DX推進「出島」方式はなぜ消えた? 失敗があぶり出した経営と現場の温度差:Weekly Memo(1/2 ページ)
全社でDXに取り組み始めたものの、どうすれば成果を挙げられるのか。こんな暗中模索の企業も少なくないのではないか。日本IBMのDXコンサルタントから聞いた話を基に、その解決策について考察したい。
「会社を挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み始めたが、どうすれば成果をしっかりと上げていけるのか」――最近、企業の経営トップから、こんな話を聞いた。すなわち、経営課題としてDXを掲げて全社的に動き始めたものの、成果を挙げる手だてを講じることができているかどうか不安があるというわけだ。
経営トップの肝いりで作った「出島」はどうなったのか
そんな折、日本IBMが2022年4月14〜15日にオンラインで開催した「The DX Forum」のセッションでこうした不安を解決に導いてくれそうな話を聞いたので、本稿ではその内容を基に考察したい。
話を聞いたのは、同社 常務執行役員IBMコンサルティング事業本部ビジネス・トランスフォーメーション・サービス事業部長の松尾美枝氏と同事業部パートナーの石田秀樹氏によるセッションだ。話の中から特に「どうすればDXで成果を挙げられるのか」にフォーカスして、以下からは両氏の解説をダイジェストで紹介していく。
まず、企業がDXに取り組む際、経営トップ直下の横断組織として「デジタルイノベーション推進室」といったDX推進の専任組織を設けるケースが多いのではないだろうか。この組織についてはひと頃「出島」とも呼ばれて注目されたが、果たしてその後、この出島はそれぞれの企業でどうなったか。
実は、経営トップの肝いりで出島は作ったものの、現業の組織である事業部や管理部門からは遠い存在のまま、DXの掛け声だけがむなしく響いているケースが少なくない。
なぜ、そうなってしまうのか。必ずしも出島そのものが悪いわけではない。
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