この先5年でインフラ運用担当者が知るべき技術は Gartnerが提言:AIニュースピックアップ
Gartnerは次世代型スマート社会を見据えたテクノロジーハイプサイクルを発表した。インフラの構築・運用を担うエンジニアがこの先5年で把握すべき技術トレンドの範囲は想像以上に広大になるようだ。
ガートナージャパン(以下、Gartner)は2025年11月20日、日本における先進的なテクノロジーを活用した未来「次世代型スマート社会」のハイプ・サイクルを発表した。AI、6G、エッジ技術などがどのように成熟し、社会に普及していくのか、そのロードマップを明確に示している。
Gartnerのハイプ・サイクルが示す、5年後に主流のテクノロジー
Gartnerのハイプ・サイクルは、テクノロジーやアプリケーションの成熟度と普及度を示す枠組みとされ、時間経過に伴う進展を視覚化する手法として知られる。特定のビジネス目標に沿った採用判断を支援する狙いがあり、今回のハイプ・サイクルでもその観点が維持されている。
本ハイプ・サイクルではインフラストラクチャ/オペレーション(I&O)統括責任者が把握すべき対象からピックアップされている。具体的には次のようなものだ。
- さまざまな環境のスマート化: 次世代型スマートシティー、次世代型スマートマニュファクチャリングなど
- リアルをデジタル化するテクノロジー: 6G(第6世代移動体通信)や、顧客のデジタルツイン、3次元空間情報基盤など
- AI技術の利用や応用: ウェアラブルAI、マシンカスタマー、自動運転トラック、エッジAIなど
- ロボティクス・テクノロジー: マルチロボット自動化プラットフォーム、スマートロボット)など
- 新しいデータ処理技術や方式: 意思決定インテリジェンスやイベントストリーム・プロセシングなど
ディレクターアナリストの山本琢磨氏は、産業や公共サービスが相互に連携する構造が形成されつつあると現状を分析。その上で、生成AIを含むAI技術を基盤とした分析が広がり、現実の世界と密接に結び付いたデジタル活用が進行している点に触れている。
Gartnerが2025年4月に実施した調査によると、IoTプラットフォーム、サイバー攻撃や内部不正対策技術、5Gの導入が2023年比で3〜4割程度増加したことが確認されている。短期間でデジタル関連の採用が広がった状況が示され、次世代型スマート社会に関するテクノロジーの関心が高まっていることがうかがえる。
次世代型スマート社会を構成するテクノロジーには、成熟まで長期間を要するものが含まれる。衛星コンステレーションや次世代ドローン、エッジ映像解析などは2〜5年以内の成熟が予測され、次世代型スマートシティー、次世代型スマートマニュファクチャリング、マシンカスタマー、デジタルツインなどは5〜10年の期間が必要と見込まれている。
次世代型スマート社会において、クラウドやAIの処理を支える基盤として、エッジ側での処理高度化が求められる状況が生じている。エッジデバイスが自律的に判断し、相互に連動する構造を成立させる技術の重要度が増し、その進化が続いている。新しいネットワーク技術やAI活用の広がり次第において、関連技術の成長スピードが高まる可能性も示されている。
バイスプレジデントアナリストの池田武史氏は、全てが接続される未来像が現実的な動きになってきた点を指摘している。人材面や技術の成熟度に課題がある状況でも、この潮流から離れた判断は取りにくいと述べた上で、各組織の責任者が自社戦略を見直す必要性に触れている。
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