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KDDIがスペースXの衛星ブローバンドを契約 自然災害時にもネットワークを提供へ
山間部や島しょ地域の多い日本では、通信環境の構築が課題となってきた。近年激甚化している自然災害発生時に機能する通信環境も必要とされている。KDDIはスペースXと「Starlink」提供に関する契約を締結し、山間部や島しょ、あるいは自然災害発生時に通信を必要とする企業や自治体に、Starlinkのネットワークを提供する。
KDDIは2022年10月12日、Space Exploration Technologies(スペースX)と「Starlink」提供に関する契約を締結したと発表した。
従来の静止軌道衛星よりも高速伝送、低遅延
今回の契約は、両社が2021年9月に契約したau基地局のバックホール回線へのStarlinkの利用に続く合意だ。KDDIは2022年内の提供開始を目指す。
Starlinkは、高度550キロの低軌道上に配置された通信衛星を利用する衛星ブロードバンドインターネットだ。従来の静止軌道(高度約3万6000キロ)衛星と比べて地表からの距離が65分の1程度と短いため、高速伝送と低遅延の衛星ブロードバンドインターネットを提供できるとしている。2020年に海外でのサービスが開始し、2022年夏から海上向けサービスも提供を開始している。
KDDIは2021年から国内でStarlinkの技術検証に取り組んできた。au基地局のバックホール回線への利用を含めて、サービス品質と性能の実証を行ってきた。今回の契約によって同社は「認定Starlinkインテグレーター」として、国内の山間部や島しょ地域、自然災害時などに安定で高信頼な通信を必要とする企業や自治体にStarlinkのネットワークを提供する。
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