ペネトレーションテストを統一する新ツール「NETREAPER」が登場:セキュリティニュースアラート
70種以上のペネトレーションテストツールを統合した「NETREAPER」が公開されている。複数の端末や個別ツールを切り替える負荷を減らし、メニュー方式で迅速に操作できる統合環境として注目されている。
セキュリティニュースメディア「Cybersecurity News」は2025年12月8日(現地時間)、OFFTRACKMEDIA Studiosが開発した統合型オフェンシブセキュリティツールキット「NETREAPER」について報じた。
NETREAPERは70種以上のペネトレーションテスト用ツールを単一のコマンドライン環境にまとめたもので、複数端末や個別ツールを使い分けずに操作手順を統一できる。従来はネットワークスキャンにnmapの細かなオプションを確認する必要があり、無線関連の攻撃ではaircrack-ng系ツール群を切り替え、認証情報解析ではhashcatやjohnのどちらを使うか判断する手間が発生していた。NETREAPERはメニュー方式により適切な機能に素早く到達できる環境を提供し、この負荷を軽減する仕組みを提供している。
nmap、Metasploitも一本化、「NETREAPER」が侵入テストの複雑な操作を解消
メニューには「Recon」(偵察)、「Wireless」(無線)、「Exploit」(侵入)、「Credentials」(認証情報解析)、「Stress」(ストレス試験)、「OSINT」(公開情報分析)、「Post-Exploit」(後処理)などが用意されている。ReconではポートスキャンやDNS列挙、SSL/TLS解析、ARP探索などを扱い、WirelessではWPA/WPA2解析、パケット取得、強制切断、WPS悪用、悪意あるアクセスポイント生成などを実施できる。
Exploitにはペネトレーションテストフレームワーク「Metasploit」やSQL処理の自動化、Web脆弱(ぜいじゃく)性の確認、ディレクトリ探索などが含まれ、CredentialsではGPU/CPUを利用したハッシュ解析やSMB・WinRM関連の手法が利用できる。Stressではhping3やiperf3を利用したパケット送出や通信量試験を実施し、OSINTではインターネットスキャンやトラフィック解析を扱う。Post-Exploitでは権限上昇の指針や横移動の補助機能が提供されている。
操作性については初期設定支援やガイド付き操作、JSON形式の状態出力、参照用情報の提示などが用意され、経験の浅い利用者でも作業工程を把握しやすい構造となっている。ログレベル調整や監査記録、進行状況表示、操作確認、入力内容の安全化処理など、報告書作成や検証手続きに関連する機能も充実している。
導入は2種類の構成から選択できる。約500MBの最小構成は短時間で導入でき、約3〜5GBの完全構成は幅広い機能を扱いたいユーザーに適している。セッション管理機能によって作業の中断や再開が柔軟に行える特徴もある。GitHubの説明によれば、レポート生成機能を備えており、実務用途に向いた形式で出力可能とされている。
利用対象は幅広く、攻撃手法を扱う専門家だけでなく、防御側の担当者が相手方のツール群を理解する目的で利用でき、学習者はメニューに沿って手順を学べる。業務として評価作業を行う組織にとっては、環境の統一と記録管理の容易さが利点となる。
ただし、NETREAPERは正当な許可を得た環境でのみ使用すべきツールと警告している。不正アクセスに該当する行為は米国のコンピュータ詐欺・乱用法(CFAA)違反となり、重大な法的処罰を受ける可能性がある。利用者には書面による許可取得や行動の記録保持が求められており、使用の際には最新の注意を払うことが推奨される。
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