「リスキリングは学び直しではなく経営課題だ」 今、リスキリングが注目される理由を探る:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業がDXに取り組む中で従業員の「リスキリング」が注目されるようになってきた。なぜか。ベネッセコポレーションの話を基に解き明かす。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中で、従業員が必要なスキルを習得する「リスキリング」への注目度が高まっている。なぜ、この言葉がDXのキーワードになりつつあるのか。ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が2022年8月4日にオンライン開催したメディアセミナーにおいて教育・学習の視点から解説した内容を基に解き明かしたい。
リスキリングは企業が経営課題を解決するための“打ち手”
ベネッセの飯田智紀氏(社会人教育事業部 部長)は、リスキリングが注目される背景について次のように話した。
「ここ数年、企業は、働き方の改革や自律型人材の増強、DXやGX(グリーントランスフォーメーション)、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)といったトランスフォーメーション(変革)推進の課題に直面しており、それらに対応していくために従業員のリスキリングの必要性が高まってきた。また、人材を“資本”として捉えてその価値を最大限引き出すことで企業価値の向上につなげる『人的資本経営』が注目されるようになってきた」
さらに、同氏はこう続けた。
「そうした背景から、企業は今、人材育成戦略の見直しが求められている。その中で、リスキリングはまさしく経営課題として取り組む重要性が高まってきている」(図1)
「リスキリングは経営課題」と強調した飯田氏は、改めてリスキリングの意味について次のように説明した。
「メディアでは『学び直し』あるいは『大人の学び』との説明をよく見かけるが、スキルというと日本人は『スキルアップ』という言葉を想起するケースが多いのではないか。これに対し、リスキリングは現在保持するスキルを引き続き磨きながら、新しいスキルを身に付けていくものだ。学び直しというよりは『学び足す』という意味合いだ。今はデジタル技術が学びの対象となっている」(図2)
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