は、「ABEJAは社会課題の解決に当たって『実装する』ことに強いこだわりを持って取り組んでいる。たとえ技術が存在しても、それが社会に実装されていなければ、ないも同様だ」と語る。技術を持っていても、技術を生かせるデータセットがなければ価値を生み出しにくい。この点で、SOMPOと組むことで、「技術を実装できる基盤がそろった」と今回の資本業務提携の意義を説明する。

 ともあれ伝統的日本企業とTech系スタートアップ企業との協業ではしばしば企業文化や組織のマインドの違いがしばしば課題となる。この点において、今回の提携はそれらとは性質が異なる点が多いようだ。

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