AIエージェントの本格化で激変するデータ基盤――なぜ先進金融機関はCouchbaseを選ぶのか:既存資産を生かし、ガバナンスとコストを両立する「AI Ready環境」作りの指針
AI/AIエージェントの導入による業務プロセスの改革を急ぐ金融機関は多い。対応するにはデータ基盤の「AI Ready」化が必須だが、対応を急ぎ過ぎて選択を誤れば将来に大きなリスクを抱える可能性もある。既存環境に影響を与えず、AI Ready化を目指すアプローチを推奨するCouchbaseはどのような解決策を提示するのだろうか。
金融AI推進における「3つの経営リスク」
多くの金融機関がAIエージェントによる生産性向上や業務改革を急いでいる。だが、実務を担うIT部門は複雑化したレガシーなデータ基盤を前に「どのような手順を踏めばAIに対応できるか」を明らかにできず苦慮するケースも多い。AI活用を阻む問題の本質は、整理されたはずのデータが、実はAIが自律的かつリアルタイムに判断できる「AI Ready」な状態になっていない点にある。
サイロ化したデータをデータレイクなどで統合する手法も考えられるが、データの変換に伴うリアルタイム性の喪失や開発コストの肥大化が課題になる。不可欠なリアルタイム性が失われれば誤った判断を招きかねず、セキュリティが複雑化するリスクもある。
AI Readyな業務環境を整備するに当たって、経営層が懸念するのは、(1)コストの不確実性:利用予測の難しさがもたらす、インフラやトークンコストの予測困難な急増。(2)ガバナンスの危機:AIのブラックボックス化に伴う説明責任の欠如。金融庁をはじめとする規制当局への透明性の担保。(3)チェンジマネジメントの失敗:既存システムへの影響を恐れるあまり現場への定着が進まず、投資対効果(ROI)を回収できない構造的失敗だ。
ここで、この理想と現実のギャップに明確な解を与え「AI Ready」な形に統合する別のアプローチを提案するのがCouchbaseだ。同社CEOのBJ・シャクノウスキー氏、チーフ・プロダクト&ストラテジー・オフィサーのバリー・モリス氏、Couchbase Japanカントリーマネージャーの大浦学氏に、AI時代の金融機関が備えるべきデータ基盤の要件とその実現方法を聞いた。
CitiやFICOのインフラを支える実績―ミッションクリティカルな信頼こそがAI時代の土台になる
Couchbaseは通信、金融、流通業など、ミッションクリティカルかつ大規模なシステムでの採用実績を強みとしてきた。「他のNoSQLと違い、大規模エンタープライズの要件に対応できる点が強みだ」と、2025年にCEOに就任したシャクノウスキー氏は語る。米国主要銀行が同社の顧客であり、Citi(シティグループ)はCouchbaseを標準データベース基盤として採用し、数多くのアプリケーションが稼働中だ。クレジットカードの不正検知を手掛けるフェア・アイザック(FICO)の事例によると、同社は世界のクレジットカードおよびデビットカードの65%にのぼるスコアリング処理を担っており、そのシステム基盤としてCouchbaseが採用されている。
モリス氏は「これほどミッションクリティカルな金融データをリアルタイムに扱ってきた実績があるからこそ、より高い信頼性が求められる金融機関の生成AI・AIエージェントのデータ基盤も支えられる」と説明する。
日本国内では、大手企業が複数のデータベース製品を組み合わせて運用していたが、管理負荷とコスト増という課題を抱えていた。基幹システムを維持しつつ広告配信レイヤーをCouchbaseに集約し、ほぼ100%の可用性と低遅延なデータ配信を実現しながらTCOを20%削減した。これは既存システムを壊さず新たな層を築くCouchbaseのアプローチを裏付ける事例であり、後述するAIエージェント時代のデータ統合の考え方と地続きにある。
「AI Readyではない」現実が、AI投資を空回りさせる
では、金融機関のAI導入を阻んでいる正体は何か。モリス氏は「データが『AI Ready』になっていないことに尽きる」と分析する。
長年の運用でサイロ化が進んだデータ資産は部門ごとに分散し、保存・アクセス方法やアプリケーションも複雑に入り組んでいる。これを従来のデータレイクにバッチ統合する手法では、参照データのリアルタイム性が失われるだけでなく、データ追加のたびに開発工数がかさみ、迅速さが求められるAI活用とは根本的に相性が悪い。
シャクノウスキー氏も「日本の金融機関の多くが、複雑化したデータ基盤を前に、AI/AIエージェントをどう取り入れるべきか分からない状況にある」と指摘する。この膠着(こうちゃく)状態こそ、経営層が向き合うべき最大のボトルネックだ。
Couchbaseが提案するのは、既存のデータベースを変更せず、Couchbaseを「ハブ」として活用するアプローチだ。既存システム(SoR:System of Record)を壊さないため、低コスト・短期間でAI Ready環境を構築できる。データレイクを新たに用意する手間もかけずに、高レスポンス・スケーラブルなデータアクセスを実現できる。
コストコンシャスで安全なAIエージェント活用を支える「AIデータプレーン」
この強みをエンタープライズ品質に昇華させた新プラットフォームが「AIデータプレーン」だ。何百、何千というAIエージェントが連携して業務を遂行する世界では、エージェントが過去の文脈を長期間保持しながら、機密情報を守って行動する必要がある。モリス氏は「AIと人が協働するには、AIが人と同じように記憶を保持し、適切なデータにアクセスする必要がある。ガバナンスを順守し、無駄な動作を繰り返させない統制も欠かせない。AIデータプレーンはそれらをワンセットで提供する」と語る。
AIデータプレーンは、エージェントの自律稼働を支える「4つの特徴」で構成される。
| 特徴 | 金融機関における意味 |
|---|---|
| (1)記憶:エージェントメモリ | エージェントの短期/長期記憶を管理し、セッションを越えて文脈を共有。AIが過去の内容や業務コンテキストを正確に踏まえた、一貫性のある高度な対応を継続的に提供 |
| (2)コネクト:MCPサーバ | Couchbase専用のMCP(Model Context Protocol)サーバを介し、超高速データ基盤へのセキュアなアクセスを一元化。重いデータ集約(ETL)を介さず、Couchbase内の最新データにAIが直接アクセス。リアルタイムな与信判断や高度な不正検知を可能に |
| (3)ガバナンス:エージェントカタログ | AIエージェントのためのツール、プロンプト、トレースを一元管理し、その判断履歴や監査ログを記録。「AIがどのような論理でその結論に至ったか」のプロセスを、金融庁など規制当局へいつでも明確に開示できる、「透明性の高いAI環境」を実現する |
| (4)コスト最適化:LLMキャッシュ | キャッシュや推論結果の再利用によって不要なLLM呼び出しを削減し、AI運用コストを最適化する |
これらの機能を支えるのが、大量データを高速処理する基盤性能だ。Couchbaseは業界標準ベンチマーク「VectorDBBench」において、10億件規模のベクトルデータに対して93%という高い記憶再現率(リコール精度)を維持しながら、毎秒700件を超える処理速度(QPS)を実証した。同条件下で他社ソリューション比350倍以上の性能を発揮した*。取引量の多い金融機関でも、AIエージェントを遅延なく稼働させられることが証明された形だ。ミリ秒単位の遅延が機会損失やCX低下に直結する金融の現場では、この性能差はそのままビジネスインパクトにつながる。
「1年前、『10億件のベクトル処理を超高速で行える』と説明すると、多くのお客さまが『そこまでの性能は必要ない』と答えました。しかし、AIエージェントに取り組み始めた現在は、『その性能こそが鍵だ』と気付き始めています。まさに時代がCouchbaseに追いついたのです」(シャクノウスキー氏)
SoRの隣に「AIが自律的に動く新たな層」を築く――「システムを置き換えない」を前提としたチェンジマネジメントの成功モデル
こうした技術を日本の金融機関がどう自社システムに組み込むべきか。Couchbase Japanの大浦学氏は、既存の業務システムが持つ確定した記録(SoR:System of Record)を置き換えるのではなく、それらを「AIにとって価値のあるデータ」に変換する新たな層を組み合わせる方法を提案する。
「私たちが提供するのは、確定したデータを保持するSoRの隣で、顧客接点の層(SoE:System of Engagement)や、AIエージェントが自律判断して動く新たな層(SoA:System of Action)を支える統合データベースです。既存のデータ資産を生かしつつ、日々追加される多様なデータをAIでリアルタイムに分析し、顧客への提案や次のアクションにスピーディーにつなげられます」(大浦氏)
SoAは単なるデータベースのレイヤー構造の話ではない。これからはAIが自律的に判断し、業務そのものを実行する時代(System of Action)が到来する―その心臓部を担うのがCouchbaseだ、というのが3氏に共通するメッセージだ。
この未来像を日本市場で実現させるため、大浦氏を中心に体制構築が急ピッチで進む。「営業やプリセールス、カスタマーサクセス、プロフェッショナルサービスを含む組織を構築しており、全国をカバーするパートナーや特定の技術・業界に強いパートナーと、伴走型の支援体制を整えています」(大浦氏)。技術の優位性だけでなく、導入後も継続的に成果を伸ばしていける実行体制こそが、日本企業がAI投資を成功させる鍵になる。
「私たちの製品を最も必要としている大企業や特定の業界、地域に投資を集中しています。日本も最優先市場の一つであり、多大な影響力を持つ日本企業と共に歩み、成長したいと考えています」(モリス氏)
「5年後の目標は、AIのためのデータ基盤における絶対的なリーダーになること。技術面では既に十分にそのポテンシャルを持っており、金融機関をはじめとするラージエンタープライズで既に多くの実績があります。多様なユースケースと実装の経験から、いま日本企業がAI対応で直面する複雑な課題にも、エンタープライズ品質を考慮した解決策を提示できると確信しています」(シャクノウスキー氏)
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提供:Couchbase Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年9月19日







