登るのが大変だった「日本百名山」トップ4 急坂・スリリング・ロングコース……乗り越えた先には絶景のご褒美も
日本百名山への登頂経験が豊富な女子ライターが、「実際に登って大変だった無雪期の日本百名山」を4つ紹介します
日本百名山の難易度はさまざま。初心者でも挑戦しやすいコースもあれば、登山経験やスキル、そして登りきるための根気がいるスポットもあります。一方、キツイ登りを乗り越えるからこそ見られる絶景や得られる感動があるのも事実。
そこで今回は、日本百名山への登頂経験が豊富な女子ライターが、「実際に登って大変だった無雪期の日本百名山」を4つレポート。あわせて持って行ったギアも紹介します。
大変だったとはいえ、登山の標準装備を用意すればロープなどがなくても挑戦できるスポットばかりなので、登山レベルをあげたい人や、絶景を見たい人はぜひチャレンジしてみてください!
おかだあきほ
フリーランスライター兼アウトドアショップスタッフ。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。勤務するアウトドアショップのお客さまから寄せられるお悩みや自身の山体験を生かし、リアルで深い内容を発信! リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
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登るのが大変だった「日本百名山」4位:常念岳
「常念岳(じょうねんだけ)」は、長野県安曇野市・松本市にある標高2857mの山。安曇野エリアのシンボルとして、ピラミッド型の滑らかな山容が多くの人に愛されていますが、傾斜が美しい分、当然登るのも大変です。
常念岳のみを登るコースは「一ノ沢登山口コース」と「三股コース」の2つあり、どちらもコースタイムが10~15時間と長いため、1泊2日が基本。急な登りが続くため、中~上級者向けといわれています。
筆者が経験したのは「三股コース」。三股駐車場から前常念岳を経て常念岳に登頂するルートで、片道6時間ほどです。キツかった理由は、標高差が1600mもあり、とにかく急な登りと歩きづらい道が多いため、体力と神経を使うこと。眺望の少ない樹林帯の急登を乗り越えたあとは、足元の悪い岩場が続きます。
道に迷わないように岩に記されている「◯印」を頼りに登っていくのですが、手足を使って岩をよじ登る場面も。道迷いや滑落に注意し、落石を起こさないように慎重に登っていくため心身ともにキツイと感じました。
とはいえ、前常念岳を超えた後の稜線や山頂付近からは、槍ヶ岳や穂高連邦の絶景が広がっており迫力満点! また登山道には雷鳥の姿も。親子やカップルで歩く姿をみて癒されました。
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登るのが大変だった「日本百名山」3位:富士山
「富士山」は、言わずと知れた日本最高峰の山。初心者でも挑戦する人が多いほどポピュラーですが、筆者が過酷だと思った山の一つです。その原因は「高山病」。富士山は標高3776mと、日本アルプスなど他の高山よりも非常に高いため空気が薄く、高山病になりやすいのです。
途中までは大丈夫だったのですが、3200mをこえたあたりからズキズキと頭が痛くなってきました。そして8.5合目の山小屋に宿泊した翌朝、山頂に向かう頃には吐き気や息苦しさも……。疲労や睡眠不足も高山病を引き起こす原因と言われているので、症状がひどくなってしまったのです。
幸い、大事には至らずご来光に間に合う時間に登頂できましたが、登山中は周りの景色を楽しむ余裕がないほど、キツいと感じました。これから富士山登頂にチャレンジする人は、登山前に高山病予防薬を飲んだり、気分が悪くなった時に効果が期待できる酸素スプレーを用意したりするのがおすすめです。
過酷な登山だったものの、登山道や山頂からの景色は、さすが日本一の山といったところ。周囲の山々やふもとの街並みのほか、雲海や美しい朝日も眺めることができ、山にハマったきっかけになった大切なスポットです。
登るのが大変だった「日本百名山」2位:笠ヶ岳
「笠ヶ岳(かさがたけ)」は、北アルプスに属する標高2898mの日本百名山。コースタイムは片道10時間近くかかり、1900mもの標高差があります。さらに途中に休憩や食事をする山小屋がないため、水や食糧、自身の体調の管理をしっかり行わなければならず、上級者向きのスポットです。
筆者はメジャーな笠新道ルートで登頂したのですが、長く苦しい急坂登りはとても根気がいるものでした。
道は整備されており危険箇所は少ないものの、女性の膝下くらいの段差を上る場面も多くあり、2~3段踏み込むたびに呼吸が荒れ、汗が吹き出すようなハードな登り。トレッキングポールを使いながら、なるべくこまめにカロリーと水分を補給してなんとか登りきりました。
とはいえ、途中の杓子平(しゃくしたいら)からは森林限界を超え、笠ヶ岳の山頂や迫力あるカール地形などが目の前にドーンと現れる絶景が広がり、その景色に励まされました。
そして登りの後半は、笠ヶ岳の一番の魅力である稜線歩きもたっぷり堪能! 涼しい風を感じつつ、雲海や近隣の山々を見下ろしながらの山歩きはとても気持ちよく、疲れも吹っ飛びました。
健脚向きの山である分、連休などの繁忙期でも山小屋やテント場、山頂付近が混雑しないのも魅力。山で静かに過ごしたい人におすすめです。
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登るのが大変だった「日本百名山」1位:宮之浦岳
筆者がこれまで訪れた日本百名山の中で最もキツイと感じたのは、鹿児島県・屋久島にある「宮之浦岳(みやのうらだけ)」。標高は1936mと日本百名山の中ではそこまで高くなく、淀川登山口から往復する最短コースは日帰りも可能です。
一方で、筆者は周辺の山々もめぐる縦走を行ったことと、その日に雪が降っており、アップダウンの多い登山道が凍結していたことでなかなか大変な思いをしました……。
世界遺産である屋久島の森の中には、有人の山小屋が一切なく避難小屋が建てられているだけのため、飲み水や食事、テント、寝袋、着替えなど、衣食住全てを持ち歩く必要があります。
そのため、2泊3日の縦走登山ともなれば荷物は15kgほどに! 重いザックを背負って標高差約1100m、片道5時間ほどの道を登るため、普段より息が上がりやすく、腰や肩も痛くなりとてもキツイと感じました。
また、筆者が訪れたのは3月下旬でしたが、この時期には珍しく雪が降っており、登山道の多くは凍結。屋久島の登山道は木道が多いためツルツルと滑りやすく、何度も転んでしまい泣きそうになりながら進みました……。
残念ながら、この日はあたり一面が吹雪とガスに覆われており景色が見られなかったものの、ハイマツや岩に粉砂糖をかけたように雪が積もっており、幻想的な情景が楽しめたのはラッキー。異世界に迷い込んだような不思議な感覚を堪能しました。
登るのが大変だった「日本百名山」に持っていったギアはこちら!
グレゴリー ディバ60
背負いやすく、荷物を取り出しやすいフロントファスナーやポケットが便利なザック。屋久島での縦走で活躍しました。
イワタニ ピュア 酸素缶
富士山では、高山病に備えて酸素スプレーを持っていくと安心です。
OHKEY ファーストエイド キット
過酷な山では、万が一の備えを十分にしておきたいところ。セットを購入すれば、自分であれこれ買い足す必要がなく便利です。
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