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AIエージェントの業務管理、答えは「プロジェクト管理」にある? NTTテクノクロスの「AI-PMO」構想を基に考察:Weekly Memo

人間とAIエージェントが協働してどのように成果を上げ、目標を達成するか。そのマネジメントはプロジェクト管理の手法で担えないか――。NTTテクノクロスの取り組みから発想したことについて考察する。

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 人間と共にさまざまな業務を自律的にこなすAIエージェントとともに働くようになるとき、その業務管理をどのように実施すべきか。企業の業務の多くがプロジェクトとして動いていることを考えると、AIエージェントに対応したプロジェクト管理ソリューションがあれば、人間とAIを分けることなくマネジメントできるのではないか。かねてそんなことを考えていたところ、NTTテクノクロスがAIを活用したSaaS(Software as as Service)型プロジェクト管理ソリューションを発表したので、これを機にプロジェクト管理の在り方を考察したい。

NTTテクノクロスが提唱する「AI-PMO」構想とは

 まずは、NTTテクノクロスの新ソリューションについての話を紹介しよう。「NTTの研究所の先端技術を軸として、世の中の優れた技術やサービスを掛け合わせたソリューションを提供するソフトウェア開発企業」である同社は2026年10月8日、システム開発プロジェクトの各種報告書やコミュニケーション履歴などをAIが分析し、遅延や品質低下などのリスク兆候を可視化するプロジェクト分析ソリューション「PromanAIde」(プロマネイド)の提供を開始したと発表した。

 発表に際し、同社の小西史和氏(取締役 クロスプラットフォーム事業部 事業部長)、岡下広行氏(クロスプラットフォーム事業部 第二ビジネスユニット ビジネスユニット長)、奥地優雅氏(同 統括マネージャー)が、東京・大手町のNTT会見室で説明会を開いた。


左からNTTテクノクロスの小西氏、岡下氏、奥地氏(筆者撮影)

 PromanAIdeは、進捗(しんちょく)報告書や課題管理表、議事録などプロジェクト運営で作成される資料を活用し、熟練PM(プロジェクトマネージャー)や品質管理部門が着目する観点からリスクの兆候を抽出するとともに、複数プロジェクトの状況やリスクを横断的に分析・可視化することで、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)や品質管理部門が見落としやすい遅延や品質低下につながる兆候の把握を支援する。NTTテクノクロスが提唱する「AI-PMO」構想の第一弾として、プロジェクト管理の効率化と意思決定の高度化を目指す構えだ。

 会見で小西氏は、企業が直面するプロジェクトの課題について次のように指摘した。

 「変わり続ける時代の経営に問われているのは『何を変えるか』だけでなく、変革を成果へ結び付ける力だ」

 変化に適応するためには各プロジェクトの成功率向上が重要だと説いた(図1)。


図1 企業が直面するプロジェクトの課題1(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 ただし、「プロジェクトの数や情報量が増えると、判断に必要な意味を捉えにくくなる」とも指摘。そうした多くの情報から「判断すべき変化」を見極めることが重要だとも述べた(図2)。


図2 企業が直面するプロジェクトの課題2(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 また、「プロジェクトの見えにくさは『守り』と『攻め』の双方に影響する」として、守りにおいて企業価値の毀損を防ぎながら、攻めとして変革を前に進めるべきだと説いた(図3)。


図3 企業が直面するプロジェクトの課題3(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 そして、「大きな企業課題を見据え、業務に根差した一歩を積み重ねていくためには、プロジェクトの実行を支える具体的な取り組みとして『PMOの進化』が必要だ」と強調した(図4)。


図4 企業が直面するプロジェクトの課題4(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 PMOとは本来、組織内の複数のプロジェクトを横断的に管理・支援する専門部署のことで、個々のプロジェクトからは独立した立場で、プロジェクト管理手法の標準化、進捗や課題の一元的な把握、プロジェクト間のリソース調整、担当者の育成などを担う。

 そうしたPMOの進化として、同社が提唱するのがAI-PMO構想だ。

 小西氏に続いて説明に立った岡下氏は、AI-PMOについて「AIにより複数プロジェクトの状況やリスクを横断的に可視化し、原因分析や対応策の提示を通じてPM、PMO、管理部門から経営層までの迅速かつ質の高い意思決定を支える仕組み」と説いた。とりわけ強調したのが「経営層までの意思決定を支える」役割を担うことだ。

 そして、同社が描くAI-PMOの進化のロードマップとして、図5のように5つのステップを示し、「AI-PMOの進化とともに、PMの経験と知見は企業の資産へと変わる」と説いた(図5)。


図5 AI-PMOの進化のロードマップ(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 会見でのここまでの話を紹介したのは、今回同社が発表したPromanAIdeはシステム開発プロジェクト向けではあるが、AI-PMOに至る考え方はどの分野のプロジェクト管理にも共通すると見て取れるからだ。

AIエージェントにも対応したプロジェクト管理に期待

 ちなみに、PromanAIdeについては「ステップの2番目と3番目に相当する」(岡下氏)とのこと。NTTテクノクロスがこのソリューションを提供する価値としては、同社がこれまでの大規模システム開発で培った「リスク管理」「先回りして対処する力」「プロジェクトを成功に導く力」を挙げた(図6)。


図6 NTTテクノクロスがPromanAIdeを提供する価値(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 PromanAIdeの機能については、岡下氏に続いて登壇した奥地氏が図7の内容を説明した。


図7 PromanAIdeの機能(出典:NTTテクノクロスの説明資料)

 以上が、同社の今回の発表および会見の概要だ。

 この機会に、冒頭でも触れたAIエージェントにも対応したプロジェクト管理についての筆者の見方を述べたい。

 プロジェクトは一般に、一定の期間内に特定の目標を達成するための活動と捉えられる。そのマネジメントの基本となるのが、目標の達成に向けて業務の手順や進め方、進捗、品質、コスト、リスクなどを体系的に管理する「プロセス管理」という考え方だ。

 プロジェクト管理とは単に計画を立て、スケジュールや進捗を管理することではない。目標を明確にした上で、そこに至るプロセスを設計し、実行状況と成果を把握し、必要に応じて軌道修正を行うことによって、目標の達成を確実なものにする取り組みだ。

 この考え方は、人間が業務を遂行する場合に限らない。AIエージェントが自律的に情報を収集し、判断し、複数のタスクを実行するようになるほど、個々の作業をAIに任せるだけでなく、それらの作業をどのようなプロセスで組み合わせ、全体として何を達成するのかを管理することが重要になる。

 人間が実行するのか、AIエージェントが実行するのかという違いはあっても、目標を設定し、実行プロセスを管理し、成果を評価し、必要な修正を加えるというマネジメントの基本は変わらない。むしろ人とAIエージェントが協働し、複数のAIエージェントが連携して業務を遂行する時代には、それぞれの役割と責任を明確にし、個々のタスクだけでなく、業務全体のプロセスと成果を統合的に管理することが不可欠となる。

 つまり、これからの時代に求められるのは、AIエージェントを導入すること自体ではなく、人とAIの能力を適切に組み合わせ、プロセスをマネジメントすることによって、組織としての目標を確実に達成することである。プロジェクト管理はそのための重要な基盤となるというのが、筆者の見方だ。

 重ねて強調しておきたいのは「人間がやるか、AIがやるかではなく、目標達成に向けてプロセスをどう設計し、どうマネジメントするかが重要」なのだ。

 その意味では、人間もAIも生かすことができ、多様な分野に適用可能なプロジェクト管理ソリューションの出現に期待したい。

 今回のNTTテクノクロスの会見でそうしたことにチャレンジするつもりはあるかと聞いたところ、「当社としては生業にしてきたソフトウェア開発分野からスタートしたが、プロジェクト管理の基本的な技術やノウハウを整備して多様な分野にも適用できるソリューションも手掛けられるようにしたい」(岡下氏)とのこと。もちろん、競合するソリューションも多々あるが、AIエージェントを生かせるものはまだ見かけない。NTTブランドに期待したいところだ。

 振り返ると、メディアではこれまでAIエージェント管理ソリューションを巡る話題がにぎやかで、筆者も注力して追いかけてきたが、人間もAIエージェントも生かすとなると、プロジェクト管理を適用するのが最適解ではないか。そんな思いを強くしたNTTテクノクロスの会見だった。

著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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