第一三共、IT基盤刷新で1億円のTCO削減へ 営業基盤システムの高速化で
第一三共が、80台のサーバで16のシステムを動かしていた営業支援システムの基盤を刷新し、約1億円のTCO削減を実現した。何を変えたのだろうか。
第一三共は約6000人が利用する営業システム基盤を刷新した。システム基盤の刷新により、1億円ものTCO削減効果を出しているという。第一三共が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)とデータドリブン経営の実現を目指す中期経営計画の一環だ。
第一三共がデジタル環境の刷新で一億円のTCO削減 どう取り組んだか
第一三共の新しい営業支援システムは、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を基盤に採用する。第一三共社内の約6000人が活用する営業支援システムを「Oracle Exadata Database Service」および「Oracle Cloud VMware Solution」に移行することで、運用コストを削減しつつ、最大35%の性能向上を実現したという。日本オラクルが2024年2月6日に発表した。
第一三共は中期経営計画において「DX推進によるデータ駆動型経営の実現と先進デジタル技術による全社変革」を掲げ、意思決定の加速化やビジネス高度化を実現するために経営戦略や各組織の事業戦略に基づくグローバルIT基盤の整備を進めてきた。その取り組みの一環として、医薬情報担当者などが医師や薬剤師に薬の安全性や適正使用についての情報を伝達するために、どこの医療機関に何が納入されたかを確認する営業実績管理システムなどをOCIで刷新した。
VMwareサーバ80台で6000人がアクセスする16のシステムを運用
第一三共はこれまでOracle ExadataとVMwareの仮想サーバー約80台で構成された16のシステムを含む営業支援システムを運用してきた。システムの刷新にはタイムリーなデータ処理と提供を可能にするとともに月末月初処理の高負荷に対応する安定したシステム性能と可用性を実現し、さらに約6000人のユーザーの日々の営業活動に影響を及ぼすことのないようにシステムダウンを回避し、加えてシステム運用で膨らんでいたコストを削減する必要があった。
そこで第一三共はこれら条件を満たす移行先として、これまでの環境からの移行性やコストの優位性などを評価してデータベース基盤の移行先に、OCIが提供するOracle Exadata Database Service、アプリケーション基盤の移行先に同じくOCIが提供するOracle Cloud VMware Solutionを選定したと説明している。
移行作業は日立医薬情報ソリューションズおよび日本オラクルのコンサルティング部門の支援を受けて、2022年8月から設計を開始し、最終的に2023年8月にはOCIへの移行を完了している。
第一三共はOCIへの移行によって、最も時間がかかる月末月初の処理時間が約35%短縮化、システム運用者の待機時間の削減、夜間バッチ処理の確実な実施が実現できたとしている。費用の面でも3年間で1億円の総所有コスト(TCO)削減を見込んでいると説明している。
関連記事
- Oracleに関する広範囲のセキュリティ情報が公開 多数の脆弱性も
Oracleから2023年4月版の「Oracle Critical Patch Update Advisory」が発行された。CVSSスコア値が9以上の緊急度の高い脆弱性が数多く報告されている。 - Oracle Java SEに脆弱性 迅速にアップデートの適用を
IPAはOracle Java SEの脆弱性について情報を公開した。該当製品を使っている場合は急いでアップデートを適用してほしい。 - Oracle Javaの複数バージョンで脆弱性 急ぎアップデートを
Oracle Javaの複数バージョンで脆弱性が見つかった。悪用時の影響が大きいことから、該当バージョンを使用している場合は迅速にアップデートを適用してほしい。 - Oracleが7月のクリティカルパッチアップデートを公開 「Oracle Java」など複数製品が対象
Oracleは2022年7月のクリティカルパッチアップデートを公開した。Oracle Javaを含めた多くの製品がアップデートの対象となっている。内容を確認するとともに迅速にアップデートを適用してほしい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.