最近、40型以上のサイズだと普及帯のテレビでも「4K」液晶パネルを搭載するものが増えました。一方で、32型以下のモデルだと「HD(ハイビジョン)」液晶パネルを搭載するものが主流です。
モバイルノートパソコンでも、13.3〜14型モデルだと「フルHD」液晶パネルを搭載するものが主流ですが、一部では「WQHD」液晶パネル、あるいは「4K」の液晶パネルや有機ELパネルを搭載するものが増えています。
……と、ここまでかぎかっこ付きで記してきた略語、全て画面の「解像度」を示す言葉です。テレビなり、ディスプレイなり、ノートパソコンを含む画面一体型パソコンなりを買う際に、意味を理解していないと買ってから後悔する可能性もあります。
この記事では、画面の解像度の略語について改めて意味を確認していきます。テレビ、ディスプレイや画面一体型パソコンを買う際の参考になれば幸いです。
テレビやディスプレイで使われる「解像度」は、画面の画素数を示す数式です。“数式”というだけあり、通常は横方向の画素数と縦方向の画素数の乗法(かけ算)で表し、単位は「ドット」または「ピクセル」となります。Fav-Logを運営するアイティメディアでは「ピクセル」と表記するルールとなっているため、以下「ピクセル」と表記します。
解像度をかけ算して求められる積は、そのまま画面の総画素数を表します。例えば以下のような感じです。
同じ画面サイズであれば、解像度は高いほど表示できる情報量が増え、きめ細かい表示ができます。言い換えると、解像度は高いほど同じ情報が細かく(小さく)表示されることになります。
ゆえに、テレビやディスプレイを選ぶ上では画面のサイズと解像度のバランスが非常に重要です。詳しくは後述します。
テレビやディスプレイを巡っては、解像度に加えて「アスペクト比」という指標が出てくることもあります。
アスペクト比は画面や画像の長い辺と短い辺の比のことです。テレビやディスプレイで使われる主なアスペクト比は以下の通りです。
テレビで使われるアスペクト比は放送規格に合わせて変化をしてきました。パソコン向けのディスプレイのアスペクト比も、テレビに歩調を合わせるように変遷してきました。
ただ、パソコンではテレビにアスペクト比を合わせると短辺方向の情報量が少なくなり、ワープロソフトや表計算ソフトを使う際に不便さを覚えることがあります。そのため、最近のノートパソコンやパソコン向けディスプレイでは「16:10」「3:2」といった短辺方向の比を大きめに取ったものが増加傾向にあります。
解像度(とアスペクト比)の基本について解説した所で、テレビでよく使われる解像度の略語の示す所をチェックしていきましょう。
「HD」あるいは「ハイビジョン」と呼ばれる解像度は、以下のいずれかを示します。
この解像度は、1980〜1990年代にかけて世界各国で盛んだった「高精細テレビ放送(High Definition TV)」の開発競争の過程で生まれた解像度です。現在では、デジタルテレビの一般的な番組は、この解像度をターゲットにして作られています。
なお、1280×720ピクセルの解像度については、短辺方向の解像度を取って「720p」と呼ばれることもあります(※)。動画で「720p」を自称するものがあったら、それは1280×720ピクセルで収録されているということを意味します。
(※)720pの「p」は「プログレッシブ」の略で、全ての画素を同時に書き換える投影方式を意味します。対義語として、奇数列の画素と偶数列の画素を交互に書き換える投影方式を示す「i(インターレース)」もあるのですが、今回は説明を割愛します
「フルHD」あるいは「フルハイビジョン」と呼ばれる解像度は、1920×1080ピクセル(207万3600画素)を示します。
“フル”が付くのは、通常のデジタルテレビ放送において規格上の最大解像度であることに由来します。BSデジタルテレビ放送はフルHDに対応しており、一部のチャンネルではフルHDで放映されています(多くのチャンネルの最大解像度は1440×1080ピクセル)。
なお、この解像度も短辺方向の解像度から「1080p」と呼ばれることがあります。ただし、先述のBSデジタルテレビ放送の映像は「1080i」となります。
「4K」あるいは「Ultra HD」「UHD」と呼ばれる解像度は、以下のいずれかを示します。
4Kは「4000」という意味で、長辺方向の画素が約4000個あることに由来します。Ultra HD/UHDは、フルHDの4画面分の解像度があって「超高精細」ということから使われています。
テレビを始めとする映像を映し出す機器で使われるのは「3840×2160ピクセル」の方です。「4096×2160ピクセル」の4Kは、業務用ビデオカメラなど、プロ向けの一部の動画撮影機材で使われています。なお、いずれも短辺方向の解像度から「2160p」と呼ばれることもあります。
画面一体型パソコンのディスプレイや、パソコンでの利用を前提とする外付けディスプレイでも、テレビと同様の解像度のものが一般的です。
ただし、用途の違いからテレビのディスプレイでは見かけない解像度も使われます。現在もよく使われるものを中心に幾つか紹介します。
「WUXGA」あるいは「Wide Ultra XGA」と呼ばれる解像度は、1920×1200ピクセル(230万4000画素)を示します。フルHDから短辺方向の画素数を増やして、アスペクト比を16:10としたものです。
短辺方向の画素が増えていることで、フルHDよりもワープロソフトや表計算ソフトをより快適に使える上、フルHDで配信されている動画コンテンツも縮小/拡大せずに見られることが魅力です。最近では、プレミアム(高価格帯)のモバイルノートパソコンにおいてこの解像度を採用するモデルが増えつつあります。
なお、WUXGAのことを「2K」と呼ぶこともありますが、アスペクト比3:2のディスプレイで長辺が2000〜2500ピクセルのものも同じく「2K」と呼ぶことがあります。「2Kディスプレイ」を購入しようとする際は、解像度の“数値”も合わせて確認する
「QHD」あるいは「WQHD」と呼ばれる解像度は、2560×1440ピクセル(368万6400画素)を示します。「Q」は4倍を意味する「Quad(クアッド)」のことで、HD(1280×720ピクセル)の4倍の解像度を持つという意味です。
詳しくは後述しますが、パソコンに4Kテレビや4Kディスプレイをつなぐと、用途によっては解像度が高すぎてかえって使いづらくなってしまうことがあります。フルHDと4Kの中間に位置し、程よく使いやすい解像度として一定の支持を集めています。
同じサイズなら、解像度が高いほどテレビやディスプレイはきめ細かい表示ができます。しかし、それは見方を変えると解像度が高いほど、画面サイズを大きめにしないと表示が見づらくなるということでもあります。特にパソコンとつないでワープロソフトや表計算ソフトを使うと、画面サイズと解像度とミスマッチだと作業性を悪化させてしまう可能性もあります。
もっとも、パソコン用のOS(Windows 10やmacOS)には、画面サイズと解像度に合わせた「スケーリング機能」(表示の拡大機能)を備えているため、見やすさを改善することはできます。しかしあくまでも“拡大表示”なので、表示に違和感を覚える場面が出ることもあります。
特にパソコンをつないで使うテレビやディスプレイを選ぶ場合は、メインの使い道、設置場所、画面からどれくらい離れて使うかをしっかり検討して選ぶようにしたいです。できれば、販売店などで実際に表示している所を確認して、置く予定の場所をイメージしつつ選びたいです。
なお、映像をメインに楽しむ場合は画面の縦方向(短辺)の長さを基準にして、以下の通り離れて見ることを前提に考えても良いでしょう。
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