CloudflareがHugging Faceとの連携機能を提供 AI開発の課題解決をいかにサポートするか:CIO Dive
CloudflareがHugging Faceと連携するAI開発用サービスをリリースした。同社CEOが「ちょうど良い位置にある」と話す同サービスの特徴とは。
Cloudflareは2024年4月2日(現地時間)、世界150以上の都市でAIコラボレーションプラットフォーム「Hugging Face」とCloudflareをつなげるAIインフラサービス「Workers AI」の提供を始めた(注1)。
Hugging Faceから自環境にインポート AIブームの課題解決になるか?
Workers AIはGPU搭載の開発プラットフォーム。Hugging Faceとの連携で、公開されているAIモデルをCloudflareのサーバレスクラウド環境にデプロイできる。
2023年は多くの企業が生成AIプロジェクトを加速させた。そんな中、CloudflareのエンジニアはGPUをエッジネットワーク全体に配備しようと奔走していた(注2)。同社のマシュー・プリンス氏(CEO)は2023年12月に「CIO Dive」の取材に対して「われわれはドメイン固有のデータを使って事前に訓練されたモデルをカスタマイズする推論ワークロードを対象としている」と語った。
Cloudflareはネットワークのパフォーマンスとセキュリティを重視しており、これは「データの安全性確保」「データが存在する場所にAIモデルをデプロイできること」といった企業のニーズと合致している(注3)。
たとえ途中で幾つかの障害にぶつかることになったとしても、企業は考えられるユースケースを試行錯誤しながら探ることに意欲的だ(注4)。データの安全性が確保されている限り、早い段階で失敗することで価値の高いアプリケーションを絞り込める。総合不動産サービス会社のCushman & Wakefieldのショーナ・カートライト氏(ビジネス情報オフィサー兼法人向け技術担当シニアバイスプレジデント)は、2024年3月に開催された「CIO Dive」のパネルで次のように述べた(注5)。
「昨今の生成AIブームにより、各業界の企業はAIに膨大な時間と資金を投資している。そのうち一部はうまくいくだろうが、デモ通りに本番環境に投入するのは信じられないほど難しく、それが問題だ」(カートライト氏)
Cloudflareのソリューションは、開発者がHugging Faceのオープンソースモデルライブラリに簡単にアクセスできるように設計されている。また、Workers AIは小規模なデータセットで大規模なモデルを微調整するために最適化されているという。
「組織とその開発者は、GPUやインフラのセットアップ、管理、保守をすることなく、迅速かつ手頃な価格で実験と反復ができる必要がある」(Cloudflare)
同社は、巨大なハイパースケーラーのデータセンターとエンドユーザーとの間のギャップを埋めることに注力している。
2024年2月の決算説明会で、プリンス氏は次のように語った。
「この分野ではわれわれはちょうど良い位置にいる。中央集権的なパブリッククラウドはユーザーからは遠すぎ、人々の手元にあるデバイスはパワー不足だ。モデルを調整するだけでなく、ローカルで調整しながらも推論タスクを実行できるほど強力なGPUのパワーを持っているというのは、本当に強力な組み合わせだ」(プリンス氏)(注6)
(注1)Cloudflare Powers One-Click-Simple Global Deployment for AI Applications with Hugging Face(Cloudflare)
(注2)Cloudflare (NET) Q4 2023 Earnings Call Transcript(The Motley Fool)
(注3)Generative AI unlocks the door to unstructured enterprise data(CIO Dive)
(注4)Why generative AI experiments fail(CIO Dive)
(注5)Enterprises plan to boost reliance on distributed cloud(CIO Dive)
(注6)Cloudflare doubles down on inference workloads(CIO Dive)
関連記事
- “生成AI依存”が問題になり始めている 活用できないどころか顧客離れになるかも?
ガートナージャパンが、生成AI頼りの顧客対応を続けると顧客離れを起こすとする予測を発表した。生成AIの品質が未熟であることが理由だという。 - 「欧州 AI法」がついに成立 罰金「50億円超」を回避するためのポイントは?
AIの活用や規制について包括的に定める「AI法」が欧州議会で可決された。今後のAI規制の世界標準となる可能性が高く、厳しい罰則もある。企業が留意すべきポイントとは。 - 管理職なら年収2000万円超え サイバーセキュリティという困難だが“もうかる仕事”
サイバーセキュリティの仕事は難しく、常に感謝されるわけでもなく、燃え尽き症候群の報告も多いが、給与は悪くないようだ。ISC2の調査からセキュリティ業務に携わる人たちの平均年収が明らかになった。 - Appleの生成AI「MM1」は何ができるの? 他のLLMを凌駕する性能とは
他のビッグテックが独自の生成AIを繰り出す中、慎重な姿勢を取ってきたApple。ついに同社の取り組みを明らかにする研究論文が発表された。他社のLLMを凌駕するApple製LLMの性能とは?
© Industry Dive. All rights reserved.