HPEとDellがハイブリッドクラウドに「こだわらざるを得ない」理由とは? 「バトル勃発」の可能性を考察:Weekly Memo(1/2 ページ)
ハイブリッドクラウド向けサービスに注力するHPEとDell。なぜ、両社は同サービスにこだわるのか。今後のハイブリッドクラウド市場での勢力争いにおいて、ハイパースケーラーとのバトル勃発の可能性もありそうだ。
企業のIT環境において、オンプレミスとクラウドをうまく連携させるハイブリッドクラウドが注目されている。これまでオンプレミス向けにサーバやストレージなどのハードウェアを提供する競合として激しい市場競争を繰り広げてきたHewlett Packard Enterprise(以下、HPE)とDell Technologies(以下、Dell)が、ここにきてハイブリッドクラウド向けサービスに注力している。
両社にとってこの取り組みは、従来のモノ売りからサービス提供へのビジネスモデルの大転換でもある。最近の両社の動きから、ハイブリッドクラウドに両社がこだわる理由、さらに、今後のハイブリッドクラウド市場での勢力争いの行方を考察したい。
「HPE GreenLake」の売り上げ比率が全体の3割へ
HPE日本法人の日本ヒューレット・パッカードは2023年11月30日、今後の事業方針について都内ホテルで記者会見を開いた。説明に立った同社代表執行役員社長の望月弘一氏は、企業のIT環境の潮流として「あらゆる場所にデータやITインフラが存在し、クラウドエクスペリエンスが求められる」ことを挙げ、それを踏まえて今後の事業方針のスローガンとして「Leading Edge-to-Cloud Company」を掲げた。この「Edge-to-Cloud」という言葉はHPEならではの表現だが、IT環境の仕組みからすると、まさしくハイブリッドクラウドを指す。
望月氏によると、このスローガンの意味するところは、「ベンダーニュートラル、クラウドニュートラルな第三極のクラウドプラットフォームを提供し、お客さまのビジネス変革と持続可能な社会に貢献していく」とのことだ。ここで言う「第三極のクラウドプラットフォーム」が、同社のハイブリッドクラウド向けサービス「HPE GreenLake」(以下、GreenLake)だ(図1)。
この図のポイントは、一番下の段にあるパブリッククラウドをはじめとしたさまざまな利用環境において、その上に記されているITリソースをクラウドやベンダーに依存することなく柔軟に使える点にある。そうしたITリソースを全て従量課金で利用できるようにしたのが、GreenLakeである。
HPEはGreenLakeを2018年から事業として本格スタートし、2022年には同社の全ての製品を対象とした。今後は2024年以降に向けてさらなる機能拡充を図っていく構えだ(図2)。
そんなGreenLakeは今、HPEの事業全体のどれほどの割合を占めているのか。言い換えれば、ビジネスモデルの転換はどのぐらい進んでいるのか。ちなみに、望月氏は1年前の会見で「国内売り上げ全体の2割を占めている。グローバルは1割なので日本が先行している」と述べていた。1年経過した今はどうか。
会見の質疑応答で聞いてみたところ、同氏は「ハイブリッドクラウド環境をクラウドサービスのように使いたいというお客さまのニーズは非常に高い。従って、その割合も着実に上がっている」と回答。数字が出なかったので、会見後、同氏に直接確認したところ「間もなく3割になる」とのことだった。確かに、着実にビジネスモデルの転換は進んでいるようだ。
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