オンプレERPはもう終わり? 加速するクラウドシフトと残された課題
2024年のERP市場は、クラウド型が全体の65%を占めるなど移行が急速に進んだ。この成長の背景には「Fit to standard」の浸透やSaaS製品の多様化がある。しかし、新たな課題も顕在化している。
矢野経済研究所は2025年9月22日、ERPパッケージライセンス市場に関する調査結果を発表した。
調査によると、2024年の市場規模(エンドユーザー渡し価格ベース)は前年比12.1%増の1684億4000万円となった。老朽化したシステムの更新や保守契約終了に伴うリプレース、システム乗り換え案件が進展し、クラウド利用が拡大したことが成長の背景にある。
加速するクラウドシフトと残された課題
近年「Fit to standard」の考え方が浸透しつつあり、業務を標準機能に合わせる動きが広がったこともクラウド化を後押ししたと同研究所は分析する。特にIaaSやPaaSを使わないSaaSのみの導入が増加傾向にあり、2024年のクラウド(SaaSのみ)市場規模は前年比36.2%増の371億8600万円に達したと推計した。クラウド型全体(IaaS・PaaSとSaaSを含む)の市場規模は1106億1500万円で、全体の65%を占めている。
SaaSは柔軟性を備えた新製品の登場もあり、拡大基調にある。同研究所は2025年のクラウド(SaaSのみ)市場がERPパッケージライセンス市場全体の約25%に達すると予測している。また2026年にはクラウド型全体の割合が7割を超える見込みだとしている。
2025年のERPパッケージライセンス市場規模は前年比11.7%増の1881億9000万円に達すると推測されている。大規模な制度改正は見られないが、GXやデジタルインボイス、新リース会計基準などの対応案件に関する需要は堅調だ。同研究所は、AIや生成AIの活用に関してもERPのデータと組み合わせた新機能が整えば需要拡大につながる可能性があるとした。
販売面において、対面商談を重視するベンダーが増加している。オンラインによる情報提供と併用しつつ、製品選定段階では対面による効果が大きいとされ、人員リソースを対面活動に充てる動きが見られる。
中長期的には人材不足が課題とされている。人数面での不足感は残るが、パートナー拡充による解消の兆しがある。ただし、新規パートナー企業への教育や販促支援の必要性は依然として高い。
本調査は2025年5月から8月にかけてERPパッケージベンダーを対象に、専門研究員による面談および文献調査を通じて実施されている。
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