働き方改革の一環として、オフィスの外から業務を行う「テレワーク(遠隔勤務)」制度を導入する企業が増えています。最近では、新型コロナウイルスの感染予防の観点から、急きょテレワークを導入、あるいは導入予定を前倒しにする事例も見受けられます。
そこで問題になるのが、テレワークをするための通信回線です。スマートフォンの「テザリング」を使ってしのいでいる人もいると思いますが、スマホ(携帯電話回線)のデータ通信サービスには、原則として月間の通信容量に制限があります。特にWeb会議を頻繁に行うと、あっという間に容量制限に達してしまい、通信速度が低下する可能性があります。
かといって、携帯電話回線と比べて通信制限が非常にゆるやかな「光インターネット」や「CATV(ケーブルテレビ)」の回線を用意しようと思うと、早くても数週間、遅いと1〜2カ月かかる場合があります。集合住宅の場合は、家主(大家や管理人)や管理組合の承認を得ないといけないこともあります。
ある程度、通信容量の制限が緩やかなネット回線が今すぐに必要――そんな人におすすめしたい通信サービスの1つに、UQコミュニケーションズや同社と提携するMVNOが提供する「UQ WiMAX」があります。この記事では、UQ WiMAXのサービスの特徴と注意点をチェックしつつ、おすすめのUQ WiMAX対応ルーターを紹介します。
UQ WiMAXの主力料金プランである「ギガ放題」(月額4050円:2年契約時は170円引き)(※1)は、WiMAX 2+エリアのみを使う「ハイスピードモード」における月間データ容量に上限がありません。自宅がWiMAX 2+エリアであれば、日中時間帯(午前2時頃から午後6時頃まで)は快適に使えます。
(※1)一部のMVNOでは月額料金の設定が異なる場合があります
ただし、直近の3日間で10GB以上通信すると、翌日の午後6時頃から翌々日の午前2時頃まで、上下最大1Mbps程度の通信速度制限が掛かります。UQコミュニケーションズでは、この速度を「YouTubeの標準画質(480p)レベルの動画が視聴可能な速度」と形容していますが、他のサービスにあてはめて大ざっぱにいうと、以下のような感じとなります。
夜間の速度制限の対象となった場合でも、設定を工夫すれば十分にテレワークはこなせますが、制限の掛かっていない場合と比べると制約が多いことも事実です。ただ、多くの企業の就業時間(コアタイム)を考慮すると、制限の掛からない日中に、通信量の多くなるタスクを寄せるといった工夫をすれば便利かつ快適に使えるはずです。
UQ WiMAXには、au(KDDIと沖縄セルラー電話)のau 4G LTEネットワークを併用できる「ハイスピードプラスエリアモード」も用意されています。月額料金は1007円(一定条件を満たすと無料)で、このモードを利用した場合にのみ料金が請求されます。
このモードを利用すると、WiMAX 2+のエリア外でもau 4G LTEネットワークで通信できる他、WiMAX 2+エリア内では、au 4G LTEネットワークを併用することで通信速度をさらに上げることができます。
しかし、ハイスピードプラスエリアモードには月間7GB(※2)の通信容量制限が設けられており、それを超過した場合は、ハイスピードモードを含めて月末まで上下最大128kbpsに速度制限されます。ハイスピードプラスエリアモードの利用は、必要最低限に抑えることをおすすめします。
(※2)auが提供する「ホームルータープラン」を「auスマートバリュー専用プラン」として契約した場合は、月間30GBに緩和されます
UQ WiMAX対応ルーターには、大きく分けて「モバイルルーター」と「ホームルーター」の2種類があります。
その名の通り、モバイルルーターは持ち歩くことを前提としたものです。バッテリーを内蔵しているので、外出先での利用に便利ですし、停電時の備えとしても使えます。ただし、ホームルーターと比べると、奥まった部屋などで電波感度が若干低くなり、通信速度に影響が出る可能性があります。有線LAN対応機器と直接つなぐこともできません。
ただし、別売の「クレードル(ドッキングステーション)」を用意すれば、有線LANポート経由で有線LAN対応機器と接続できるようになる上、一部機種では電波感度を向上できます。屋内での利用も多い場合は、クレードルを合わせて購入すると快適です。
一方、ホームルーターは自宅に据え置いて使うことを前提としたものです。モバイルルーターと比べると、本体サイズは大きめですが内蔵するアンテナも大きいため、電波をよりしっかりとつかめます。有線LANポートも標準で装備しているので、自宅のテレビやレコーダーにつなぐ際に便利です。
家でしか使わないと割り切る場合は、ホームルーターも良い選択肢です。
WiMAX 2+のエリアは、au 4G LTEエリアのそれとは異なります。au 4G LTEが圏内であっても、WiMAX 2+は圏外だったり、電波の入りが良くなかったりすることはあります。
そこで、UQコミュニケーションズでは、WiMAX 2+を15日間無料で試用できる「Try WiMAX」というサービスを提供しています。モバイルルーターはもちろん、ホームルーターも試用可能です。自宅でWiMAX 2+の電波がしっかり入るかどうか、通信速度は十分に出るかどうか、じっくり試した上で契約(購入)するかどうか選べます。
なお、試用自体は無料ですが、申し込みには有効なクレジットカードが必要です(返却されなかった場合、破損した場合の違約金の支払いに使われます)。また、レンタル機器の在庫がない場合は、貸し出しを受けられない場合がありますので注意してください。
UQ WiMAXに対応するルーターの中から、おすすめ機種を3つ紹介します。なお、MVNOによっては取り扱いがない場合がありますので、気になる機種がある場合は店頭などで問い合わせてみてください。
自宅に据え置いて使うホームルーターの中で唯一、下り最大1237Mbps(約154.6MB/秒、ハイスピードプラスエリアモード時)での通信に対応しています。ハイスピードモードでは下り最大440Mbps(約55MB/秒)で通信可能です。
1000BASE-T(ギガビットイーサネット)対応の有線LANポートを2つ備えており、テレビや据え置きゲーム機の利用にも便利です。Wi-Fi通信は最高867Mbps(IEEE 802.11ac接続時)です。
WiMAX 2+に対応するモバイルルーターとしては初めて、2.4GHz帯(IEEE 802.11b/g/n)と5GHz帯(IEEE 802.11ac/a/n)のWi-Fiを同時に使えるようになった機種です。エントリークラスの一部のスマホなど、2.4GHz帯のWi-Fiしか使えない機器と5GHz帯に対応するWi-Fi対応機器が混在している環境でも使いやすいです。
ハイスピードモードでは下り最大440Mbps(約55MB/秒)で通信可能です。別売のクレードルを利用すると、WiMAX 2+/4G LTEの電波感度と、Wi-Fiの電波感度を向上できます。
自宅に据え置いて使うホームルーターで、Amazonの音声エージェント「Alexa(アレクサ)」との連携機能を備えています。Alexa対応スマートスピーカーに話しかけることで、通信モードの切り替えや、通信容量の確認などができます(要事前設定)。ハイスピードモードでは下り最大440Mbps(約55MB/秒)で通信可能です。
1000BASE-T(ギガビットイーサネット)対応の有線LANポートは1つ、Wi-Fi通信は最高867Mbps(IEEE 802.11ac接続時)に対応します。
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