「5年後、メタバースはビジネスの主流になる」――NTTデータの見解を支える“2つのカギ”:Weekly Memo(1/2 ページ)
バズワードになり巨額の投資が集まる一方で、世の中にどのようなインパクトを与えるのかは未知数なメタバース。ビジネスやワークスタイルにメタバースがどんなインパクトをもたらすのか、NTTデータの見解から探ってみたい。
「メタバースの利用はビジネスやワークスタイルにおいて早ければ5年後、主流になる可能性がある」
NTTデータの山田達司氏(技術開発本部イノベーションセンタ シニア・スペシャリスト)に、同社が2022年10月26日開催した仮想空間「メタバース」についての記者説明会後に個別取材した。ビジネスやワークスタイルにおけるメタバース利用のインパクトについて聞いた筆者の質問に同氏はこう答えた。
メタバース利用拡大の“2つのカギ”
今やバズワードとなったメタバースだが、その利用の広がりについては懐疑的な見方も多い。だが、この分野のエキスパートによる冒頭の発言は、むしろウカウカしているとトレンドに乗り遅れてしまいかねないことを意味している。山田氏が説明会でメタバースについて解説していた内容が分かりやすく興味深かったので、以下にそのエッセンスを紹介しよう。
メタバースの定義について、山田氏は「現時点ではさまざまな定義が存在している」と前置きした上で、次の5点が共通認識になりつつあると述べた。
- 物理世界がシミュレーションされ、実世界との融合が可能なサイバー空間
- アイデンティティーを反映したアバターで参加し、他のユーザーと空間を共有可能
- 経済活動が存在する
- ユーザーがアイテムなどを構築可能
- 高い没入感を持つことが可能
メタバースで現在利用されているサービスは「コンテンツ鑑賞」「イベント開催」「ミラーワールド」「マルチプレイヤーゲーム」「不動産内覧」「オンライン会議」などに分類できる(図1)。
市場規模について山田氏は「グローバルで2020年に約476億ドル(約5.5兆円)、それが2028年には8289億ドル(約95兆円)になるとの予測がある。将来的に約8兆ドル(約920兆円)と1000兆円近くの予測数値もある」と説明した。「ただ、こうした予測数値については、懐疑的な見方も少なくない」とも述べた。
なぜ、メタバースは今、注目されているのか。山田氏は「VR(仮想現実)やゲームを利用したさまざまなメタバースが登場するとともに、イベントやコンサートなどが開催されて人気を呼んでる」ことや、「FacebookがMetaと社名変更し、年間で1兆円を投資するなどメタバース事業に注力することを表明した」ことなどを挙げた。
ただ、こうした動きを見ても、メタバースが世の中にどんなインパクトを与えるのか、分からない人が多いのではないか。山田氏は「カギとなるのはXR(クロスリアリティー)技術とそれを採用したデバイスだ」と強調した。
XRとはVRやAR(拡張現実)などの技術の総称だ。VRデバイスはすでにゲーム機のグローバル市場で2021年に20兆円規模に達しており、ゲーム機の新しいスタイルとして定着している。
なぜ、XRがカギになるのか。山田氏はその根拠の一つとして、Metaが先日開いた開発者向けイベント「Meta Connect 2022」で、「XRデバイスはゲームからSNS、ワークツールへと広がり、最終的には汎用(はんよう)的なコンピューティングデバイスになっていく」とのメッセージを発信したことを挙げた(図2)。
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