倉庫DXで“20年前の技術”が大活躍 DHLや物流、小売りが続々導入する理由:Supply Chain Dive
コロナ禍で打撃を受けた倉庫作業の現場で、センサー技術と自動化技術が急速に普及しつつある。初めて市場に登場した90年代には広まらなかった技術に何が起こったのか。また、市場関係者が期待するという、単なる効率化を超えた導入効果とは何なのか。
サプライチェーン業界に変革を起こした技術の重要なツートップが、センサー技術と自動識別技術だ。
RFIDタグやRFIDスキャナー、バーコード、QRコード、ハンディターミナルやバーコードスキャナーなどの装置が普及したことで、サプライチェーンからリアルタイムでデータを生成し、可視化できるようになった。ドローンや自律制御ロボットの登場により、倉庫作業の自動化も進んでいる。
Deloitteのクリス・リーマン氏(サプライチェーンおよびネットワーク運用担当 マネージングディレクター)は、これらの技術が「(普及まで)長い道のりを歩んできた」と話す。
倉庫業務を大きく変革 1枚数十円のタグがもたらす“効率化以上”の効果とは
企業の倉庫にセンサー技術と自動識別技術が広く導入されるようになったきっかけは、コロナ禍が引き起こした前例のない労働力不足だ。これまで概念だけは共有されていた自動型の倉庫を実現しようと、多くの企業が技術に投資しはじめたという。
北米で物流やサプライチェーンの情報を扱う業界団体のMaterial Handling Industry(MHI)は、Deloitteと共同で全世界のサプライチェーンの専門家1000人以上を対象に調査した結果を年次レポート「2021 MHI Annual Industry Report―Innovation Driven Resilience」として発表した(注)。その中で「センサー技術および自動識別技術への投資を増やしている(または大幅に増やしている)」と回答した企業の割合が52%に達したことが明らかになった。同様の技術について「現在使用している」(42%)「1〜2年以内に採用する予定」(27%)との回答も目立った。
リーマン氏は「(センサー技術と自動識別技術の)普及を押し進めた要因は2つある」と話す。
関連記事
- 生産ライン維持の“努力”がリコールの引き金に? 悪夢から大手メーカーを救ったDX
「製品の需要が跳ね上がった」「部品の製造元が被災し、供給が間に合わない」――製品の生産ラインや供給ペースが突然乱れてしまったとき、何とか材料を調達しようと奔走するのは当然のことだ。ただしそうした「とっさの対応」が大規模なリコールの危機を招いた企業の例がある。同社を救ったのは、あるデジタル技術だった。 - 企業秘密レベルの集荷、配送技術をクラウドで 超大手スーパー、Adobeと共創する新ビジネス
WalmartはAdobeと協業し、小売事業者向けにオンラインと実店舗の両方を使って商品をスムーズに配送できるサービス群を提供すると発表した。開始時期は2022年を予定している。クラウドを通して使え、Walmartの配送ノウハウとAdobeの技術を生かしたという内容とは。 - 「店舗や倉庫はそのまま」でスーパーのオンライン化や配達を支援 ロボット企業が共創する新サービス
消費者が必要な日用品をオンラインで購入し、戸口まで配達してもらう――、そんな買い物のニーズがコロナ禍で成長している。消費者のニーズに応えたいスーパーや食料品店向けに、米国で成長中のオンライン買い物代行サービス「Instacart」がロボティクス企業と一緒に在庫管理ソリューションを共創すると発表した。その中身と今後の可能性は。
© Industry Dive. All rights reserved.