5000億ドル投資で10GW達成へ SoftBank、OpenAI、Oracleが米国にAIデータセンター5拠点を新設:AIニュースピックアップ
ソフトバンクグループとOpenAI、Oracleは、大規模AIインフラ「Stargate」の新たな展開を発表した。米国に5つのAIデータセンター拠点を新設し、2025年末までに総額5000億ドル、10GW規模の投資を達成する見通しだ。
ソフトバンクグループは2025年9月24日、OpenAIおよびOracleと共同で大規模AIインフラストラクチャプラットフォーム「Stargate」に関する新たな展開を発表した。米国に5つの新たなAIデータセンター拠点を設ける計画が発表され、2025年末までに総額5000億ドル、10GW規模の投資コミットメントを達成する予定だ。
OpenAIとOracleの米国内AIインフラ整備、SoftBankが全面支援
今回発表の5拠点に加え、テキサス州アビリーンの旗艦拠点やCoreWeaveとの既存プロジェクトを合わせると、Stargate全体では約7GW規模の計画容量となり、今後3年間で4000億ドルを超える投資が見込まれている。2025年1月に発表されたコミットメントが当初の予定より早期に実現する方向性が示された。
2025年7月には、OpenAIとOracleが米国内で4.5GW規模の追加容量を開発する合意を結んでいた。この取り組みにより、両社のパートナーシップは今後5年間で3000億ドルを超える規模に達する可能性が示されている。今回の新拠点には、テキサス州シャックルフォード郡、ニューメキシコ州ドニャアナ郡、中西部で近日発表予定の拠点が含まれる。加えてアビリーン近郊で600MWの拡張をすることで、総容量は5.5GWを超える計画となる。これらによって2.5万人を超える現地雇用が生まれ、米国内で数万人規模の雇用が創出される見通しだ。
残りの2拠点は今後18カ月で最大1.5GWに拡張可能とされている。オハイオ州ローズタウンの拠点ではソフトバンクグループがデザインを提供し、建設が進んでおり2026年の稼働を目指している。もう一つの拠点はテキサス州ミラム郡に位置し、ソフトバンクグループ傘下のSBエナジーが電力インフラを供給する計画だ。これらの拠点は短期間での建設を可能にし、スケーラビリティやコスト効率を高めることを目的としている。
今回選定された拠点は、2025年1月に開始された全米規模の選定プロセスを経て決定された。30以上の州から300件を超える提案が寄せられ、今回の発表はその第1段階とされる。今後も追加の拠点が発表される予定で、Stargateの取り組みは当初の目標を超える規模に広がる可能性がある。
Oracleが担う新拠点は、すでに「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で稼働を開始しており、テキサス州アビリーンの旗艦キャンパスに加わっている。Oracleは6月にNVIDIA GB200ラックの提供を開始し、すでに学習や推論ワークロードに活用されている。OpenAIの研究開発を後押しする基盤として利用が進んでいる。
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、「AIの進展には強力な計算基盤が不可欠であり、Stargateがその目標達成において歴史的な進展を遂げている」と述べた。OCIのプレジデントのクレイ・マゴイヤーク氏は、「OCIの展開が需要増に対応し、コスト効率の高いAIトレーニングと推論を実現している」と強調した。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「ソフトバンクグループのデータセンターデザインやエネルギー分野での知見を生かし、AIの未来を支える基盤を築いている」と語った。
Stargate構想は2025年1月、ホワイトハウスにおいてトランプ大統領と共同で発表された。米国のAIインフラ投資を加速させる政策の一環として推進され、想定を上回る速度で進展している。新たなパートナーの参画も進み、プロジェクトは拡大を続けている。
Stargateは大規模かつ国家的なプロジェクトとして位置付けられており、総額5000億ドル、10GWの投資を通じて物理インフラや雇用を生み出し、次世代AI研究を支える計算基盤を現実のものとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
PFN、さくら、NICTが国産生成AIエコシステム構築へ PLaMo後継LLMを共同開発
Preferred Networks、さくらインターネット、情報通信研究機構(NICT)は国産生成AIエコシステム構築に合意した。Preferred Networksグループが開発する「PLaMo」の後継モデルを共同開発し、日本文化や法制度に適合した安全で信頼性あるAI基盤を国内で整備する。
危険な質問に対するAIの回答を評価 AISIが評価ツールをOSSとして公開
AIセーフティ・インスティテュート(AISI)は、AIの安全性評価を支援するオープンソースツールを公開した。評価はAISIのガイドに基づき、事業者は脆弱性の検出や改善を容易に実施できる。
エージェント型AI導入、26年に25%に拡大見込み 経営層が挙げる導入のメリット
IBMはAIエージェントに関する日本企業の導入状況と将来展望を調査し、現在3%の導入率が2026年には25%へ拡大すると予測している。経営層はAIを業務の中核と位置付け、業務効率や財務成果への寄与を期待している。
OpenAIがMicrosoftと提携強化 非営利組織による再資本化の狙い
OpenAIはMicrosoftとの新たな提携段階として覚書に署名し、非営利組織が公益目的会社(PBC)を支配する体制で再資本化する計画を発表した。AIの安全性と公共利益の両立を目指す体制を構築する。