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ソニー銀行が勘定系システムをクラウドネイティブ基盤に刷新 顧客対応はどう変わる

ソニー銀行は勘定系システムをAWSへ全面移行し、マイクロサービス化やCI/CD導入により開発効率と柔軟性を高めた。富士通のxBankを採用し、災害対策や環境負荷軽減も実現する。銀行業界のクラウド活用を先導する取り組みとは。

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 アマゾンウェブサービスジャパン(以下、AWS)は2025年5月7日、ソニー銀行が勘定系システムを「Amazon Web Services」(AWS)環境に移行完了したと発表した。移行後の新システムはクラウドネイティブアーキテクチャーで構築されており、業務の柔軟性や拡張性を向上させる設計となっている。多様化する顧客ニーズに迅速に対応し、新たなサービスの提供を促進させるという。

クラウドネイティブアーキテクチャーで次世代バンキングへ

 ソニー銀行は新勘定系システムの基盤としてAWSのフルマネージドなコンテナオーケストレーションサービス「Amazon Elastic Container Service」(Amazon ECS)とコンテナ向けサーバーレスコンピューティングサービス「AWS Fargate」を採用した。ソニー銀行のさまざまな商品やサービス、取引機能がマイクロサービス化されており、各機能の独立した開発、拡張が可能となっている。これによってビジネスの俊敏性(アジリティ)を確保し、機能の追加や改修も柔軟に対応できる構成だ。

 また、オープンAPIの活用によって外部のフィンテック企業との連携が容易になっており、資産運用アプリや会計アプリなど、さまざまな外部システムとの接続を可能としている。アプリケーションの開発体制においても「AWS Codeサービス群」による継続的インテグレーションおよび継続的デリバリーシステム(CI/CD)パイプラインを導入することで開発やテスト、デプロイメントが自動化され、開発効率が向上した。

 この取り組みでは、富士通が提供する次期勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」(以下、Fujitsu xBank)が基盤として採用されている。Fujitsu xBankは高い拡張性と柔軟性を備えたクラウドネイティブアーキテクチャーであり、マイクロサービス化とBackend for Frontend(BFF)の活用により、サービス提供の迅速化と柔軟な機能拡張を可能としている。

 特に勘定系システム特有のACID特性が求められる処理に対しては、富士通独自の必要な箇所で同期性を担保する実装方法(特許出願済み)が適用されており、勘定業務に適した形でマイクロサービスアーキテクチャーを導入している。これにより、開発資産の削減や保守性の向上が期待される。

 さらにAWSの「Amazon Aurora Global Database」を活用することで、東京リージョンで稼働する主要データを大阪リージョンに通常1秒未満の回復ポイント目標(RPO)でレプリケーションし、高い可用性と災害対策機能を備えている。AWSプロフェッショナルサービスによるセキュリティアセスメントとインフラ設計のレビューを通じ、信頼性と運用効率も確保している。

 今回の勘定系システムの移行により、2013年以降段階的に進めてきたクラウド移行がさらに進み、同行が管理するほぼすべてのシステムがクラウドで稼働する体制となった。環境面においては、AWSのエネルギー効率の高いインフラと再生可能エネルギー活用の恩恵により、ソニー銀行はオンプレミス運用時と比較して電力消費量を約80%削減し、CO2排出量の削減も実現している。

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