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AI時代の不都合な真実 「AI導入したのに業務負担増加」はなぜかAIニュースピックアップ

Asana Japanの公表した調査結果によれば、AI導入が進むものの業務効率化が進んでおらず調整業務が増加している実態があるようだ。その背景には何があるのか。

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 Asana Japanは2025年7月29日、日本国内のナレッジワーカー2034人を対象に実施した調査結果をまとめたレポート「AIと働き方の現在地:2025年の日本――なぜAIだけでは、非効率な仕事がなくならないのか」を公表した。

 このレポートは、AIの利用が拡大する中で、日本企業が直面する課題と今後の戦略的方向性を分析したものだ。生産性向上を目的としたAI導入にもかかわらず調整業務の負担が増加しているという実態を示しており、単なるツールの導入では業務効率化が実現しないことが浮き彫りになっている。

AI導入したのに…… 現場が感じる「負担増」の真相

 調査によれば、情報検索にかかる時間は週15時間、同僚からの質問対応に週12時間、コラボレーションツール使用に週10時間、生産性の低い会議に週9時間と、いずれも前年から増加している。

 その背景には、既存の業務プロセスにAIをそのまま重ねる形で導入しているため、抜本的な業務改革が進んでいないという構造的な問題がある。つまり、AIの真価を引き出すには、業務の設計段階から見直す必要がある。

 調査ではAIの導入企業を「AIスケーラー」と「非スケーラー」の2類型に分類している。前者は複数の業務にAIを実装して継続的に測定と改善を図っている企業であり、後者は一部の業務に限ってAIを試験的に取り入れているに過ぎない企業だ。この2者間において、情報の伝達速度や組織の柔軟性、業務量の管理など、職場における負担の軽減度合いに明確な差が確認されている。AIスケーラーは連携や速度、柔軟性、業務量の4点で改善効果を実感している。

 経営層と一般従業員の間にはAI活用意識の乖離(かいり)が存在している。AIによる生産性の向上を実感している経営層は56%だったのに対し、一般従業員は29%にとどまる。AI活用への意欲でも、経営層の58%と比較して一般従業員は38%と低く、この認識のギャップが導入の進展を妨げる要因となっている可能性がある。こうしたズレを是正するには、全社的な教育と対話の場を設けることが求められる。

 報告書において、日本企業がAIをより効果的に活用するためには、固有の文化的強みを生かすべきだと指摘されている。構造化されている業務プロセス、協調性を重んじる組織風土、長期的な視点を重視する経営姿勢が挙げられる。これらの要素とAIを結び付けることで、部分的な業務効率化にとどまらず、持続可能な企業変革が可能になる。

 Asanaの専門家は「AI導入は技術選定だけではなく、働き方全体の再設計と密接に関わっている」と述べる。この視点を基に、企業は全従業員が新たな働き方に適応できる環境を整備することが、AIの価値を最大化する上で鍵となる。

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