TISは2022年1月12日、人工知能(AI)が組み込まれたSAPの次世代ERP「SAP S/4HANA」導入を検討する企業向けに新サービス「プロセスマイニングサービス」提供すると発表した。
同サービスは業務プロセスを機械的に可視化し、問題のあるプロセスを顕在化する。
「変化するビジネスモデルに基幹システムが追い付かない」問題を解決
同サービスは、Celonisのプロセスマイニングツール「Celonis Execution Management System」(Celonis EMS)を利用して、TISのコンサルタントが「SAP ERP」を含めた各システムのイベントログから業務プロセスを分析し、業務とシステムの両面から改善を提案する。
プロセスマイニングとは、システムのイベントログから業務プロセスを可視化し、課題や改善ポイントを分析する手法を指す。TISは「ERP導入後に変化したビジネスモデルに基幹業務システムが追い付いていないと感じる顧客が増加していると認識し、今回のサービス提供に至った」としている。
プロセスマイニングサービスでは、まずデータ抽出用ABAPプログラムを利用してSAP ERPから分析対象の業務プロセスデータを抽出し、Celonis環境に取り込む。同社によると、SAP ERPのようにプロセスが正規化されたパッケージ製品には一定ルールで業務プロセスの記録が蓄積されるため、スピード感のあるプロセス可視化と業務改善が可能だ。
同社は、現行のSAP ERPに対してプロセスマイニングを実施する2つのサービスプランを用意する。
業務プロセス可視化、分析サービス
あらかじめ業務プロセスに対する課題を想定した上で現行のERPシステムにプロセスマイニングを実施し、業務プロセスの問題点やボトルネック、例外処理などを明らかにする。
業務プロセス改善フォロー
顧客向けに業務プロセスの可視化や分析を実施する。分析環境を1年間維持した後に、再びプロセスを可視化、分析し、設定した課題に対する改善状況を確認する。新たに問題点などが発生していないかどうかも調査する。
TISは、プロセスを分析するコンサルタントはSAPに精通しており、データの意味を理解した上で分析やディスカッションを実施できるとしている。
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