Rippleのゴールは国際送金の低コスト化と時間短縮だけじゃない 本当の目標をVP吉川氏に聞いた
国際送金システムを手掛けるRippleは暗号資産XRPを活用したサービスを世界で展開する。その先には国際送金の低コスト化だけではない、大きなゴールがあるようだ。
Rippleの重要なコア施策は「RippleNet」と「Ripple Liquidity Hub」というサービスだ。RippleNetは暗号資産XRPをブリッジとして利用する国際送金の基盤となっており、国際送金にかかるコストの削減と時間の短縮を実現する。Ripple Liquidity Hubは暗号資産の流動性を確保するための企業向けのサービスで、ユーザーの暗号資産へのシームレスなアクセスを実現する。その施策内容とRippleが目指す未来の形をストラテジー及びオペレーション担当バイスプレジデントの吉川絵美氏に聞いた。
RippleNetで実現する未来
従来の金融機関における海外送金は高い手数料と時間を要した。Rippleが提供するRippleNetは仲介役を必要とせず、低コストでリアルタイムな取引を実現する。このRippleNetを基盤に国際送金をリアルタイム化するサービスが「ODL」(On-Demand Liquidity)だ。ODLはRippleNet上で暗号通貨「XRP」をブリッジ通貨として利用することで送金コストと時間を削減するサービスだ。
ODLは「小口で高頻度な送金」を得意とする。これまで国際送金は各国の金融機関が加盟する「SWIFT」(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication、国際銀行間金融通信協会)が提供するサービスが使われてきた。しかしSWIFTは大口の送金には向くものの、トランザクションの多い少額かつ高頻度の送金には不向きだった。現時点でODLは「海外で働き、母国に送金する出稼ぎのケース」など主に個人を対象としてサービス拡大を図っているが、今後は企業取引にかかわる送金などにもユーザー層を広げる予定だ。
吉川氏は「ODLはメキシコやフィリピンなど限られて地域で使われてきたが、現在は東南アジア地域を中心に拡大している。Rippleは2015年頃からRippleNetの構築を開始し、ODLを使った送金額は構築直後と比べて10倍以上に成長を遂げている」とODLの現状を話す。
Ripple Liquidity Hubは暗号資産サービスのインフラになるか
Rippleは2022年に企業顧客向けのソリューションであるRipple Liquidity Hubの提供を開始する予定だ。顧客は同サービスを利用することで、マーケットメーカーや取引所、OTCデスク(相対取引)、将来的には分散型取引所を含むさまざまなグローバルな取引チャネルを通じて、暗号資産にシームレスにアクセスできる。
Ripple Liquidity Hubの特徴は3つだ。
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