「ChatGPT」は業務をどう変えるのか?――AI専門家が明らかにする「4つの活用例」と今後の可能性:Weekly Memo(1/2 ページ)
話題沸騰の対話型AI「ChatGPT」。チャット利用から火がついたこの技術は、今後、業務にどう使われていくのか。AI専門家の話から具体的に読み解きたい。
「この勉強会の内容もChatGPTに決めてもらった」
AIなどのソフトウェア開発を手掛けるアステリアでエバンジェリストを務める森 一弥氏は、同社が2023年3月3日にオンラインで開いたメディアおよび機関投資家向けの「ChatGPT勉強会」でこう切り出した(図1)。
チャットだけではない ChatGPTの使用法とは
2022年11月に公開された対話型AI「ChatGPT」が話題だ。利用者の問いかけに対して、日本語も含めて自然な回答を返してくれるAI(人工知能)によるチャットサービスで、アカウントを作成すれば誰でも無料で使えることから一気に注目が集まった。
筆者も存在を知ったときにすぐ使ってみて「これはキラーアプリになる」と思い、今後こうした対話型AIが業務にどう使われていくかを追いかけたいと思った。そんな折り、アステリアがAI専門家によるChatGPTの勉強会を開いたので取材した。その内容が分かりやすかったので、本稿ではそのエッセンスを紹介し、業務での使用法について考えたい。
まず、あらためてChatGPTとは何なのか。森氏は次のように説明した。
「ChatGPTは自然言語処理のAIによるチャットだ。現時点では先行プレビュー版という扱いだ。イーロン・マスク氏が創業に関わり、Microsoftが出資したAI研究開発会社であるOpenAIが開発した。ベースとなっているのは、翻訳や分類など、さまざまな機能を内包する『大規模単一モデル』だ。プログラムから利用できるAPIも用意されているので業務での活用も可能だ。Microsoftの検索エンジン『Bing』がChatGPTを取り込んだことでも注目された」
なぜ、一気に注目を集めたのか。森氏は、前述の「誰でも触れる」「日本語で触れられる」に加えて、「さまざまな情報に回答でき、(利用方法の)アイデアも世界中のユーザーがSNSなどで共有しているため、応用を想像しやすい」ことを挙げた。筆者もこの点でキラーアプリになると思った。
どんな応用例があるか。森氏は「チャットだけではない使われ方」として、「文書の要約・翻訳」「文書のひな形作成」「プログラム生成」「ミスの指摘・校正」の4つを挙げた(図2)。
さらに、APIを使えば「サポート業務の支援」「各種帳票の作成」「自社のサイトやアプリの支援」「アンケートやSNSの分析」といった形で応用範囲はもっと広がっていくという(図3)。
こうしたことから、森氏は「この技術は誰かの仕事を奪うものではなく『便利な道具』の登場と捉えるべきだ」と強調する。さらに、「業務に関わる仕組みに取り込めば効率化に貢献する」と業務での使用法に言及した。
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