「紙の伝票」廃止に成功 ナックが約5万6000時間を削減
デジタル化が進む今でも「紙の伝票」を利用する企業は多い。紙の伝票はデジタル化やその先にあるデータ活用を阻む“壁”の一つだ。ナックはどのようにして紙の伝票を廃止したのだろうか。
アステリアは2023年4月27日、宅配水「クリクラ」など生活関連サービスを提供するナックがノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio」(プラティオ)を導入して業務効率化を進めていると発表した。ナックは「紙の伝票」の廃止に成功したという。
複写式「紙の伝票」をどう廃止した?
2024年月に施行される運送業での「働き方改革」関連法によって人手不足が深刻化する物流の「2024年問題」の到来時期が迫っている。
デジタル化は、業務効率向上に寄与する有効手段となり得るだけでなく、将来的なサプライチェーン全体でのデータ活用に向けても重要だ。ただし、取引先とのやりとりに使われることも多い伝票は関連企業全体でデジタル化を進める必要があることから、現在も多くの場面で紙の伝票が利用されているのが実態だ。
こうした中、ナックはPlatioを導入して配送管理アプリを作成することで紙の伝票を廃止した。今後は同社の直営店だけでなく加盟店にも同アプリを展開するとしている。同社は具体的にどのように紙の伝票を廃止したのだろうか。
Platio選定の理由
ナックは基幹システムの内製化やITツールの導入を進めて全社的な業務効率化に取り組む中、主力事業であるクリクラの配送業務効率化に着目した。
それまでは毎日1人当たり約60件の複写式伝票を配送順に並び替えて、伝票の情報を基幹システムに転記していたため、作業工数が多いことの他、手作業の転記作業によるミスや紙の紛失なども課題となっていた。
現場の要望に素早く反映できるモバイルアプリの内製、活用を検討する中で、地下や高層階などの電波が届かない場所でもオフラインで利用できること、基幹システムとのデータ連携が可能なことが決め手となり、Platioを導入した。
ナックがPlatioで作成したのが「配送管理アプリ」だ。
データ連携ツール「ASTERIA Warp」で基幹(販売管理)システムと連携することで、アプリに配送情報を自動連携する。約400人の配送員が紙の伝票を確認する手間が省け、当日の配送先をスマートフォンですぐに確認できる。配送時はアプリのモバイルプリンタ連携で、必要な納品伝票を印刷する。配送実績の入力もアプリで完結するため、配送後のシステム入力作業が不要になった。
この結果、配送員の作業時間が約40分から約5分に短縮され、年間約5万6000時間を削減できたという。
ナックは今後、物流の「2024年問題」をにらみ、利用範囲の拡大を計画している。具体的には現在直営店のみの導入となっている配送管理アプリを加盟店にも展開し、クリクラ事業ネットワーク全体のサービス品質向上や業務効率化をさらに進めるとしている。
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