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MicrosoftとOracleが協業 双方が目指す未来(2/2 ページ)

クラウドベンダーの協業が進む。日本マイクロソフトと日本オラクルも協業を発表したが、これによって何が実現されるのだろうか。また、協業の背景と双方が目指す目標を聞いた。

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OracleはMicrosoftとの協業で何を目指すのか


竹爪慎治氏

 今回の協業に関して、「OracleのCTO(最高技術責任者)であるラリー・エリソン氏が『Oracle CloudWorld 2022』で『クラウドベンダーのビジネスというのはユーザーの囲い込みの域を出ていない』と話しました。私たちはこの”壁”を無くし、新たな価値を提供していきたいと思っています」と話すのは日本オラクルの竹爪慎治氏(常務執行役員 クラウド事業統括)だ。

 同氏は「新たな価値」を提供するために「Open Multi-Cloud Ecosystem」が重要になると言及し、以下のように説明した。

 「Oracleはこれまで、『一つのベンダーで全てを提供する』という姿勢が強かったかもしれない。一方で、クラウドに関しては他のベンダーと連携しながら、われわれからオープンに取り組むことが重要です。実際に今回の協業でも他のベンダーがまずは利便性を享受できるようになっています。それによって、マルチクラウドのメリットである『あらゆる場所での利用』『さまざまなクラウドとのシームレスな連携』などを実現でき、より多くの選択肢をユーザーに提供できます」(竹爪氏)

 同氏は今回の協業の最大の意義として「Microsoftと共に、われわれが目指すコンセプトを体現する製品を提供できることです」と話すが、Oracleの戦略の中でマルチクラウドはどのようなポジションにあるのだろうか。

 Oracleはユーザーに価値を提供するために「包括的な分散クラウド」を軸とした戦略を取っており、その中には「マルチクラウド」「パブリック・クラウド」「ハイブリッド・クラウド」「専用クラウド」の4つが存在する。

 「マルチクラウドはこれら4つの重要な柱の一つです。マルチクラウドではMicrosoftと、パブリック・クラウドではVMwareやRed Hatとの協業を推進しています」(竹爪氏)


図4 Oracleの分散クラウド戦略(出典:日本オラクル提供資料)

 今回のMirosoftとの協業で実現したサービスが「Oracle Database Service for Azure」だ。これを利用することで、AzureからOCI上のサービスを利用できるようになる。また、AzureのポータルからシームレスにOracleのデータベースを設定したり運用監視したりすることが可能だ。さらに、両リージョン間では低レイテンシなネットワークを無償で提供するため、ユーザーのコスト削減も期待できる。

 「このようなサービスを通して、クラウドベンダー間の管理やリージョン間の相互接続性、データのガバナンスなどの課題解決を目指します。またユーザーのコスト削減やビジネスのアジリティをサポートしていきます」(竹爪氏)


図5 Oracle Database Service for Azure(出典:日本オラクル提供資料)

 グローバルではMicrosoftとOracleは2019年より協業しており、現時点で12のリーションまで広がっている。クラウドユーザーにとって、ベンダーに関係なく柔軟にサービスを使用できることが望ましいのは事実で、実際に竹爪氏も「今後もエコシステムを拡大し、ユーザーにおける真のクラウドのモダナイゼーションを実現したい」と語った。両社の取り組みはユーザーの「真のイノベーション」を推進するのか。今後に期待だ。


説明を行った両氏
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