野外で水を沸かしたり、料理をしたりといった場合に必要なストーブ(バーナー)。その中でも、燃料にアルコールを使う「アルコールストーブ」(アルスト、アルコールバーナー)は、軽量・コンパクトで信頼性が高く、登山者やソロキャンパーに愛用者が多いストーブです。
ここでは、アルコールストーブのメリットやおすすめモデルを紹介していきます。好みの1台を見つける参考にしてみてください。
アルコールストーブは歴史の古いバーナーです。コンパクトな本体に液体のアルコールを入れ、気化したアルコールを燃焼させることで火を得るというシンプルなもので、故障しにくく信頼性が高いのもメリット。手ごろな価格で入手でき、真ちゅう製などの長く使える定番モデルも人気になっています。構造が簡単なので、自作を楽しむ人もいるほどです。
燃料となるアルコールは約70mlで25分程度の燃焼が可能(トランギア「TR-B25」の場合)。1人分のお湯を沸かす程度なら少量で済み、OD缶やCB缶といった液化ガスを使ったシングルバーナーと比べて軽量コンパクト。燃料を小瓶に入れて用意してもクッカー内に一式が納まってしまうほどで、少しでも荷物を減らしたい登山やツーリングに向いています。
火力は十分あり、メスティン(飯ごう)の良い相棒になってくれます。ガスバーナーと比べ、燃焼音がほとんどないのも魅力の1つ。深夜や早朝のキャンプ場でも周囲を気にせずに使えます。野外で過ごす夜、音もなく燃える青い炎を見ながらお湯を沸かすひとときは楽しいものです。
ただ、液体の燃料の取り扱いに注意を要する上、燃料を自分で出し入れする手間がかかります。ガスバーナーのほうが火力の調節や取り扱いは容易で、欲しい時に必要な火を即座に得られる効率の良さではガスバーナーのほうが有利です。
また、アルコールの炎は特に昼間は見えにくいことがあるので要注意。炎が風に弱いので風防が必要となり、鍋を置くゴトクも別途用意するのが基本です。
アルコールストーブの燃料には、ドラッグストアやホームセンターなどで購入できる「燃料用アルコール」が向いています。メタノールを主成分としてエタノールなどを混合したもので、アルコールランプやコーヒーを抽出するサイフォンなどにも使われます。500mlで実売300円前後から購入でき、旅先などでも入手しやすいのがメリットです。
ただしメタノールは毒性が強いため、子どもが飲んだり、肌に触れたりしないように取り扱いに注意する必要があります。消毒などに使うのも厳禁です(消毒用品が品薄になった際、燃料用アルコールを誤って購入する人が相次ぎ、問題になりました)。
安全な消毒用エタノール(エタノールを水で希釈したもの)でも利用できますが、高コストになるのがデメリット。エタノールのほうが火力が強いものの、すすがつきやすくなります(炎は赤くなる傾向があります)。
また、アルコールストーブは換気の悪いところで使うのも厳禁。燃焼時に酸素を消費する上、アルコール分が気化して充満しやすいためです。テント内などで使うのは避けましょう。
メスティンが人気を集めるスウェーデンのアウトドアブランド「トランギア」(trangia)の「TR-B25」は、アルコールストーブの定番モデル。メイド・イン・スウェーデンの真ちゅう製(重さ110g)で、タンク用のふたが付属し、燃料を入れたまま持ち運べます。タンク容量は100mlで、3分の2の注入で約25分間燃焼するとしています。水平にスライドするふたで火力を調整&消火できますが、ふたに取っ手がついていないので、ネットの情報などを参考に自作するのもよいでしょう。日本国内での販売を担当するイワタニ・プリムスの直販価格は2750円(税込)です。
国産ブランド「エバニュー」(EVERNEW)のアルコールストーブも、トランギアと並ぶ定番モデルです。チタン製の「EBY254」は重さ34gと軽量。タンク容量は70mlです。火力調整・消火用のふたなどは付属していません。
タブレット形固形燃料で知られるドイツ発のブランド「エスビット」(Esbit)のアルコールストーブです。真ちゅう製で重さは92g、タンク容量は100ml。適量の70mlで約25分間燃焼します。ふたには取っ手がついています。
チタンを使った軽量なアウトドアギアが得意な米国発のブランド「バーゴ」(VARGO)。「トライアドマルチフューエルストーブ」(T-305)もチタン製で、容量は44mlと控えめですが、30gと軽量です。折りたためるスタンドとゴトクを装備しており、ひっくり返せば固形燃料を置いて使うこともできます。同ブランドの「ヘキサゴンウッドストーブ」にセットして使える「チタニウムコンバーターストーブ 」(T-307)もラインアップ。
トランギアとエバニューはアルコールストーブの定番ですが、ゴトクなどは別途用意する必要があります。それぞれベストマッチな専用アクセサリがあるのでチェックしておきましょう。
鍋などを置くためのゴトクは、固形燃料用のものなど、さまざまなものが利用できます。選ぶ際は自分のアルコールストーブとサイズが合うか確認しましょう。
アルコールは必要量をボトルに小分けして持ち運ぶと安心です。
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