NTTドコモとau(KDDI/沖縄セルラー電話)が、携帯電話回線の解約後も「キャリアメール」を継続して利用できる“持ち運び”サービスを発表しました。これを使うと、携帯電話事業者(キャリア)を乗り換えても同じメールアドレスを使い続けられます。ドコモなら「ahamo(アハモ)」、auなら「UQ mobile」や「povo(ポヴォ)」へのブランド変更時もメールアドレスを継続利用できます。
この記事では、ドコモが提供する「ドコモメール持ち運び」に焦点を絞り、サービスの概要と気を付けるべきポイントを解説します。
この記事における「キャリアメール」は、キャリアが提供する電子メール(Eメール)サービスのことを指します。
ドコモメール持ち運びはドコモの携帯電話サービスを解約した後も「iモードメール」「spモードメール」「ドコモメール」で使われている「@docomo.ne.jp」アドレスのメールを使い続けられるサービスで、月額330円で提供されます。
従来、キャリアを乗り換えることは、長年使ってきたキャリアメールのアドレスを失うことを意味してきました。総務省などの調査によると、このことによってキャリアの乗り換えをためらう人が少なからずいるようです。新たに登場した持ち運びサービスを利用すれば、キャリアを乗り換えても引き続きメールアドレスを維持できるようになるため、MNPが活性化するのではないかと期待されています。
ドコモメール持ち運びは、12月16日以降にドコモの携帯電話サービス(回線)を解約、またはahamoへプラン変更した個人名義の契約を対象に提供されます。申し込めるタイミングは契約内容によって異なります。いずれの場合も、事前に回線契約とひも付いた「dアカウント」を発行しておく必要があります。
申し込みは「ドコモショップ」または「Webサイト」で行います。ただし、以下のいずれかに当てはまる場合はWebサイトで手続きをしてください(ドコモショップでは受け付けられません)。
(※1)「切断型MNP」(詳しくは後述)を申し込む場合はドコモショップでも受付可能。ただし、切断型MNPでは、予約番号の発行から14日経過すると、同じ携帯電話番号を使った新規契約ができなくなる
MNPは「携帯電話番号ポータビリティー」の略で、携帯電話番号を引き継いで異なるキャリアの携帯電話サービスを新規契約できる制度のことを指します。
MNPでは、転出元のキャリアにおいて「予約番号」を取得した後、転出先キャリアで予約番号を提示して新規契約することで携帯電話番号を引き継げます。ただし、手続きには以下の通り2種類あります
転出先のキャリアにおいて新規契約するまで、転出元キャリアの契約が維持される手続き方法です。契約者から特別な申し出がない限り、こちらの方法が選択されます。
この方法の場合、予約番号の有効期限(14日間)が切れると元のキャリアでの契約が継続します。そのため、予約番号の取得から14日を超えた場合は、改めて予約番号を取得し直す必要があります。
予約番号を行使しなかった場合も携帯電話サービスを継続(=携帯電話電話番号を維持)できるので、乗り換えを迷っている人におすすめです。
携帯電話サービスの解約と同時に予約番号を取得する手続き方法で、契約者が特別に申し出た場合にのみ利用できます。
この方法の場合、手続きを行った時点で転出元キャリアの携帯電話サービスは解約(=通話やデータ通信ができない状態)となります。予約番号の有効期限が切れると手続きを行った携帯電話番号は完全に失われます(※2)。
携帯電話サービスを解約することは確実だけど、その電話番号を継続して利用するかどうか迷っているという人におすすめです。
(※2)解約後の携帯電話番号は数年間「塩漬け」をした上で再利用されることがあります(「塩漬け」する期間はキャリアによって異なります)
ドコモメール持ち運びで維持したメールアドレスは、どのように使えばいいのでしょうか。「他キャリアで使う場合」と「ahamoで使う場合」で少し状況が異なりますので、分けて紹介します。
他キャリアの回線で使う場合は、「IMAP」というプロトコルに対応するメールアプリでメールの送受信を行います。iPhoneやiPadでiOS/iPadOS標準のメールアプリを使う場合は使う場合は「iPhoneドコモメール利用設定」でダウンロードできる構成プロファイルを利用することでセットアップを簡素化できます。
ahamoで利用する場合、Android端末では「ドコモメールアプリ」を利用したメールの送受信も可能です。さらに「メッセージR」と「メッセージS」の受信にも対応します。ただし、メッセージR/Sを受信したい場合は、Android端末の場合はドコモメールアプリを、iPhone/iPadの場合はiPhoneドコモメール利用設定でセットアップしたiOS/iPadOS標準のメールアプリを利用してください。
(※3)端末によって「docomo Application Manager」または「Google Playストア」に移動します
ドコモメール持ち運びは、メールアドレスを維持したいがゆえにahamoや他キャリアに移行できなかったユーザーには“福音”といえます。一方で、無視できない注意点も複数あります。主な注意点を以下に列挙します。
(※4)iモードメール、spモードメール、ローカル(端末)に移動したドコモメール(メッセージR/Sを含む)
(※5)iPhoneドコモメール利用設定からダウンロードできる構成プロファイルをインストールしてiOS/iPadOS標準のメールアプリを使う場合を除く
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