特集
中国のブロックチェーン活用事例は世界とは違う? 中国が目指す未来の世界とは
暗号資産取引を2021年に「全面禁止」した中国だが、ブロックチェーンの社会実装は進んでいるようだ。世界各国とは違う形で進化する中国のブロックチェーン事情を解説する。
中国でブロックチェーンを活用したデータ提供を手掛けるClippers DigiTechの設立者、夏 平氏が2022年6月22日、日本ブロックチェーン協会主催のセミナーで「中国におけるブロックチェーンの現状と今後の展望」について語った。
中国におけるブロックチェーンの歴史
夏氏は、中国におけるブロックチェーンの歴史はテンセントが2007年に発表した「Qコイン」から始まったと話す。Qコインは発行元を持たない「Bitcoin」などとは異なり、テンセントが発行するデジタルポイントのようなサービスだ。中国政府はQコインの誕生により、将来的に「デジタルマネー」のようなサービスが中国政府にとって脅威になる可能性があると認識し、2007年のQコイン発行直後に金融規制を強めた。
また2013年以降、暗号資産に関する取引の規制も強化され、2021年には暗号資産の取引が全面禁止となった。
夏氏によると、中国政府が暗号資産領域の規制を強める理由は2つある。
1つ目が「規制の隙間」を生まないためだ。暗号資産誕生以前より金融業界に厳しく対応していた中国政府は、暗号資産によってこれらの規制に隙間やほころびが生まれることを強く警戒しているという。成長段階である暗号資産領域は新たなサービスが次々と誕生し、それらに追随して規制をかけることは容易ではないため、暗号資産を全面禁止にするしかないというのが中国政府の見解のようだ。
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