Amazonの映像デバイス「Fire TVシリーズ」は、HDMI入力端子を備えるテレビやディスプレイ(モニター)に使うもの……なのですが、海外ではFire TVの機能を内蔵した「スマートテレビ」も販売されています。
日本でもFire TVの機能を内蔵した「FUNAI Fire TVスマートテレビ」というスマートテレビ3月5日に発売されることになりました。このスマートテレビはAmazonとヤマダホールディングスが連携して販売されることになっており、Amazon以外ではヤマダデンキを含むヤマダホールディングス傘下の家電量販店と「ヤマダウェブコム」(ヤマダデンキのWeb通販サイト)でのみ購入できます。
この記事では、FUNAI Fire TVスマートテレビの特徴を簡単に紹介します。スマートテレビを探している人、興味を持っている人の参考になれば幸いです。
【追記/修正:3月2日13時30分】FUNAI Fire TVスマートテレビのソフトウェア更新ポリシーを踏まえて、「『FUNAI Fire TVスマートテレビ』のデメリットは?」の一部内容を追記/修正しました
3月5日(一部モデルは4月末)に発売される「FUNAI Fire TVスマートテレビ」は、Amazon以外ではヤマダホールディングス傘下の家電量販店/Web通販サイトでのみ販売されます。Amazonでは発売前日(3月4日)までに予約して購入すると予定販売価格よりもさらに手頃な価格で購入できますデジタル放送に対応するテレビは、超廉価モデルを除いて「双方向データ放送」に対応しています。双方向データ放送を利用するにはインターネット接続が必要となるため、インターネットに接続する機能を備えるテレビ自体は少なくありません。中には、インターネット接続する機能を生かして、家庭内のネットワークにつながっているレコーダーやパソコンにある動画(録画番組)を楽しむ機能やネット動画を楽しむ機能を備えるものもあります。
スマートテレビは、テレビのネット接続機能をより進化させて、後からアプリを追加したり更新できるようにしたものです。モデルによってはOSのバージョンアップや発売時に無かった機能の追加が行われるケースもあり、ある意味でスマートフォンに近いテレビといえます。
スマートテレビは、テレビのネット接続機能を進化させて、後からアプリを追加したり更新したりできるようにしたものです。モデルによってはOSのバージョンアップや機能追加も想定されています(写真はイメージです)スマートテレビのOSは幾つか種類があり、メーカーによって採用するものが異なります。主要なスマートテレビ用のOSを簡単に紹介します。なお、各メーカーにおいて全モデルがスマートテレビ用OSを採用しているとは限らないので、カタログなどで採用状況はしっかりと確認してください。
「Android TV」はその名の通り、スマホやタブレット端末で使われている「Android OS」をテレビ用にアレンジしたOSです。Androidスマホと同様にアプリを「Google Play」から追加/更新できるようになっている他、「Googleアシスタント」を使った音声コントロールにも対応しています。さらにChromecast(Google Cast)機能も統合しているため、Chromecastに対応するアプリやAndroid端末からの映像のキャスト(投影)も可能です。
Android TVを搭載するスマートテレビを販売している主なメーカーは以下の通りです。
なお、GoogleがAndroid TV向けに開発した新ホーム画面「Google TV」を採用したモデルは、Android TVではなくGoogle TVという名称で販売されています。注意してください。
「webOS」は、LG Electronics(LG)が開発しているスマート家電用OSで、同社製のスマートテレビに採用されています。
元々、webOSはPalm(現在のHP)という企業が「Linux(リナックス)」をベースにスマホ/タブレット向けのOSとしてとして開発を進めていました。しかしLGが2013年にHPから事業ごと買収して、現在に至っています。
LGはwebOSを他社にもライセンスするとしていることから、今後同社以外のメーカーからもwebOSを採用するスマートテレビが登場する可能があります。
現時点において「webOS」は事実上LGのスマート家電専用OSとなっていますが、主要なネット動画サービス用のアプリはしっかりとそろっています。今後は他社のスマートテレビでも採用される可能性があります(出典:LGエレクトロニクス)「Firefox OS」は、Webブラウザ「Firefox」で知られるMozzilla(モジラ)がLinuxをベースに開発していたOSです。スマートテレビ用OSとしては、パナソニックが採用しています。
「開発していた」という言葉からも分かる通り、Mozilla自身は2016年をもってこのOSの開発とサポートから撤退していますが、パナソニックがスマートテレビ用OSとして開発を継続しています。
「Fire OS」は、Amazonが自社ブランドの「Fireタブレット」やFire TVシリーズで利用するためにAndroid OSをベースに開発したOSです。Amazonが提供するアプリストアから各種アプリをダウンロードして使うことができます。
海外では、Amazon自らが手がけるものを含めて複数のメーカーからFire OSを搭載するスマートテレビが発売されています。この記事で紹介するFUNAI Fire TVスマートテレビは、日本では初めてとなるFire OS搭載のスマートテレビとなります。
FUNAI Fire TVスマートテレビは、先述の通り日本初のFire OS搭載スマートテレビです。大きく分けると、HD(1366×768ピクセル)液晶パネルを搭載する「F140シリーズ」と、HDR表示に対応する4K(3840×2160ピクセル)液晶パネルを搭載する「F340シリーズ」の2シリーズが用意されています。
テレビチューナーは「地上波デジタル」「BSデジタル/110度CSデジタル」「BS/110度CS 4K放送」のそれぞれにおいて「視聴用」「録画用」のデュアル構成となっています(BS/110度CS 4K放送用はF340シリーズのみ)。USB接続のハードディスクドライブ(HDD)を別途用意すれば、レコーダーなしでテレビ番組を録画可能です。
その他、HDMI入力端子×3(※1)、ビデオ入力端子、光音声出力端子、USB端子×2、LAN端子×1も備えているので、パソコンや外付けレコーダー用のディスプレイとしても活用できます。Wi-Fi(無線LAN)とBluetoothにも対応しています。BluetoothについてはBluetoothオーディオデバイスに音声を転送する機能も備えているので、手持ちのBluetoothヘッドフォンでテレビの音声を流すことも可能です。
(※1)うち1系統はARC(Audio Return Channel:HDMI対応のオーディオデバイスに音声を“戻す”機能)に対応
FUNAI Fire TVスマートテレビは、HD液晶を搭載するF140シリーズ(左端の32型)とHDR対応4K液晶を搭載するF340シリーズ(43型、50型、55型)の2シリーズ構成です(F140シリーズは4月末の発売を予定しています)日本初のFire TV内蔵スマートテレビであるFUNAI Fire TVスマートテレビですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
FUNAI Fire TVスマートテレビの操作画面(ユーザーインタフェース)は、Fire TVシリーズと同じなので、ネットコンテンツと同じ感覚でテレビ番組も楽しめます。特定のチャンネル(あるいは番組)を「お気に入り」としてホーム画面に登録すれば、テレビ番組とネットコンテンツを“同じ画面内”でザッピングできます。
動画配信サービスは、主に以下のものに対応しています(一部は別途アプリのインストールが必要です)。
テレビ機能も含めて、Fire TVシリーズと同じ操作画面となっています。テレビのチャンネル(あるいは番組)をお気に入り登録すれば、ネットコンテンツとテレビ放送を“同列”に扱えます(出典:Amazon)FUNAI Fire TVスマートテレビのリモコンは、現行のFire TVシリーズのリモコンをベースとしたデザインとなっています。Fire TVシリーズの操作に慣れていれば、操作に戸惑うこともありません。もちろん、Amazon Alexaで利用するためのマイクも付いています(詳しくは後述します)。
もちろん、スマホやタブレットの「Amazon Fire TVアプリ」を使った操作にも対応しています。
FUNAI Fire TVスマートテレビのリモコンは、現行のFire TVシリーズのリモコンにテレビ用の各種ボタンを追加したデザインとなっています。Fire TVを使ったことがある人なら、すぐに慣れるはずですFUNAI Fire TVスマートテレビは、Fire TVシリーズと同様に音声エージェント「Amazon Alexa(アマゾンアレクサ)」に対応しています。
例えば、「Amazon Echoシリーズ」と同様に、Alexaに対応するスマート家電(照明、スマートリモコンなど)を音声コマンドで操作できます(※2)。Echoシリーズを含むAlxea対応スマートスピーカー/スマートディスプレイの場合、ウェイクワード(音声コマンドを入力するためのフレーズ)を冒頭で話しかける必要がありますが、FUNAI Fire TVスマートテレビの場合はリモコンの「Alexa(音声入力)ボタン」を押すことでウェイクワード抜きで音声コマンドを直接入力できます。
逆に、Echoシリーズやスマホやタブレットの「Alexaアプリ」で音声入力をすることでFUNAI Fire TVスマートテレビを操作することもできます。
(※2)スマート家電を操作する場合は、Alexaアプリなどで事前にセットアップする必要があります。詳しくは利用するスマート家電の取扱説明書などを参照してください
FUNAI Fire TVスマートテレビのセットアップ手順は非常に簡単です。基本的に以下の3ステップでセットアップが完了します。
FUNAI Fire TVスマートテレビは「Miracast」による映像投影に対応しているため、同規格に対応するAndroid端末やWindows 10/11パソコンからワイヤレスで映像を投影できます。
さらに、後日Appleの「AirPlay」にも対応する予定で、iPhone、iPadやMac(macOS)からのワイヤレス映像/音声投影もできるようになる見通しです。
一方で、FUNAI Fire TVスマートテレビにもデメリットはあります。それほど大きなデメリットではありませんが、一応確認しておきましょう。
スマートテレビでは、セキュリティ上の問題に対する「セキュリティ更新」、OSのバージョンアップや機能追加を目的とするファームウェア(ハードウェアを稼働するためのソフトウェア)の更新が行われます。スマホやタブレットと比べると頻度はそれほど多くありませんが、おおむね2〜6カ月に1回は更新が配信されます。
一方で、スマートテレビはファームウェアの更新がいつまで行われるのか不明瞭なモデルもあるという問題点があります。このこと自体は一般的なデジタルテレビでも同様なのですが、アプリを自由にインストールできるスマートテレビの場合、ファームウェアのアップデートが行われない場合のセキュリティ上のリスクがより大きくなります。
Amazonによると、FUNAI Fire TVスマートテレビのファームウェア更新は「既存のFire TVシリーズと同じように行う予定」ということです。具体的には新品販売を終了した日から少なくとも4年間はソフトウェア更新が行われますが、それ以降については更新するかどうか未定となります。
他のスマートテレビと比べると、FUNAI Fire TVスマートテレビは更新の見通しがしっかり立てられていますが、「いつかは更新されなくなる」という心づもりは持っておきましょう。
先ほどのファームウェアと同様に、スマートテレビの要となりうる各種サービス(アプリ)のサポートがいつまで行われるかも不明という点も留意すべきポイントです。
FUNAI Fire TVスマートテレビでも使えるサービスの1つである「Hulu」を例に挙げると、同サービスのFire TVシリーズ用アプリは、初代Fire TV Stick(2014年11月発売)でのサポートを2021年12月をもって終了しています。デバイスの発売から約6年でサポートを終了したことになります。
スマホ向けのサービスでも、リリースから5年以上経過した端末(OS)ではサポートが打ち切られることが多いです。購入から5年を経過すると、利用できなくなるサービスが出てくる可能性があることは念頭に置いておいた方が良いかもしれません。
先の2つはスマートテレビ全般で起こるうるデメリットですが、FUNAI Fire TVスマートテレビ固有のデメリットとして買える場所(販路)が非常に限定されることが挙げられます。
その名の通り、FUNAI Fire TVスマートテレビは船井電機(フナイ)が開発と製造を担っています。フナイは国内における自社ブランドでの映像機器(テレビ/レコーダー)の販売について、ヤマダホールディングスと独占契約を結んでいます。そのため、フナイの映像機器はヤマダホールディングス傘下の家電量販店やWeb通販サイトでのみ購入できます。
このFUNAI Fire TVスマートテレビもご多分に漏れず、ヤマダホールディングス傘下の家電量販店やWeb通販サイトでのみ取り扱われます。そのこともあり、Amazonでの販売分はヤマダデンキの公式ストアでの扱いとなります。
ヤマダデンキは全国に販売ネットワークがあるので、FUNAI Fire TVスマートテレビを試したりその場で買えたりする店舗も見つけやすいです(展示は順次展開される予定)。一方で、他の家電量販店などでは展示も販売もないので注意しましょう。
FUNAI Fire TVスマートテレビのうち、F340シリーズは3月5日に発売されます。発売を記念して、3月4日までにAmazonでF340シリーズを予約購入すると以下の通り割引価格で購入できます(いずれも税、送料込み)。
Fire TVライクに使えるスマートテレビを探している人は、ぜひチェックしてみてください。
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