リアルタイムなプランニングをいかに実現するか 製品需要計画の最適化を図る「Amazon Forecast」
AWSは、「Amazon Forecast」で顧客需要を予測することで、製品需要計画を最適化できるとしている。予測モデルからのアウトプットをビジネスプランニングで利用することは容易ではないという問題がある中で、Amazon Forecastはどのようにして需要計画を最適化するのか。
Amazon Web Services(AWS)は2022年8月22日(現地時間)、「『Amazon Forecast』で顧客需要を予測することで製品需要計画を最適化できる」と同社のブログで述べた。
MLによる予測に対する3つのニーズ
AWSは「企業は戦略から業務に至るまで、事業部門は事業活動全体で計画を最適化し、より多くの人の意思決定を支援するためにリアルタイムなプランニング環境を必要としている」と考えている。しかし、予測モデルからのアウトプットをビジネスプランニングで利用することは容易ではないという。
ビジネスプランニングチームが動的に計画を作成するためには、「需要パターンの発見や、人と機械学習のインテリジェンスを組み合わせた需要予測、チームがビジネスパフォーマンス目標を達成できるようにすること」が必要だとAWSは指摘する。
例えば、製造業はコストと顧客サービスのバランスを取りながら、予測プロセスを通じて顧客需要を予測する必要がある。しかし、顧客の購買意欲を高める要因は明確さに欠け、価格やプロモーション、プロダクトミックス、配置、プロセスなどの影響を可視化できる範囲が限られている。また、営業や販売パートナー、オペレーションを連携させて望ましい結果を導き出すことは簡単ではない。
売り上げ予測に基づいた需要計算における問題点は、予測が正確なセールスファネル(顧客が商材を契約し、購入に至るまでのプロセス)から発展したものではないところにある。別のアプローチとして「オペレーション評価」もあるが、「これは過去の生産要件に依存し、動的な市場の変化を考慮できない点が問題だ」とAWSは述べる。MLや統計アルゴリズムに基づく予測ツールを使用する方法もある。しかし、このアプローチは計画プロセスから切り離されており、予測プロセスの実行に多大な労力とデータサイエンティストのような専門技術の知識を必要とする。
こうした課題が原因で、製品の生産数量に関するミスが起きる。在庫が不足すれば収益の損失を招き、過剰在庫になれば値下げが発生する。需要計画の予測ミスは、顧客満足度の低下にもつながる。
こうした課題がある中、AWSは「『Amazon Forecast』で顧客需要を予測することで製品需要計画を最適化できる」と述べる。Amazon Forecastは、機械学習(ML)による需要予測機能だ。「Amazon.com」で使われているのと同じ技術に基づき、MLを使って時系列データと追加の属性情報を組み合わせて予測する。
AWSは、MLによる予測をビジネスに取り入れる上で、次の3つの重要なニーズがあると指摘する。
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