クラウド移行や在宅勤務拡大はどう影響している? WANの利用動向をIDCが調査
企業のクラウド移行や在宅勤務の拡大はWANやSD-WANの利用動向にどのような影響をもたらしているか。IDC調査で明らかになった。
IDC Japan(以下、IDC)は2023年5月11日、国内企業におけるWAN(Wide Area Network:広域通信網)の利用動向に関する調査結果を発表した。
クラウド移行や在宅勤務拡大の影響は?
今回発表されたレポートは、国内企業500社を対象にIDCが2022年11月に実施した「2022年 企業ネットワークサービス利用動向調査」におけるWANに関する調査結果をまとめたものだ。
同調査は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がWAN利用にもたらした影響やWAN種別の利用状況の差異、インターネットやデータセンターおよびクラウドの利用状況、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)の利用状況などを調べている。
同調査によって、WANの利用企業はWANのオプション機能について「インターネット境界のファイアウォール機能」の回答が最も多く20%を超えた。「リモートアクセス機能」が15%程度で続いた。
「在宅勤務の広がりに伴って、WANのユーザー企業はオプション機能にも在宅勤務環境の構築に役立つ機能を求めている」とIDCは分析する。
多くの企業が「ネットワーク設計におけるクラウドの比重を高めていく傾向」にあることも分かった。企業ネットワークのインターネットの接続経路として、現状では「自社データセンターに設置したゲートウェイ経由」である企業の割合が4割を超えて最も多かった。ただし、3年後の想定を尋ねたところ、「自社データセンターに設置したゲートウェイ経由」は3割以下にとどまった。一方で「クラウド事業者が提供するゲートウェイ経由」とする企業の割合は、3年後の想定で35%を超えて最も高くなった。
また、企業がSD-WANを選定する際に最も重視している項目は「管理機能(コントロールパネル)の使いやすさ」の回答が最も多く、「クラウド事業者やデータセンター事業者が提供するSD-WAN連携機能をサポートしていること」が2番目に高くなった。
今回の結果結果について、IDCの山下頼行氏(Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャー)は、「在宅勤務の拡大などの働き方の変化や、企業システムのクラウドシフトに伴い、企業はWANサービスやSD-WANに、在宅勤務用のシステムとの親和性やクラウドサービスとの連携のしやすさを求めている」と分析。通信事業者やシステムインテグレーターは、「こうしたWAN設計における潮流を捉え、WANのインターネットゲートウェイやリモートアクセス機能の強化、SD-WANのクラウド連携機能の訴求に重点を置くべきだ」とコメントした。
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