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テレビなどに付いてる「HDMI端子」って何? 意外と奥深い中身を解説【解説】

» 2020年12月19日 16時00分 公開
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 レコーダーやパソコンからテレビやディスプレイに映像を送るために使われる「HDMI(エイチディーエムアイ)端子」。普段、何気なく使っているという人もいると思います。

HDMIってどんな端子 普段使っているHDMI端子は意外と奥深い

 この「HDMI端子」は意外と奥深いもので、使いこなすためには「正しい知識」が欠かせません。この記事では、HDMI端子を使う上で知っておいてほしい最低限の知識を解説します。

【訂正:12月21日9時40分】HDMIケーブルのバージョンについて、一部誤りがありました。おわびして訂正いたします

そもそも「HDMI」って何?

HDMIロゴ HDMIのロゴ

 HDMIは「High-Definition Multimedia Interface」の略です。簡単にいえば、映像と音声をデジタル信号で伝えるために生まれた規格となります。

 規格としてのHDMIは2002年12月に誕生しました。当時、パソコン向けのデジタル映像伝送規格としてある程度普及していた「DVI(Digital Visual Interface)」をベースに、以下のような改良を施したものです。

  • デジタル映像に加えて、デジタル音声も伝送できるようにした
  • AV機器で使われている「色差信号」も伝送できるようにした
  • 著作権保護機能に標準で対応した
  • 端子形状を接続しやすいものに変えた(後述)

 現在では、HDMIはAV機器における映像/音声伝送規格として完全に定着し、ほぼ全てのテレビに搭載されています。

DVI-Dケーブル HDMI規格は、パソコン向けに使われていた「DVI」規格をベースに開発されました。DVI規格では、写真のようにガッチリとした端子が使われています(写真はAmazonベーシック モニターケーブル DVI-DVI)
HDMIケーブル DVI規格をベースに、デジタル音声信号を伝送できるようにしたのがHDMI規格です。つなぎやすさを考慮して、写真のようにコネクターや端子の形状も変わっています(写真はAmazonベーシック ハイスピードHDMIケーブル)

HDMIの「バージョン」は意外と多い

 HDMIには幾つかのバージョンがあります。主なバージョンと、主な新機能は以下の通りです。

  • HDMI 1.2:パソコンで使われる色域への対応
  • HDMI 1.2a:HDMI-CEC(機器コントロール用信号)の本格サポート
  • HDMI 1.3:伝送可能なデータ量の増加、広色域信号(Deep Color)への対応
  • HDMI 1.4:4K映像(3840×2160ピクセル/30Hzまたは4096×2160ピクセル/24Hz)の伝送に対応、Ethernet(有線LAN)信号の伝送に対応、ケーブルの一部仕様変更
  • HDMI 2.0:伝送可能なデータ量の増加、4K映像のフレームレート向上(3840×2160ピクセル/60Hz)、21:9のアスペクト(横縦)比に対応、HDMI-CECの制御コマンドの追加
  • HDMI 2.0a:HDR(ハイダイナミックレンジ)信号の伝送に対応
  • HDMI 2.1:8K映像(7680×4320ピクセル/60Hz)映像の伝送に対応、4K映像のフレームレート向上(3840×2160ピクセル/144Hz)、VBR(可変フレームレート)映像の伝送に対応

 原則として、HDMI機器は下位規格に対する互換性を有しています。そのため、基本的には下位規格の機器と組み合わせても映像や音声は問題なく伝送されます。ただ、下位規格の機器では上位規格固有の機能は使えないので注意しましょう。

 特に4K/8K対応のテレビやディスプレイを購入する場合、事前にカタログや取扱説明書で対応するHDMIバージョンを確認することをおすすめします。ただし、テレビの場合、分かりやすさを優先して詳細なバージョンを明記していない場合もあります。それでも、対応する機能からバージョンを類推できるケースもあります。

スペック表 テレビの場合、カタログや取扱説明書の仕様書に対応するHDMIバージョンが明記されていないケースがあります。画像はソニーの4Kテレビ「X8000H」のHDMI入力端子に関する注釈ですが、4K/60Hz映像とHDRに対応していることから、少なくともHDMI 2.0aには対応していることが分かります

ケーブルはどのバージョンも同じ……?

 バージョン1.0から最新のバージョン2.1に至るまで、HDMIケーブルの仕様はほとんど変わっていません。そのため、映像や音声を伝送する“だけ”なら古いHDMIケーブルでも伝送は可能です。ただし、新しい規格の機器の接続に古いケーブルを使うと、主にノイズやケーブルの品質問題から正常に映像/音声を伝送できない場合があります。

 HDMIケーブルには「スピード認証」が設定されています。それぞれの認証は、以下のHDMI規格のバージョンに合致しています。

  • HDMIハイスピード:HDMI 1.3〜1.4
  • HDMIプレミアムハイスピード:HDMI 2.0
  • HDMIウルトラハイスピード:HDMI 2.1

 より上位のバージョンに対応する認証を取得したケーブルをおすすめしたい……のですが、当然価格も高くなります。基本的には、低いバージョンの機器に合わせたものを買うのがコスト面で現実的でしょう。

スピード認証 HDMIケーブルには、スピード認証があります。伝送するデータ量が多くなる場合は、より高い認証を取得したケーブルを使うことをおすすめします

 また、Ethernet信号の伝送を利用する機器同士をつなぐ場合、通常のHDMI機器では使わない信号線を利用するためEthernet対応をうたうケーブルを使わないと正常に動作しません

 先述のスピード認証を取得したケーブルの場合、Ethernet信号に対応しているものはロゴに「with Ethernet」という文字が付与されています。選ぶ際は参考にしてください。

HDMI HIGH SPEED HDMIのスピード認証を取得しているケーブルのうち、Ethernet信号の伝送に対応するものはロゴに「with Ethernet」の表記が追加されます

HDMI端子には“3つ”の形状がある

 HDMI端子とHDMIコネクターの形状には、大きく3つの規格があります(※)。いずれの規格も信号線に変わりはないので、変換アダプター(ケーブル)を使えば相互につなげます。

(※)厳密にはデュアルリンク(信号線が通常の2倍)に対応している「タイプB」と、車載機器用の「タイプE」を含む5つの規格があります。ただし、タイプB規格を採用する機器やケーブルは現存せず、タイプE規格は車載機器での利用に限られているため、この記事では説明を割愛します

タイプA(通常サイズ)

 一般的によく見かけるHDMI端子とHDMIコネクターは「タイプA」という規格に準拠しています。これが“デフォルト”の端子/コネクターです。当然、ケーブルの入手性は非常に良好です。

HDMIケーブル 一般的なHDMI機器やケーブルは「タイプA」と呼ばれる規格の端子やコネクターを備えます(写真はAmazonベーシック ハイスピードHDMIケーブル)

タイプC(ミニサイズ)

 タイプAから少しサイズを小さくした端子やコネクターは「タイプC」と呼ばれます。

 一部のノートパソコン、小型のディスプレイ、デジタルカメラなど、利用例はそこそこ多いため、タイプAほどではありませんがケーブルや変換アダプターの入手性は比較的良好です。家電量販店でも、テレビアクセサリーコーナーかビデオカメラアクセサリーコーナーで購入できると思います。

HDMIケーブル タイプCのHDMI端子は採用例がそこそこ多いです。写真のようなタイプA(左)とタイプC(右)を相互変換できるHDMIケーブルは、一般的な家電量販店でも入手性は良好です(写真はAmazonベーシック HDMIケーブル(タイプAオス - ミニタイプCオス))

タイプD(超ミニサイズ)

 タイプCからさらにサイズを小さくした端子やコネクターは「タイプD」と呼ばれます。

 タイプCより採用例は少ないですが、今でも一部のデジタルカメラに使われています。昔は、一部のAndroidスマートフォンでも使われていました。Web通販や少し規模の大きめな家電量販店であれば、タイプDに対応するケーブルや変換アダプターは入手できます。

HDMIケーブル タイプD(右)のHDMI端子に対応するケーブルは少し大きめの家電量販店やWeb通販で買えることがあります(写真はAmazonベーシック HDMIケーブル(タイプAオス - マイクロタイプDオス))

「DisplayPort」とは何が違う?

 DVI規格をベースとした映像伝送規格には「DisplayPort(ディスプレイポート)」もあります。

 DisplayPortはDVI規格を進化させた規格という位置付けで、2006年に生まれました。HDMI規格と同様にデジタル音声の伝送をサポートしている他、パソコンで使うことを想定して主に以下のような機能を備えています。

  • ディスプレイ(シンク機器)のデイジーチェーン(数珠つなぎ)接続(バージョン1.2以降)
  • USB Type-C端子を使った映像出力(DisplayPort Alternate Mode:バージョン1.3以降)

 端子とコネクターの形状は、通常サイズと小型(Mini DisplayPort)に加えて、先述の通りUSB Type-Cもあります。パソコンやAndroid端末のUSB Type-C端子が「映像出力対応」をうたっている場合、その映像出力はほぼ例外なくDisplayPort規格を採用しています。

 DisplayPortに対応する映像出力デバイス(ソース機器)の多くは、出力先のディスプレイに合わせて信号規格を変える機能を備えています。そのため、出力元のデバイスに合わせて「(Mini)DisplayPort to HDMIアダプター(ケーブル)」または「USB Type-C to HDMIアダプター(ケーブル)」を用意すればHDMI入力を備えるテレビともつなげられます。

DPケーブル DisplayPortコネクターは、通常サイズ(左)とMiniサイズ(右)の2種類があります。通常サイズのコネクター(と端子)はHDMI規格のそれとそっくりですが、形状が微妙に違います(写真はAmazonベーシック Mini DisplayPort - DisplayPort変換ケーブル)
変換ケーブル DisplayPort出力を備える機器の多くは、適切な変換アダプター(ケーブル)を用意するとHDMI入力を備えるテレビなどにつなげられます(左はAmazonベーシック DisplayPort to HDMI A/Mケーブル、右はAmazonベーシック Mini DisplayPort - HDMI 変換ケーブル)
変換ケーブル 「映像出力対応」をうたうUSB Type-C端子を持つパソコンやAndroid端末も、適切な変換アダプター(ケーブル)を使えばHDMI入力を備えるテレビなどにつなげられます(写真はAnkerのUSB-C & HDMI ケーブル)

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