ニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX」とは ―― 三菱地所の挑戦:Weekly Memo(1/2 ページ)
不動産大手の三菱地所がニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX」に挑んでいる。果たしてどんな取り組みか。同社の発表会見から探ってみたい。
不動産大手の三菱地所が2021年6月23日、「デジタル化の先にある 新しい暮らしと街づくり」を目指す「三菱地所デジタルビジョン」を策定したと発表した。いわば、ニューノーマル時代に向けた「街づくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組もうというものだ。その内容とともに策定プロセスが興味深かったので、今回はこの話題を取り上げたい。
個人の生活導線上の物理的接点を豊富に保持する強みをDXに生かす
三菱地所といえば、東京の大手町や丸の内、有楽町エリア(以下、大丸有)や横浜みなとみらいエリアの不動産を長年に渡って開発し運営してきたことで知られるが、他にもさまざまな不動産に関わっていることから、同社には興味深い強みがある。
それは図1に示すように、「個人の生活導線上の物理的接点を豊富に保持」していることだ。例えば、大丸有エリアの就業者数が約28万人、駅乗車人数が年間約4.2億人といった具合である。
この強みが、ひいては三菱地所デジタルビジョンのベースになるが、その前にリアルとデジタルについての同社の捉え方を明確にしておこう。
会見で説明に立った同社の太田 清氏(DX推進部部長)は図2を挙げ、「これまではリアルにデジタルが一部かかっていた状態だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、今や個人にとってはリアルがデジタルの一要素になっている」との見方を示した。従って、三菱地所デジタルビジョンもこの捉え方に基づいて策定されている。
では、リアルがデジタルの一要素になることで、個人の活動はどのように変化するのか。
三菱地所が街を舞台にOMOを考えるとどうなるか
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- 「スマートシティ」からビジネスをどう創る? PwCが説く「都市DX」の勘所
都市のDX、ひいては社会そのもののDXともいえる「スマートシティ」は、果たしてビジネスモデルとして成り立つのか。PwCアドバイザリーの解説をもとに考察したい。 - 必要ならビルの“役割”さえ作り変える 新常態のDX、鹿島が建設業界の外まで広げるビジョンは
ビルや共用施設などの建設からスマートシティ事業まで、多彩なDXに取り組むのが鹿島建設だ。建設工程の自動化や建物のエネルギー消費の最適化などにデジタル技術で挑む同社の意図と、コロナ禍で経験したDX事業そのものの変化を聞いた。 - NTTデータ、スマートシティ化を支援する新ブランド「SocietyOS」を発表
NTTデータは、スマートシティの実現に向けた新ブランド「SocietyOS」を創設した。米ラスベガス市のスマートシティ化で得た知見を生かして、地域に合った都市機能やサービスを生活者視点で価値創出する。 - データ活用によるオープンイノベーションでビジネス価値創出を支援――「丸の内データコンソーシアム」が設立
三菱地所と富士通は、業種を超えたデータ活用で新たな価値や新事業の創出を目指す「丸の内データコンソーシアム」を設立。参画する企業や組織が、アイデア創出からフィールド検証まで一貫して取り組めるように多角的に支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.