富士通がコンサル事業拡充へ 「御用聞き」脱却発言から行動変容について考える:Weekly Memo(1/2 ページ)
富士通がDX向けコンサルティング事業の新ブランドを立ち上げた。その狙いはどこにあるのか。キーワードは「行動変容」だ。この話は同社の事業戦略にとどまらず、多くの日本企業にとっても当てはまりそうだ。
「当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)向けコンサルティング事業ブランドとして、新たに『Uvance Wayfinders』を立ち上げた」
富士通 執行役員 SEVP CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー) 兼 グローバルカスタマーサクセスビジネスグループ長としてコンサルティング事業を率いる大西俊介氏は、同社が2024年2月22日に開いたDX向けコンサルティング事業の拡充に関する記者説明会でこう切り出した。同会見には、同社 執行役員 SEVP グローバルビジネスソリューションビジネスグループ長 兼 全社Fujitsu Uvance担当の高橋美波氏と、同社のビジネスコンサルティング専門子会社であるRidgelinez 代表取締役 CEO(最高経営責任者)の今井俊哉氏も登壇し、富士通グループを挙げた取り組みを説明した。
今回、この話題を取り上げたのは、富士通が示す「行動変容」の内容が富士通の事業戦略にとどまらず、多くの日本企業にも当てはまると感じたからだ。富士通の発表内容を紹介した後、その視点から日本企業が今後どのように方針を転換すべきかを考察する。
脱「御用聞き」 DX向けコンサル事業拡充の狙いは?
大西氏は新ブランド「Uvance Wayfinders」について、「当社がこれまで長年培ってきたさまざまな業種の知見とテクノロジーを融合することで、お客さまと共に社会全体の『知のエコシステム』を創出し、より良い未来を創造するためのパートナーとなる強い思いを込めている」と説明した。
新ブランドを立ち上げてDX向けコンサルティング事業を拡充する狙いについては、大西氏は「Uvance Wayfindersの羅針盤」と銘打って次の3つを挙げた(図1)。
- アウトカムにフォーカスし、社会課題や複雑化するお客さまの事業課題に立ち向かうこと: これまでの産業構造が変わり、業種の区切りがなくなって“クロスインダストリー”になる中で、新たなビジネスモデルをサステナブルな社会形成と同時並行で創る必要がある
- AI(人工知能)や量子コンピューティングなど、テクノロジーの進化が社会の持続可能な発展に寄与する道筋をガイドする: AIをはじめとしたデジタルテクノロジーが世の中にもたらすインパクトは、われわれが想像する以上にスピーディーかつスケーラブルに広がっていく。さらに、量子コンピュータがもたらす未来は、経済の原理原則やわれわれの働き方、暮らしの在り方を大きく変えてしまう可能性がある。ビジネスモデルだけでなく、そうしたテクノロジーがもたらすインパクトも想定する必要がある
- お客さまの課題に共に向き合い、あらゆるビジネスシーンで継続的に価値提供する: 社会構造の変化に対応するためには、われわれ自身が変わっていかなければならない。その重要なポイントとなるのはお客さまとの関係だ。お客さまの要望を聞いてその通りに応えるのではなく、お客さまと対等の立場でさまざまな提案をするパートナーとしてお客さまの事業を共創していく関係に変えていく必要がある。そのためには、われわれ自身が“行動変容”していかなければならない。どうすればよいか。それこそが、コンサルティングとしてのケイパビリティを持ち、キャパシティーを広げていくことにほかならない
コンサルティングメニューとしては、図2に示すように「ビジネスコンサンルティング」と「テクノロジーコンサルティング」の大きく2つを整備した。
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