「高くても今買っておく」 ストレージ高価格帯、9割増の背景は?:IT調査ピックアップ
IDCによると、世界の外部エンタープライズストレージ市場が2026年第2四半期に前年同期比33.6%増と急伸し、ハイエンド帯は9割増となった。企業の“駆け込み”を後押しした「3つの要因」とは。
米IDCはこのほど、世界の外部エンタープライズストレージシステム(ESS)市場に関する調査結果を発表した。同市場は2026年第2四半期に前年同期比33.6%の成長を遂げ、ここ数年で最も力強い成長局面を維持しているという。
同市場の2026年第2四半期売上高は103億ドルに達し、四半期別では過去最高だった2025年第4四半期に次ぐ、過去2番目の水準となった。第4四半期を除く四半期としては過去最高の売上高だ。
成長率は2026年第1四半期の28.7%からさらに拡大し、2四半期連続の加速となった。2025年通年の成長率3.9%を大きく上回る水準だ。
なぜ今、企業はストレージの購入を急ぐのか
価格帯別では、特に高価格帯の伸びが大きい。だが、IDCが挙げる理由はAI需要だけではない。急成長を生んだ3つの要因とは何か。
IDCは、今回の急成長の背景には3つの要因が重なっていると分析している。まず、部品価格のさらなる上昇を見越し、予算や構成を確保するために購入を前倒しする駆け込み需要が企業の間で広がっているという。
次に、部品価格の上昇はオールフラッシュやハイブリッド、HDDのみで構成するシステムまで全区分に及んでおり、システム価格を押し上げた結果、顧客が支払う費用は増える一方、購入できる容量は減っているとしている。
さらに、2024年から2025年にかけてサーバやAI関連の投資が優先され、後回しにされてきた複数年にわたるインフラ更新需要が、足元で本格的に表面化しており、特にハイエンド市場でその傾向が顕著だという。
根本的な要因は部品供給にあり、NANDやDRAMの生産能力は利益率の高いメモリ製品向けに優先配分され続けており、特にSSD価格への影響が大きいという。
オールフラッシュと高価格帯がけん引
製品区分別では、オールフラッシュアレイ(AFA)が売上高54億ドル(前年同期比42.9%増)で市場全体の52.1%を占めた。ハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)は39億ドル(同25.5%増)で37.5%を占め、HDDのみで構成するシステムも11億ドル(同22.6%増)で10.4%を占めるなど、いずれの区分も伸びを示した。
価格帯別では、平均販売価格が25万ドルを超えるハイエンドシステムが27億ドル(同90.6%増)と急伸し、市場全体の26.2%を占めるまでになった。伸び率は2026年第1四半期の60.7%増からさらに加速した。大規模なAIインフラ向けストレージ導入が背景にあるという。2万5000〜25万ドルのミッドレンジシステムは67億ドル(同28.2%増)で64.8%を占め最大の構成比を維持した一方、2万5000ドル未満のエントリー帯は9億ドル(同14.6%減)と縮小した。
2026年上半期の売上高は前年同期の153億ドルから28.2%増加した。これは2025年通年の成長率3.9%を大きく上回る伸びだという。
地域別と企業別の市場勢力図
地域別では、調査対象の9地域全てが前年同期比でプラス成長となった。伸び率が最も高かったのはカナダ(同77.2%増)で、日本と中国を除くアジア太平洋地域(APeJC、同73.1%増)、中東欧(同54.1%増)が続いた。最大市場の米国も26.8%増の36億ドルとなり、世界市場の35.3%を占めた。一方、日本は9地域中で最も低い12.9%増(3億260万ドル)にとどまった。
企業別では、Dell Technologiesが23.8%のシェアで首位を維持し、前年同期比42.5%増と大きく伸ばした。2位はHuaweiで、シェアは11.3%、前年同期比29.4%増だった。3位はNetAppで、シェアは9.6%、同35.7%増だった。4位のEverpure(旧Pure Storage)はシェア8.1%にとどまったものの、伸び率は同50.0%増と上位5社で最も高く、サブスクリプション型モデルの浸透やAI最適化プラットフォームの拡大が寄与したという。5位はHewlett Packard Enterpriseで、シェア6.8%、同31.9%増だった。
IDCは、部品供給の制約が2028年より前に大きく改善する見込みはないとの見方を示している。
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