NRIがタイでサプライチェーンにおけるCO2排出量データ共有の実証実験 配送トラックの実測値を活用
野村総合研究所とNRIタイは、タイのサイアム・セメント・グループロジスティクスマネジメントとともに、CO2排出量のスコープ3カテゴリの集計とデータ共有に関する実証実験を実施する。ASEAN地域の物流サービスを対象に、配送トラックの燃料消費量や走行距離などの実測値と自社開発したカーボントレーシングシステム「NRI-CTS」を活用する。
野村総合研究所(以下、NRI)と野村総合研究所タイ(以下、NRIタイ)は2022年9月14日、タイの製造業最大手サイアム・セメント・グループの物流事業会社SCG Logistics Management(以下、SCGL)をパートナーとして、同社が使用する配送トラックの走行距離などの実測値に基づいた物流サービスにおけるCO2排出量の集計とデータ連携に関する実証実験を2022年9〜12月に実施すると発表した。
今回の実証実験は、日本貿易振興機構(以下、JETRO)が主宰する「日ASEANにおけるアジアDX促進事業(第3回)」のプロジェクトとして実施される。同プロジェクトは、日本企業と現地企業との協働によって日本とASEANが一体となってデジタルイノベーションの社会実装を進めるとともに、日本とASEANの経済産業協力関係を強化することを目的としている。
実測値とNRI-CTSでスコープ3排出量の集計とスコープ3データの共有を実証
脱炭素経営に向けた取り組みの一つとして、企業は自社およびサプライチェーン(供給網)におけるGHG(温室効果ガス)排出量の開示が求められている。企業は「GHGプロトコル」に準拠して、自社および取引先の排出量を3つのカテゴリー(スコープ1、2、3)(注1)に分類して算出する必要がある。
自社の事業に関わる取引先からの部品や原料の調達に伴う排出量に該当するスコープ3の算出には、サプライチェーンの各社から情報を入手して集約、集計する手間がかかり、業務負荷が高まる。集計を行う単位が企業単位から製品、サービス単位と細かくなることで、計算ロジックが複雑になったり排出原単位に基づく計算では削減効果が反映しにくくなったりするなどの課題が生じている。
これに対し、NRIは「各社のスコープ1の集合体が取引先関係のスコープ3になる」という考えのもと、「実測値に基づいて各社のスコープ1をサプライチェーンでつなぐ」というコンセプトでサプライチェーンにおけるGHG排出量情報を追跡する「NRI-CTS」(カーボントレーシングシステム)のプロトタイプを開発した。NRIは「NRI-CTS」が各国、各業界の特性に対応できるよう概念実証(PoC)を行っており、今回のプロジェクトもこの取り組みの一環として実施する。
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