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» 2021年05月23日 17時30分 公開

「原付バイクのエンジンオイル」自分で交換できる? 長く乗るためにやり方をチェックしておこう!【2021年5月版】

原動機付自転車(原付バイク)により長く乗るためには、エンジンオイルの点検や交換は欠かせません。しかし、日常の点検や交換はどうやればいいのでしょうか。自分でやる方法を簡単に紹介すると共に、おすすめのエンジンオイルを幾つか紹介します。

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 排気量50cc以下の「原動機付自転車(原付)」は、日常の足として役立つ……のですが、日頃のメンテナンスがその寿命を大きく左右します。少しでも長い期間乗り続けたいなら、特にエンジンオイルの交換は定期的にしておきたい所です。

 この記事では、「スーパーカブ」(本田技研工業)や「レッツ」(スズキ)を始めとする4ストロークエンジンを搭載する原付全般(スクーターなど)のエンジンオイルの交換方法を簡単に解説しつつ、エンジンオイルの選び方とそれを踏まえたおすすめ商品を紹介します。

おことわり

  • この記事では「2サイクル(2ストローク)エンジン」を搭載する原付に関する説明は割愛します。
  • 使い古したエンジンオイル(廃油)の処理方法は、お住まいの市区町村によって異なります。この記事では廃油ボックスを「燃えるごみ」として出せる自治体で作業することを前提とします。
  • この記事を読んで「難しい」と思った人は、迷わず点検/補給/交換作業をバイクショップに依頼してください。

オイルを交換しよう! 原付のエンジンオイルを点検、交換しよう!

そもそも「エンジンオイル」はどういう役割をするの?

 そもそも、エンジンオイルはなぜ必要なのでしょうか。大きく分けると以下の役割があります。

  • エンジン内の金属摩擦を減らす
  • エンジン内の密封性を高める(≒パフォーマンスを維持する)
  • エンジンで発生した熱を取り込む(≒冷却する)
  • エンジン内の汚れ(スラッジ)を取り込む
  • エンジン内の「さび」の発生を防ぐ

 エンジンオイルを定期的に点検することは、原付スクーターの故障を防ぐだけではなく、より長く乗る上で非常に重要なことなのです。

オイル 自動車や原付のエンジンオイルには大きく5つの役割があります(出典:日本自動車連盟

エンジンオイルの点検はどうやる? どうやって補給する?

 エンジンオイルは、原付スクーターの車種によって規定量が定められています。先述の通り、エンジンオイルにはエンジン内部の密閉性を高める役割があります。その観点に立つと、量は基本的に多すぎても少なすぎても良くないということになります。

 エンジンオイルの規定量と点検方法は取扱説明書(オーナーズマニュアル)に記載されています。規定量については、車体のステッカーに提示されている場合もあります。

 点検方法は車種によって異なる場合もありますが、一般的な原付の場合は以下の通りです。作業の際は軍手、あるいは耐油/耐熱性のある手袋を使うようにしましょう。

  1. 平らな場所でエンジンを掛けて2〜3分放置(アイドリング)する
  2. オイルレベルゲージ(※1)を取り外す
  3. オイルレベルゲージに付着したエンジンオイルを布などで拭き取る
  4. オイルレベルゲージを差し込んで引き抜く(ねじ込まない
  5. レベルが「アッパー(最大)」「ロワー(最小)」の間に来ているか確認する

(※1)多くのモデルでは、エンジンオイルフィラー(エンジンオイルの給油口)のキャップと兼用しています

オイルチェック オイル量の点検方法は取扱説明書に記載されています(画像はホンダ「トゥデイ(2005年モデル)」の取扱説明書
オイルゲージ 原付の多くは、エンジンオイルフィラーのフィラーキャップがレベルゲージを兼ねています。その場合、ゲージ部分の網掛けの範囲内のオイルがあるかどうかを確認してください

 点検の結果、エンジンオイルの量がロワーに近い場合は補給が必要です。補給する際は可能な限り、現在入れているエンジンオイルと同じものを補給してください。同じものをどうしても調達できない場合は、同じ規格/分類のエンジンオイルを補給してください。ただし、規格/分類が一致していてもオイルの成分や特性によっては自分のモデルに不向きな場合もあります。

 バイクショップなどでエンジンオイルの交換を依頼している場合は「整備記録書」や車体に貼り付けたステッカーにオイルの銘柄や種類が書いてあります。記載(記録)がない場合、あるいはどんなオイルを使っているのか分からない場合は、性能維持の観点からオイルを全量交換してしまった方がベターです(やり方は後述します)。

オイルの規格/分類について

 4サイクルエンジンのバイク(原付を含む)向けのエンジンオイルの多くは、主に米SAE Internationalが定める「SAE J300」、API(米国石油協会)が定めるガソリンエンジン用エンジンオイル規格、JASO(自動車技術会)が定める「JASO T903」という3つの規格に関する表記がなされています。日本で販売されている原付も同様に、推奨するエンジンオイルをこれら3つの規格で指定しています。

 先述の通り、エンジンオイルを補給する場合は、できる限り現在入れているオイルと同じものを使ってください。ただし、同じオイルでもモデルチェンジ(製品特性の変更)を行うことがありますので、買う前に必ずチェックするようにしてください。

SAE J300規格

 SAE J300では、2つの数字でオイルの粘度特性を表記します。前方の「W」が付く数値は冬季(寒い時期)における粘度を示し、数値が低いほど寒くても粘度を低く保てる(≒寒さに強い)ことになります。一方、後方の数値は高温(100度)時における粘度を示し、数値が高いほど粘度が高い(≒エンジン保護性能が高い)ことになります。

 一般的な原付は「10W-30」または「10W-40」を推奨としていますが、オイルを全量交換する場合は住んでいる地域の気候に合わせて選ぶことをおすすめします。

SAE規格 SAE規格の「W」の付く前方の数値は、冬季における粘性を示しています。極寒地でない限りは、多くのメーカーが推奨する「10W」でよいでしょう
SAE規格 SAE規格の後方の数値は、液温が100度になった場合の粘性を示しています。ヘビーに乗る原付のエンジンは粘度の高め(固い)エンジンオイルがおすすめです

API規格(ガソリンエンジン用)

 APIのガソリンエンジン用エンジンオイルの規格は「S」と等級を表すアルファベットの組み合わせで示され、後ろのアルファベットが後方であるほど性能は高くなります。現在は最上位は「SP」等級となっていますが、多くの原付では「SJ」等級と、それに前後する1〜2等級を推奨しているものが多いです。

JASO T903規格

 JASO T903規格は、SAE J300/API規格では考慮されないバイクに求められる性能基準などを盛り込んでいます。大きく分けると、以下の等級に分かれています。

  • MA:摩擦特性が高い
  • MA1:MA等級の範囲内で摩擦特性を低めに設定
  • MA2:MA等級の範囲内で摩擦特性を高めに設定
  • MB:摩擦特性が低い

 原付のモデルによって、推奨等級は異なります。自分の乗っている原付にピッタリなものを選ぶようにしましょう。

JASO T903 4サイクルエンジンを搭載するバイク用に販売されているエンジンオイルには、外装にJASO T903規格に基づく等級が記載されています。エンジンオイル選びの参考にしてください

 オイル補給の際は、エンジンオイルとオイルジョッキを用意します。原付スクーターの場合、多くのモデルが必要オイル量は700〜800ml程度なので、原付オイル用にオイルジョッキを用意する場合は1L程度の容量で十分です。オイルジョッキの用意が困難な場合は、「じょうご」と「計量カップ」でも代用できますが、オイル専用のものを用意してください。

 補給後は、先述の手順に従って再度オイル量を計測してください。構造上、原付では後からオイルを少しだけ抜くことが困難なので、少しずつ補給してください。

オイルジョッキ 原付のエンジンオイルを補給する際は、オイルジョッキがあると便利です

オイルの“交換”はどうすればいい?

 エンジンオイルのが少なくなった場合は補給……すればいいのですが、オイルは少しずつ汚れていきます。そのため、エンジンオイルは定期的に交換する必要があります

 取扱説明書を見ると、基本的には「エンジンオイルの交換は販売店にご相談ください」と書かれていることが多いです。手間がかかる上、自治体によっては抜き取ったオイル(廃油)の処分が難しいことがあるからだと思われます。

 とはいえ、手順さえ分かれば、交換作業自体は自分で行えます。交換タイミングと必要なエンジンオイルの量は、取扱説明書の「スペック(主要諸元/仕様)」欄または「サービスデータ」欄に書かれています。モデルによっては、車体のステッカーにも同様の記載があります。

 オイル交換は、おおむね初回(新車購入後)は走行距離1000kmで、それ以降は走行距離2000〜3000kmごと(または1年ごと)に行うように設定されています。ただ、長距離運転することが多い場合、あるいはエンジンのオン/オフの頻度が多い乗り方をしている場合は早めに交換することをおすすめします。

オイル量 交換に必要なエンジンオイルの量は取扱説明書のスペック欄、またはサービスデータ欄に書かれています(画像はホンダ「トゥデイ(2005年モデル)」の取扱説明書

 ただし、オイル交換に必要な工具類や手順は、通常の取扱説明書には記載されていません。「じゃあ何を見ればいいの?」と思うかもしれませんが、整備士向けの「サービスマニュアル」に記載されています。サービスマニュアルが必要な場合は、近くのバイク販売店に相談してみてください。個人が有償で購入することも可能です(※2)。一部のメーカーでは、子会社を通してネット通販もしています。

(※2)購入時に原付の「モデル名」「年式」「型式」「フレーム番号(製造番号)」が必要となる場合があります。古いモデルの場合、コピー品の提供となる場合や、販売を断られる場合もあります

サービスマニュアル ヤマハ発動機では、子会社を通して一部モデルのサービスマニュアルを通信販売しています。ここで購入できない場合は、販売店に相談してみてください(参考リンク

 エンジンオイルを交換する場合、新しいエンジンオイル、オイルジョッキ、油類を拭き取る布の他、以下のものが必要です。

  • レンチまたはスパナ
  • オイルフィルター(交換が必要なモデルのみ)
  • ドレンパッキン(シーリングワッシャー)
  • 廃油受けまたは廃油ボックス

 加えて、パーツクリーナーがあると、エンジンやドレンボルトに付いた油の拭き取りが楽になります。

 原付の構造によっては、用意したレンチやスパナがうまく入らないことがあります。レンチやスパナを新たに購入する際は、必ず目視で現車を確認してから選びましょう。

レンチセット ドレンボルト(オイルの排出口をふさぐボルト)は、口径が大きめな傾向にあります。モデルごとに合ったサイズのレンチ/スパナを選びましょう。回している様子を目視できるものを強くおすすめします
ワッシャー 多くの原付では、ドレンボルトとエンジンの間に「シーリングワッシャー(ドレンパッキン)」を挟み込みます。再利用は不可能ではありませんが、繰り返し使うと役割を果たせなくなるので、可能な限りオイル交換ごとにワッシャーも交換してください。原付のモデルに合致する口径のものをあらかじめ用意してください(写真は使い古したものです)
廃油ボックス オイルを処分する場合、画像のような廃油ボックス(処理箱)があると捨てやすいです。ただし、先述の通り、自治体によってはゴミとして出せない場合があるので、自治体のルールをよく確認してください

 エンジンオイル交換の具体的手順はモデルによって異なりますが、おおむね以下の通りです。

  1. 平らな場所でエンジンを掛けて2〜3分放置(アイドリング)する
  2. ドレン(排油口)のある位置に廃油受け(廃油ボックス)を入れる
  3. エンジンオイルフィラーのキャップ(レベルゲージ)を開ける
  4. オイルドレンのボルトを開けて廃油を放出する
  5. ドレン周辺を布で清掃する
  6. ドレンボルトに新品のシーリングワッシャーを付けて締め付ける
  7. エンジンオイルフィラーから新しいエンジンオイルを入れる
  8. エンジンオイルフィラーのキャップを閉める
  9. オイルの量を確認する(方法は先述の通り)

 エンジンオイルは高温であるほど抜き取りやすいのですが、その分やけどもしやすくなります。作業の際は、やけどに気を付けてください。

 また、ドレンボルトの取り付け時に力を入れすぎるとエンジンが破損します。トルクレンチ(ねじりの強さを調整できるレンチ)を持っている場合は、サービスマニュアルに記載された通りのトルクで締め込めばOKです。持っていない場合は、オイル漏れが起こらない、ある程度の強さで締め込むようにしてください。

ボルトを外す オイルドレンのボルトにレンチ(またはスパナ)をかけて取り外すと……
汚れたオイル エンジンから出た汚れを取り込んだオイルが勢いよく出てきます。廃油受け(廃油ボックス)でしっかり受け止めましょう
オイル計測 オイルの交換量はモデル(エンジン)ごとに異なります。しっかり規定値を量ってからから入れることを強くおすすめします
入れる オイルフィラーからエンジンオイルを入れる際に、急にたくさん入れようとするとあふれます。ゆっくり入れましょう

原付におすすめのエンジンオイル

 4サイクルエンジンの原付で使えるエンジンオイルはいろいろあります。その中でもおすすめのものを幾つか紹介します。

Honda ULTRA G1(本田技研工業)

 ホンダ(本田技研工業)の純正エンジンオイルです。一般向けには1L品が販売されています。

 ULTRAシリーズはホンダのバイク向け純正エンジンオイルブランドで、G1は同社のスクーターを除く各種バイクにおける基準オイルとなっています。2021年に発売された新パッケージ版はベースオイルの組成に変更があり、寒冷地での利用に強い「部分化学合成油」に切り替わりました(旧パッケージ版は「鉱物油」)。

  • SAE J300規格:5W-30(旧パッケージ:10W-30)
  • API規格:SL
  • JASO T903規格:MA
Honda(ホンダ) 2輪用エンジンオイル ウルトラ G1 (出典:Amazon)

YAMALUBE Standard Plus(ヤマハ発動機)

 ヤマハ発動機の純正エンジンオイルです。一般向けには1L品が販売されています。

 YAMALUBE(ヤマルーブ)は、ヤマハ発動機の純正オイルブランドです。ホンダにおけるULTRA G1と同様に、このオイルはヤマハ発動機の一部モデルを除くバイクにおける基準オイルとなっています。コストパフォーマンスを重視した鉱物油で、いろいろな「走り方」にピッタリなことが特徴です。

  • SAE J300規格:10W-40
  • API規格:SL
  • JASO T903規格:MB
YAMALUBE Standard Plus (出典:Amazon)

Mobil Super 4T(EMGルブリカンツ)

 EMGルブリカンツが販売しているMobil(モービル)ブランドのバイク用エンジンオイルです。一般向けには1L品が販売されています。

 ベースオイルは鉱物油ですが、高度な添加剤を配合しており、エンジンの清浄や保護に対する性能を高めています。さび/腐食の抑制効果も高めです。

  • SAE J300規格:10W-30
  • API規格:SL
  • JASO T903規格:MA
Mobil Super 4T (出典:Amazon)

Honda ULTRA E1(本田技研工業)

 ホンダの原付スクーター(50〜125cc)向け純正エンジンオイルです。一般向けには1L品が販売されています。

 ベースオイルは鉱物油で、摩擦低減剤を配合することでスクーターに適した特性に仕上げています。原付スクーターで使う場合は、先述のG1よりも手頃であることも魅力です。

ULTRA E1 (出典:Amazon)

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