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日東電工、エージェント型AIで経費精算の9割を自動化 AI中心のBPOをどう進めた?AIニュースピックアップ

日東電工はエージェント型AIを活用し、経費精算チェック業務の約90%を自動化した。AIが規定と証憑の整合を確認し、業務効率向上とガバナンス強化を実現した。

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 日東電工(以下、Nitto)は1918年創立の高機能材料メーカーで、偏光板などの光学材料、回路基板、工業用テープ、医療関連製品などを世界各地で展開している。同社は、経営環境の変化に柔軟に対応できる体制の整備を目的に、BPOを活用した業務改革を進めてきた。2016年からはBPOおよびSaaSを同時に導入するBPaaS(Business Process as a Service)への移行を進め、2023年には領収書原本の読み取りや照合の自動化に取り組んできた。

 その過程で証憑(しょうひょう)と社内規定の整合確認、不備の検知、手順書の改訂など、一部の業務は手作業による確認が残り、負荷軽減や精度向上、ガバナンス強化が課題となっていた。

AIとBPOで経理業務を自動化

 日本IBM(以下、IBM)は2025年11月26日、Nittoの経費精算チェック業務において、エージェント型AIを活用した「AI First BPO」の導入を支援したと発表した。出張費や交通費などの経費精算チェック業務の約90%をAIによって自動化し、業務効率と精度の向上を図る取り組みとされ、本番業務での実装を同月から開始している。

 IBMのAI First BPOはAIを業務プロセスの中心に配置し、AIと人が役割を分担して業務全体の価値向上を図る考え方に基づくサービスとされている。単なる作業の自動化にとどまらず、AIの活用を通じて人の業務内容を高度化し、生産性や品質を高めることを狙いとする。

 今回の導入により、経費精算チェック業務の大部分は人手を介さずAIで確認、精査される。エージェント型AIが手順書を読み取り、必要な情報を整理した上で、証憑や規定との適合状況を確認するタスクを実行する。確認結果は経費精算システム「SAP Concur」のワークフローに反映され、承認や差し戻し処理も自動化される。規定変更や運用改定が発生した際には、BPO運用を通じて手順書を整備する。

 BPOの運用拠点は福岡県北九州市にあるIBM九州DXセンターが担う。IBMは今後、経費精算以外の領域にもエージェント型AIの活用範囲を広げる計画を示しており、経理部門を起点とした全社的な展開を推進する方針を示している。Nittoの業務効率化と付加価値創出を支援するとしている。

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