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「国産」メインフレームを選んだトヨタ生協 決断を後押しした4つの理由移行後のDXを見据えた安全・安心な業務システム移行の舞台裏

「今のメインフレームはサポートが終了する。しかし、オープン化のコストは高すぎる」――。複数のベンダーがメインフレーム事業からの撤退を表明する中、こうしたジレンマに直面している企業の選択肢は何か。トヨタ生協が国産メインフレームへの移行を決断した理由に迫る。

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 メインフレームを抱える企業が、岐路に立たされている。複数のベンダーがメインフレーム事業からの撤退や自社製造の終了を表明していて、長年にわたって基幹システムを支えてきたIT基盤の将来が見通しにくくなっている。

 オープン系やクラウドへの移行を検討するケースは多いが、その道も平たんではない。移行時の開発コストに加え、OSやミドルウェアの更新に伴うメンテナンスコスト、保守体制の再構築といった負担が重くのしかかるためだ。

「NEC製『国産』メインフレームに移行する」という選択肢

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NECの鈴木良尚氏(コンピュート統括部 サーバモダナイビジネスグループ ディレクター)

 現在のIT基盤を巡る課題に対して、NECは「適材適所のハイブリッド環境」を提唱する。メインフレームとオープン系、クラウドを共存させ、それぞれの強みを生かすという発想だ。NECは、自社開発の国産メインフレーム 「ACOS-4」(以下、ACOS)の 「ACOSシリーズ継続宣言」を掲げて、「プラットフォームの継続強化」「お客様資産の継承・価値拡大」「安心サポートの維持継続」を打ち出している。

 NECの鈴木良尚氏は「DXを推進するからといって、必ずしもITシステム全体を再構築する必要はありません」と語る。止まっては困る基幹システムはメインフレームに残し、ビジネスニーズに適応させるために頻繁な改修が求められる業務システムはオープン系やクラウドに移行して両者を連携させるのが「最も効率がいい」というのがNECの提案だ。

 メインフレームは堅牢(けんろう)さや稼働の安定性が高く評価されているが「割高」というイメージが根強い。しかし、改修頻度やセキュリティ対策コストを抑制できるため、長期的に見るとオープン系やクラウドより低コストになるケースもあると鈴木氏は説明する。

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ACOS-4の特長

3年以上悩んだ「オープン化」より、メインフレームを選択した理由

 「メインフレームの継続」「ACOSへの移行」を決めたのがトヨタ生活協同組合(以下、トヨタ生協)だ。同組合は、1945年にトヨタ自動車の互助会としてスタートし、今では28万人の組合員を擁する職域生協だ。トヨタ自動車を中心とする食堂、売店、地域の店舗や宅配、さらには組合員の生活をサポートする生活文化、介護、医薬、葬祭など「ゆりかごから墓場まで」の事業を幅広く展開。トヨタ生協の山口智氏は「私たちはトヨタ自動車の福利厚生を最も深く理解している組織です」と自負する。

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トヨタ生協の山口智氏(理事)

 同組合は 創立100周年に向けて「変化対応力の強化」を経営課題として位置付けており、今回のシステム刷新もその一環だ。1976年にメインフレームを導入して、約20年前にシステムの約6割をオープン系サーバに移行した。メインフレームに残った4割は、組合員管理や宅配の受発注・請求といった中核業務だ。

 しかし、現行ベンダーがメインフレーム事業の撤退を発表。トヨタ生協は残る4割のオープン化を検討した。オープン化にかかるコストは初期投資だけではない。オープン系はOSやミドルウェアのサポート期間が短く、アップデートに伴ってアプリケーションの検証や改修が必要になる。「オープン化でコストを軽減できる」という印象とは裏腹に、長期的にはコストが膨らむリスクをはらんでいた。

 トヨタ生協が複数のベンダーから提示されたオープン化の見積もりはいずれも高額だった。システム移行は現行機能の維持が目的で、それ自体が新たな価値を生むわけではない。多額の費用をかける根拠を見いだせず、同組合は3年以上の長い時間検討を要していた。

 海外ベンダー製メインフレームへの切り替えも検討したが、折しも海外製品のライセンス体系の変更による影響が波紋を広げていた時期で、海外製品への不安が高まっていた。そこでトヨタ生協の明石真弓氏が目を向けたのがNECだった。

 「NECさんとの取引はありませんでしたが、WebサイトのACOSシリーズ継続宣言を見て、この先も安心してメインフレームを使い続けられると確信して、すぐに問い合わせました」

社内決裁を後押しした「内製体制維持」「セキュリティ対策の追加コスト抑制」

 内製体制の維持もACOSの選定を後押しした要因の一つだ。オープン系に移行する場合、開発は外部に委託する可能性が高い。これには「外注費用の増大」「仕様変更に迅速に対応できない」などの懸念がある。トヨタ生協にはCOBOL技術者が複数人在籍しているため、ACOSへの移行であれば現行のCOBOL資産と内製体制をそのまま引き継げることが魅力だった。

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トヨタ生協の明石真弓氏(情報システム部 部長)

 セキュリティも重要な判断材料だった。情報漏えいのリスクは、約28万人の組合員情報を扱うトヨタ生協にとって重要な経営課題のひとつだ。メインフレームは独自のアーキテクチャを持つため、一般的なOSを想定したマルウェアやサイバー攻撃の影響を受けにくい。万一侵入された場合でも、システム内部でアクセス権限を厳格に制御しているためセキュリティ面での安全性を確保しやすい。「社内決裁の際に、オープン化する場合に必要なセキュリティ対策コストを回避できることを強調しました」(明石氏)

 コスト面でもACOSへの移行は魅力的だった。明石氏の試算では、ハードウェアの初期費用だけを比べるとオープン系の方が安い。メンテナンスやセキュリティ対策、OS更新への対応などを含めて10年スパンで比較すると、ACOSのトータルコストはオープン化の半分以下になった。内製体制を維持することで外注費用も抑えられ、運用の負担も軽減される見通しだ。

 NECによる業務理解の深さも決め手の一つだった。「NECには全国の生協システムを担い、実績のある生協専門の事業部隊がいるので心強いです。例えば宅配では『週1回のサイクルで商品を届ける配達業務』など、生協特有の業務を説明しなくても理解してくれます」と明石氏は安心感を語る。

 「内製体制の維持」「セキュリティ」「コスト」「業務理解」の4つの観点からACOSの優位性が明らかになり、経営層の判断も固まった。山口氏は「身の丈に合った投資なのか、情報漏えいのリスクに確実に対処できるベンダーなのか――。複数の事業を抱える当組合として、最も有効な選択肢を選びました」と判断の基本方針を語った。

「安全・安心な移行」を実現する支援体制

 「メーカーが異なるメインフレームへの移行は技術的に困難なのではないか」と不安視する向きもある。これに対して、NECの鈴木氏はオープン系への移行よりもシンプルだと述べる。

 「メインフレームのソフトウェア構成は各社で類似していて、ミドルウェアも一対一の対応関係が成り立ちます。『何を何に置き換えるか』が決まっているため、移行元と移行先の両方のノウハウがあれば着実に移行できます」

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ACOS-4へのマイグレーションサービスの概要
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NCS&Aの倉慎吾氏(ITサービス事業本部 営業事業部 第二営業部 部長)

 今回の移行プロジェクトは資産移行、運用移行、基盤移行を専門とする3つのチームが対応した。資産移行を担うのは移行サービスに強みを持つシステムインテグレーターのNCS&Aだ。その強みについて同社の倉慎吾氏はこう語る。

 「当社は主要なメーカーのメインフレームやオープンマイグレーションに多くの実績があり、大手銀行や保険会社のシステム移行も多数手がけています。東京と大阪に100人以上の専門組織を配置し、パートナーを含む数百人規模の体制で、複数の案件を推進しています。また、移行サービスプロセスでは複数のポイントを設け、生産性と品質を両立させた『安全・安心な移行』をご提供しています」

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NCS&Aの高森良樹氏(ITサービス事業本部 営業事業部 第二営業部 第二課)

 同社は、独自の移行手法によって品質を維持している。そのプロセスについてNCS&Aの高森良樹氏は次のように説明する。

 「移行対象となる全資産を『言語』『定義』『処理方式』の3つの観点で評価し、設計工程以降のボリュームや移行課題の把握、移行後のシステムイメージの具現化を行います。これが手戻りを防ぐ要になります。その結果、調査規模の圧縮、期間の短縮を実現するとともに、品質のばらつきを防いでいます」

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システム資産の移行サービスのプロセス
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NECソリューションイノベータの鬼頭朋宏氏(ACOSソリューションセンター センター長)

 運用移行と基盤移行は、NECソリューションイノベータのACOS専門組織が担う。同組織にはACOS専門技術者100人以上が集結している。同社の鬼頭朋宏氏は移行方法のポイントを以下のように述べる。

 「運用移行の際、設定パラメーターをそのまま移すことはしません。現行環境で何をどう使っているかをお客さまにヒアリングして、要件定義から設計し直します。使っていない機能を省くことで最適な運用環境の構築につなげます」

 技術的な後方支援にはACOSのOS開発者が控えているため、さまざまな問題に対応できる。プロジェクト管理面ではトヨタ生協とNCS&A、NECの3社による週次の定例会議を実施し、課題をリアルタイムで共有・解決する体制を整えた。NECの吉田剛氏は「打ち合わせの場で問題を明確にして技術部隊にフィードバックすることで、方向性のズレを防いでいます」と話す。

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NECの吉田剛氏(コマースソリューション統括部 第二CO-OPグループ 主任)

 2025年5月に開始したトヨタ生協の移行プロジェクトは2027年5月のテスト完了を予定しており、同年夏の本番稼働を目指している。現新比較テストの段階からトヨタ生協の内製チームが参加し、新環境の習熟度を深めながらプロジェクトを進める計画だ。

100年企業に向けた投資とデータ活用の展望

 トヨタ生協にとって、今回の移行はシステムの延命だけが目的ではない。メインフレームのデータを外部から参照するには専用プログラムを開発する必要があり、これがデータ活用のハードルになっていた。移行後は異なるシステム間でデータを共有するための接続規格であるODBC(Open Database Connectivity)連携機能を活用し、組合員マスターデータにPCからアクセスできる環境の構築を計画している。

 「組合員とのやりとりを蓄積して、一人一人の『カルテ』のようなものを作りたい。過去の問い合わせ内容を踏まえた対応ができれば、サービスの質は大きく変わります」(明石氏)

 山口氏は今回の選定を振り返り、パートナー選びで重視した点をこう語る。

 「大切なのは、困ったときにしっかり対応してもらえるパートナーの存在です。トヨタ自動車が新たな挑戦を続ける中で、われわれも変化に対応しなければなりません。NECさんには、そのパートナーとして末永く伴走していただきたいと考えています」

 NECは、ACOSへの移行完了後も継続してDXを支援する方針だ。同社はビジネス変革の知見を体系化した価値創造モデル「BluStellar」をDX事業の中核に据えている。今後、ACOS-4への移行プロセスをBluStellarの枠組みに組み込み、知見として体系化することで、品質と再現性を担保しながら、安定的かつ迅速な導入を実現する。さらに、データ活用やAI活用、マネージドサービス、セキュリティといった付加価値サービスを強化することで、単なる移行にとどまらない継続的な価値創出と展開拡大を目指していく。

 鈴木氏は「メインフレームの移行先でお悩みのお客さまは、ぜひ一度ご相談ください。お客さまのビジョンやシステム特性に最適なプラットフォームの組み合わせを提案します」と呼びかけた。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年6月16日

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