AIを活用したDX推進で企業は全てを作り変えよ――ガートナーの講演から考察:Weekly Memo(1/2 ページ)
AI活用の推進は企業にとってどのような意味があるのか。単なる「業務改善」から「企業価値の向上」を図るためにAIをどう利用すべきか。ガートナーの亦賀忠明氏の講演から考察した。
「AI活用の推進は、企業の全てを作り変えるきっかけになる」
こう語るのは、ガートナージャパン(以下、ガートナー)ディスティングイッシュトバイスプレジデントでアナリストの亦賀(またが)忠明氏だ。同社が2024年5月21〜23日に都内ホテルで開催した「ガートナー データ&アナリティクス サミット」における同氏の講演「AI推進で成功したい企業や組織が獲得すべきマインドセット2024」での発言だ。
亦賀氏はかねて「AIは新たな産業革命」と明言しており、今回の講演内容はそれに関して「企業が取り組むべき要件」を発信したものだ。本稿ではその中から筆者が興味深く感じた点を考察したい。
AI活用で成功したい企業が獲得すべきマインドセットとは
同氏はAI推進で成功したい企業や組織が獲得すべきマインドセットとして、次の13項目を挙げた。
- AIによる「成功」を再定義する
- New Worldと産業革命のマインドセット
- 「妄想」から「リアリティー」へ
- 「なのか?」から「より高みを目指す」に
- 「作業者」から「クリエーター」へ
- 「完璧」「継続的改善」「産業革命」
- 「丸投げ」から「自分で運転」へ
- 「すぐに諦める」から「粘り強く」へ
- 「文房具」から「スーパーパワー」へ
- 企業論理中心から「People Centric」へ
- AIの進化に備える
- 「業務」から「デジタルを前提とした新しいビジネス」へ
- 時代に合わせて変える
上記の中から3つの項目を取り上げ、以下に紹介する。
まず、1番目の「AIによる『成功』を再定義する」は、その後のマインドセットの前提となる話だ。亦賀氏は図1を示して、次のように説明した。
「企業におけるAI活用は、業務改善によって損益計算書(P/L)に貢献することを目的としてきた。しかし、これからは『企業価値の向上』を図って変化に対応し、新たな産業革命を勝ち抜かなければならない。そのために最も重要なのは、AIを活用できる『人材づくり』だ」
「業務改善」から「企業価値の向上」を図るに当たって、それを支える「人材づくり」が最重要というのが、同氏の言う再定義のポイントだ。
ここで同氏は冒頭で紹介したように、AI活用の推進が企業の全てを作り変えるきっかけになると述べ、「AIを活用できる人材を強化することによって、企業のカルチャーや仕組みを変革し、時代に即した新たなブランドと収益を創出することが肝要だ」と強調した(図2)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
日立は「生成AIを活用するための組織づくり」をどう進めているか 徳永副社長に聞く
企業は生成AIとどう向き合い、どう活用していくべきか。そのヒントを探るべく、生成AIの活用を積極的に進めている日立製作所の德永副社長に話を聞いた。
生成AIを「クラウドで活用する際」の3つの勘所――AWSパートナーイベントから考察
AWSがパートナー施策で生成AIに関する取り組みに注力している。その内容からユーザー視点で重要な「生成AIをクラウドで活用する際のポイント」を考察したい。
SAPとNVIDIAが提携、生成AI活用の促進へ 最高AI責任者が語る舞台裏
SAPとNVIDIAが提携を発表した。両社はSAPのクラウド製品でビジネスに特化した生成AI機能を顧客が構築できる環境を目指すようだ。両社の提携の概要を確認しよう。
生成AIの悪用が本格化する具体的なタイミングはいつか? IBMが指摘
研究者たちは「AIによって設計されたサイバー攻撃はまだ確認されていないが、サイバーセキュリティ市場でAIシステムが注目を集めるのは時間の問題だ」と述べている。その具体的なタイミングはいつだろうか。


