「アドベンチャーバイク」おすすめ5選 オフロードもキャンプツーリングもこなせる快適モデルを紹介【2023年5月版】
長距離を快適に走破できる「アドベンチャーバイク」。荷物が積みやすく、オフロードも楽にこなせます。2023年はホンダとスズキがミドルクラスに新機種を投入するなど、非常に活気づいています。
長距離を快適に走破できる「アドベンチャーバイク」。荷物が積みやすく、オフロードも楽にこなせます。2023年はホンダとスズキがミドルクラスに新機種を投入するなど、非常に活気づいています。
そこで今回は、アドベンチャーバイクの魅力と、250ccから1000ccオーバーまでのおすすめモデルを紹介しましょう。
大屋雄一
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学~工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
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アドベンチャーバイクは、4輪SUVの2輪版
舗装路もオフロードもそつなく走れるバイクは、デュアルパーパス、トラベルエンデューロ、クロスオーバー、スクランブラーなど、さまざまな呼称が存在しますが、近年はそれらをまとめて「アドベンチャーバイク」と呼ぶことが多いようです。4輪のSUVがそうであるように、モデルごとにオフロードの走破性に対する実力が異なりますが、総じて防風効果と積載性に優れ、長距離を快適に移動できるのが特徴と言えるでしょう。
ちなみにアドベンチャーバイクの祖とされるのは、1980年9月にBMWが発表した「R80G/S」です。798ccの空冷水平対向2気筒エンジンを搭載したこのモデルは、最高出力50psと昨今の400cc並みのパワーしかありませんでした。しかし、走る場所を選ばないというコンセプトと、パリ・ダカール・ラリーでの活躍もあり、世界的に大ヒット。BMWの2輪事業撤退という窮地を救ったほどで、この“GS”の歴史は今も連綿と続いています。
オフロードの走破性と足着き性の悩ましい関係とは
ネイキッドやスーパースポーツなど、オンロードを主体としたバイクには、一般的に前後17インチのホイールが採用されています。これに対してモトクロッサーなどオフロード走行のみを目的としたバイクは、障害物を乗り越えやすいようフロントには21インチ、リヤには19インチや18インチといった大径のホイールが装着されています。つまり、ホイール径が大きいほど未舗装路の走破性が高まるのです。
アドベンチャーバイクは、オンロードもオフロードもそつなく走れるのが特徴ですが、どちらに重きを置いているかはモデルごとに異なります。その違いは、ホイール径の大小から何となく見えてくるといっても過言ではありません。また、サスペンションのストローク量が長くなるほど衝撃吸収力が高まり最低地上高も高くなるので、丸太のような障害物を乗り越えやすくなります。
問題は、ホイール径が大きくなるほど、またサスストロークが長くなるほど車高が上がるので、どうしても足着き性が厳しくなります。またがった際、どうにか両足の爪先が床に着いたとしても、実際の地面は必ずしも水平ではありませんし、砂利や泥のように滑りやすいことも多々あります。初めてアドベンチャーバイクを買おうと思っている方は、シート高の数値を注視するだけでなく、実車にまたがって足着き性をチェックすることをおすすめします。
ライター厳選、おすすめのバイク用品はコレ!
おすすめの「アドベンチャーバイク」:スズキ Vストローム250
- 価格:64万6800円(税込、以下同)
- エンジン形式:248cc水冷4ストロークSOHC2バルブ並列2気筒
- 最高出力/最大トルク:24ps/22Nm
- 車重:191kg
- ホイール径:フロント17インチ、リヤ17インチ
- シート高:800mm
2016年に生産国である中国で先行発表され、2017年7月から日本でも販売されているのがスズキの「Vストローム250」です。フルカウルスポーツの「GSX250R」と基本設計を共有しており、前後17インチ径のホイールからも分かるように、オフロードの走破性はあまり高くありません。しかし、防風効果の高いウィンドスクリーンやナックルカバー、荷物を積みやすい大型のアルミ製リヤキャリア、メンテナンスの際に重宝するセンタースタンドを標準装備するなど、アドベンチャーを名乗るに相応しい仕様となっています。
エンジンは最高出力24psの水冷並列2気筒で、特別にパワフルというわけではありませんが、低回転域から粘り強いので疲れにくく、燃費性能にも優れるというロングツーリングに向いた特性となっています。純正アクセサリーでトップケースやサイドケースも用意されており、250ccクラスのアドベンチャーバイクを探している人にはピッタリのモデルでしょう。
おすすめの「アドベンチャーバイク」:スズキ Vストローム800DE
- 価格:132万円
- エンジン形式:775cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
- 最高出力/最大トルク:82ps/76Nm
- 車重:230kg
- ホイール径:フロント21インチ、リヤ17インチ
- シート高:855mm
スズキが2023年3月に発売したニューモデルが、「Vストローム800DE」です。車名からも分かるように、先に紹介した「Vストローム250」と同じシリーズですが、「800DE」はフロントに21インチホイールを採用したり、サスストロークをフロント220mm、リヤ212mmと長く確保したりするなど、オフロードでのハードな走行を想定した車体設計となっています。
エンジンは新開発の775cc水冷並列2気筒で、最高出力は82psとなかなかにパワフルです。出力特性を任意に選べるライディングモードや、リヤタイヤのスピンを制御するトラクションコントロール、未舗装路走行を想定した2モードABS、クラッチレバーの操作が不要な双方向クイックシフターなど、最新の電子制御システムをふんだんに盛り込んでいます。ちなみに車名の末尾にある「DE」はデュアル・エクスプローラーの頭文字で、オンロードもオフロードも楽しめる冒険者という意味とのこと。「Vストローム250」と同様に純正アクセサリーが充実しているのもポイントです。
ライター厳選、おすすめのバイク用品はコレ!
おすすめの「アドベンチャーバイク」:ホンダ XL750 トランザルプ
- 価格:126万5000円
- エンジン形式:754cc水冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒
- 最高出力/最大トルク:91ps/75Nm
- 車重:208kg
- ホイール径:フロント21インチ、リヤ18インチ
- シート高:850mm
スズキの「Vストローム800DE」から遅れること2カ月、2023年5月にリリースされたのがホンダの「XL750 トランザルプ」です。この車名は1986年に初登場し、今回およそ10年ぶりの復活となります。エンジンは新開発の754cc水冷並列2気筒で、最高出力は「Vストローム800DE」を上回る91psを達成。出力特性のほか、エンジンブレーキ、ウイリーコントロール付きのトラクションコントロール、ABSの4つを統合したライディングモードを搭載しています。
車体については、軽量高剛性のスチールフレームに、フロント200mm、リヤ190mmというストローク量を持つ高性能なサスペンションをセット。メーターパネル、スマートフォン、インカムとの連携を可能としたボイスコントロールシステムを採用するなど、「Vストローム800DE」以上に先進装備を盛り込んでいるのが特徴で、しかも「XL750 トランザルプ」の方が5万5000円安いというのは見逃せません。
おすすめの「アドベンチャーバイク」:ヤマハ テネレ700
- 価格:134万2000円
- エンジン形式:688cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
- 最高出力/最大トルク:73ps/69Nm
- 車重:205kg
- ホイール径:フロント21インチ、リヤ18インチ
- シート高:875mm
オフロードの走破性とツーリングでのユーティリティ性を高次元でバランスさせたアドベンチャーバイクとして、2020年7月に日本でも販売を開始したのがヤマハの「テネレ700」です。ホンダとスズキがそろってミドルクラスにアドベンチャーバイクを投入したのは、この「テネレ700」の存在が少なからず影響したことでしょう。
エンジンはネイキッドモデルの「MT-07」に搭載されている688cc水冷並列2気筒をベースとしたもので、「Vストローム800DE」や「XL750 トランザルプ」が電子制御をふんだんに盛り込んでいるのに対し、「テネレ700」はトラクションコントロールすら採用していないという割り切りぶりです。サスストロークはフロント210mm、リヤ200mmで、減衰力などを細かく調整できるようになっています。シート高は875mmと非常に高いのですが、約38mm下げたローダウン仕様も同価格で用意されているので、足着き性がネックという方はこちらを選ぶという手もあります。
ライター厳選、おすすめのバイク用品はコレ!
おすすめの「アドベンチャーバイク」:BMW R 1250 GS
- 価格:243万6000円~
- エンジン形式:1254cc空水冷4ストロークDOHC4バルブ水平対向2気筒
- 最高出力/最大トルク:136ps/143Nm
- 車重:256kg
- ホイール径:フロント19インチ、リヤ17インチ
- シート高:850/890mm
最後に紹介するのは、アドベンチャーバイクの元祖にして今もなお頂点に君臨するBMWの「R 1250 GS」です。現在、GSシリーズはこの1250以外にも「F 850 GS」「F 750 GS」「G 310 GS」があり、「R 1250 GS」と「F 850 GS」にはオフロード性能を高めた「アドベンチャー」というバリエーションモデルまで存在します。冒頭で紹介した1980年発売の「R80G/S」の直系にあたるのが「R 1250 GS」で、1254ccという排気量から最高出力136psを発揮します。
さまざまな仕様が用意されており、それらを全て説明するのは厳しいのですが、電子制御のサスペンションや、一定の速度を維持してくれるクルーズコントロール、車体の傾きを検知して進行方向を照らし続けるアダプティブヘッドライトなど、まさにプレミアムSUVのような豪華仕様となっています。ロングツーリングでの快適性は頭一つ抜きん出ている上、オフロードの走破性も優れるなど、基本性能の高さも世界中のGSファンを惹きつける要因の1つです。
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