日本企業のデータ活用とDX推進に見る「格差」 取り残される企業は
IDC Japanが実施した調査により、データ活用とデジタルトランスフォーメーションにおける企業間の格差が明らかになった。先進企業は積極的なデータ活用を行っているが、2割ほどの遅行企業は取り組みが遅れている。
IDC Japanが企業におけるデータ活用と管理の現状に関する調査結果を発表した。それによると、データを積極的に活用する企業が全体の約6割を占める一方で、約2割の企業は後れを取る状況が明らかになった。
経営や事業運営に「データをまったく活用していない」企業
IDC Japanは2024年12月12日、エンドユーザー企業におけるデータ活用と管理の現状に関する調査結果を発表した。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)およびデジタルビジネス(DB)の進展度合いと取り組みに応じて、データ活用の状況に大きな差が見られることが明らかにされている。
調査は2024年5月に国内の従業員300人以上のエンドユーザー企業を対象に実施され、IT戦略や情報システムの管理に携わる担当者300人から回答が得られている。この調査では企業のデータ活用の状況やその基盤となるデータ、プラットフォーム、組織体制の整備状況などが分析されている。
調査結果によるとDXやDBで成果を上げている「先行-良好企業」は全体の約6割を占める一方、取り組みが遅れ成果が乏しい「遅行-不良企業」は約2割にとどまった。特にデータ活用における差は顕著で、先行-良好企業の8割以上がデータを積極的に活用していると回答したのに対し、遅行-不良企業ではわずか2割強だったことが判明している。
さらに遅行-不良企業は先行‐良好企業と比較してデータ活用の取り組みを自社内に限定し、外部の専門家やソリューションの活用に消極的である傾向にあることも分かった。この要因として財務分析や業務効率性分析といった範囲の狭い活用にとどまることや外部要因やソリューションへの投資不足、データ活用における知識や組織文化の未成熟による適切なベンダーを選定できないことなどが挙げられている。
IDC JapanのTech Buyerリサーチマネージャーである鈴木 剛氏は「国内企業は、データ活用の意義を経営計画や事業戦略に明示し、業務活動と連動させる必要がある。実際の活用においては、データの関連性や項目の過不足のみを明らかにし、データプラットフォームに取り込み、まずは活用を開始することも有益である。それにより、企業独自の状況に基づいた実践的な育成も可能となる」と調査結果を評した。
これらの調査結果はIDC Japanが発行したレポート「2024年 国内企業のデータ活用とデータ管理の現状」に詳細が報告されている。本レポートでは国内のエンドユーザー企業がどの程度データを活用し、その基礎であるデータ、プラットフォーム、組織が整備されているかをIDCのアンケート調査結果分析と2社への取材内容から明らかにしている。
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