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富士通とNECの最新受注状況からみる業種別IT需要動向の行方:Weekly Memo(1/2 ページ)
経済環境がさまざまな影響で変化する中、国内のエンタープライズIT需要は今後どう動くか。富士通とNECの最新受注状況から業種ごとに探ってみたい。
国内のエンタープライズIT市場は、DX(デジタルトランスフォーメーション)需要が高まる一方、コロナ禍が続き、ロシアのウクライナ侵攻による影響も懸念される。今後の市場はどう動くのか。それを探るため、国内ITサービス事業者の代表格である富士通とNECが2022年4月28日に相次いで発表した2021年度(2022年3月期)通期および第4四半期(2022年1〜3月期)の決算から、業種別も踏まえた受注状況に注目してみた。
富士通の受注状況はDX需要の高まりで明るい兆し
富士通の決算会見では、社長の時田隆仁氏と執行役員SEVP/CFOの磯部武司氏が説明した。時田氏は今後の国内での事業展開に向けて「社会を支える基盤システムのDX化を促進するとともに、ソリューションビジネスをさらに強化していきたい」と述べた。
同社が明らかにした受注状況は、全体では通期で前年比97%、第4四半期で同95%にとどまった。事業分野別では「ファイナンス&リテール」(金融・小売)が通期で同103%、第4四半期で同104%、「エンタープライズ」(産業・流通)が通期で同99%、第4四半期で同102%と堅調に推移したものの、「Japanリージョン」(官公庁・社会基盤など)が通期で同96%、第4四半期で同91%、「富士通Japan」(自治体・ヘルスケア・文教・中堅民需)が通期で同90%、第4四半期で同87%と振るわなかったのが全体の結果に影響した(表1)。
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