レコーダーやパソコンからテレビやディスプレイに映像を送るために使われる「HDMI(エイチディーエムアイ)端子」。普段、何気なく使っているという人もいると思います。
この「HDMI端子」は意外と奥深いもので、使いこなすためには「正しい知識」が欠かせません。この記事では、HDMI端子を使う上で知っておいてほしい最低限の知識を解説します。
【訂正:12月21日9時40分】HDMIケーブルのバージョンについて、一部誤りがありました。おわびして訂正いたします
HDMIは「High-Definition Multimedia Interface」の略です。簡単にいえば、映像と音声をデジタル信号で伝えるために生まれた規格となります。
規格としてのHDMIは2002年12月に誕生しました。当時、パソコン向けのデジタル映像伝送規格としてある程度普及していた「DVI(Digital Visual Interface)」をベースに、以下のような改良を施したものです。
現在では、HDMIはAV機器における映像/音声伝送規格として完全に定着し、ほぼ全てのテレビに搭載されています。
HDMIには幾つかのバージョンがあります。主なバージョンと、主な新機能は以下の通りです。
原則として、HDMI機器は下位規格に対する互換性を有しています。そのため、基本的には下位規格の機器と組み合わせても映像や音声は問題なく伝送されます。ただ、下位規格の機器では上位規格固有の機能は使えないので注意しましょう。
特に4K/8K対応のテレビやディスプレイを購入する場合、事前にカタログや取扱説明書で対応するHDMIバージョンを確認することをおすすめします。ただし、テレビの場合、分かりやすさを優先して詳細なバージョンを明記していない場合もあります。それでも、対応する機能からバージョンを類推できるケースもあります。
バージョン1.0から最新のバージョン2.1に至るまで、HDMIケーブルの仕様はほとんど変わっていません。そのため、映像や音声を伝送する“だけ”なら古いHDMIケーブルでも伝送は可能です。ただし、新しい規格の機器の接続に古いケーブルを使うと、主にノイズやケーブルの品質問題から正常に映像/音声を伝送できない場合があります。
HDMIケーブルには「スピード認証」が設定されています。それぞれの認証は、以下のHDMI規格のバージョンに合致しています。
より上位のバージョンに対応する認証を取得したケーブルをおすすめしたい……のですが、当然価格も高くなります。基本的には、低いバージョンの機器に合わせたものを買うのがコスト面で現実的でしょう。
また、Ethernet信号の伝送を利用する機器同士をつなぐ場合、通常のHDMI機器では使わない信号線を利用するためEthernet対応をうたうケーブルを使わないと正常に動作しません。
先述のスピード認証を取得したケーブルの場合、Ethernet信号に対応しているものはロゴに「with Ethernet」という文字が付与されています。選ぶ際は参考にしてください。
HDMI端子とHDMIコネクターの形状には、大きく3つの規格があります(※)。いずれの規格も信号線に変わりはないので、変換アダプター(ケーブル)を使えば相互につなげます。
(※)厳密にはデュアルリンク(信号線が通常の2倍)に対応している「タイプB」と、車載機器用の「タイプE」を含む5つの規格があります。ただし、タイプB規格を採用する機器やケーブルは現存せず、タイプE規格は車載機器での利用に限られているため、この記事では説明を割愛します
一般的によく見かけるHDMI端子とHDMIコネクターは「タイプA」という規格に準拠しています。これが“デフォルト”の端子/コネクターです。当然、ケーブルの入手性は非常に良好です。
タイプAから少しサイズを小さくした端子やコネクターは「タイプC」と呼ばれます。
一部のノートパソコン、小型のディスプレイ、デジタルカメラなど、利用例はそこそこ多いため、タイプAほどではありませんがケーブルや変換アダプターの入手性は比較的良好です。家電量販店でも、テレビアクセサリーコーナーかビデオカメラアクセサリーコーナーで購入できると思います。
タイプCからさらにサイズを小さくした端子やコネクターは「タイプD」と呼ばれます。
タイプCより採用例は少ないですが、今でも一部のデジタルカメラに使われています。昔は、一部のAndroidスマートフォンでも使われていました。Web通販や少し規模の大きめな家電量販店であれば、タイプDに対応するケーブルや変換アダプターは入手できます。
DVI規格をベースとした映像伝送規格には「DisplayPort(ディスプレイポート)」もあります。
DisplayPortはDVI規格を進化させた規格という位置付けで、2006年に生まれました。HDMI規格と同様にデジタル音声の伝送をサポートしている他、パソコンで使うことを想定して主に以下のような機能を備えています。
端子とコネクターの形状は、通常サイズと小型(Mini DisplayPort)に加えて、先述の通りUSB Type-Cもあります。パソコンやAndroid端末のUSB Type-C端子が「映像出力対応」をうたっている場合、その映像出力はほぼ例外なくDisplayPort規格を採用しています。
DisplayPortに対応する映像出力デバイス(ソース機器)の多くは、出力先のディスプレイに合わせて信号規格を変える機能を備えています。そのため、出力元のデバイスに合わせて「(Mini)DisplayPort to HDMIアダプター(ケーブル)」または「USB Type-C to HDMIアダプター(ケーブル)」を用意すればHDMI入力を備えるテレビともつなげられます。
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