スウォッチ(Swatch)は、創業から現在に至るまでさまざまな革新的なプロダクトをリリースし、腕時計、特にカジュアルウオッチの新たなスタンダードを築いてきました。
そんな「スウォッチ」が昨今力を入れている新素材のバイオセラミックは、どこがすごいのか――直近のヒット商品や新商品とともに注目してみましょう。
Fav-Log編集部員。学生時代はモノ系ブログを運営し、大学卒業後はモノ系媒体の企画営業としてスマートフォンやオーディオ製品のプロモーションに携わる。その後もコンシューマー向け媒体で、企画・進行として6年の経験を積んだのちFav-Log編集部へ。趣味のモノは全自動コーヒーメーカーやオーディオをはじめとした家電・ガジェットや、自転車、ファッションなどデジタルからアナログまで多岐にわたり、気になった製品ジャンルはとことん調べるデータ収集タイプのオタク。
スウォッチの創業は1983年。創業年に斬新なスケルトンデザインの腕時計「ジェリーフィッシュ」をリリースし、一世を風靡しました。
革新的だったのは、スケルトンのデザインはもちろんですが、素材にプラスチックを使用し、安価にクオーツ腕時計を市場に供給した点。手頃な価格で購入できてデザイン性も優れたスウォッチは、世の中に「ファッションウォッチ」という概念を作り出しました。
その後も51個のパーツと1本のネジで組み立てられながら90時間のパワーリザーブを実現した「SISTEM51」や、従来のプラスチック素材をバイオ由来のプラスチック素材(バイオプラスチック)に置き換えた「1983コレクション」など、確かな技術力によって革新的なプロダクトを世に送り出し続けています。
そのスウォッチが、次のニュースタンダードとするべく力を入れ始めた素材がバイオセラミックです。
バイオセラミックは、その名の通りセラミックとバイオ由来の素材を組み合わせた素材です。
軽くて表面硬度が高く、見た目の質感も優れたセラミックは、腕時計でも採用例の多い素材ですが、衝撃に弱いデメリットがありました。扱いに少しでも気を使う必要があるセラミックは、日常使いすることが多いスウォッチの時計とは相性が悪いとも言えます。
一方スウォッチが得意とするプラスチックは、傷がつきやすいものの柔軟性が高く衝撃に強い素材。そこでスウォッチが考えたのが、セラミックとプラスチックを合わせて両者のいいとこどりをした素材を作ることでした。
セラミックとトウゴマの種から抽出したヒマシ油を原料としたバイオプラスチックを2対1の割合で混ぜることで、セラミックの傷への強さと質感、プラスチックの耐衝撃性を持ったバイオセラミックが完成。プラスチックもバイオ由来の素材なので、環境にも優しいというまさに理想的な素材となっています。
バイオセラミックの腕時計は、肌ざわりもソフトで心地よく、サスティナブルな素材であることも相まって所有欲を満たしてくれる1本となるでしょう。
バイオセラミックの名を世に知らしめたのが、スウォッチとオメガのコラボモデル「バイオセラミック ムーンスウォッチ(Bioceramic MoonSwatch)」です。
2022年3月26日の発売予定日には、販売店に購入者が殺到。近隣警察からの指導のもと安全確保のため当日の発売が中止となるほどの反響となりました。その後に再度発売した際も即完売となっています。
ムーンスウォッチがここまでの反響を得たのは、革新的な素材を使っていることもありますが、なによりもオメガの伝説的なモデル「スピードマスター ムーンウォッチ(Speedmaster Moonwatch)」をモチーフとしていることでしょう。スピードマスターの文字盤や特徴的なアシンメトリーのケースデザインが再現されています。
また「OMEGA X SWATCH」のロゴが入った文字盤やクラウン、バッテリーカバーにプリントされた惑星のグラフィックなど、コラボモデルならではのデザインも魅力的なポイントです。
これだけの話題性や魅力を持ちつつも、オリジナルのスピードマスターでは考えられない3万円台の価格で買えるのだから、異常とも言える人気を得るのも当然かもしれません。もちろんオリジナルのスピードマスターとは別物ではありますが、これほどわくわくするコラボモデルはなかなか無いでしょう。
バイオセラミックのコレクションは、現在も続々登場しており、7月28日にはスクエアシェイプの新コレクション「WHAT IF?」が発表されました。
コレクション名のWHAT IF?(もしも)は、1982年にスウォッチの創業者たちが下した決断にさかのぼります。当時、ラウンドシェイプかスクエアシェイプの2択からラウンドシェイプを選択しなかったという”IF”を表しています。
”もしも”スクエアシェイプのスウォッチが選ばれていたら、どうなっていたか――を最新のバイオセラミック素材で表現したのが今回のコレクションというわけです。
33mm四方のコンパクトなケースが特徴的な本コレクションのデザインはミニマムそのもの。無駄の無いシンプルな文字盤とバンドのデザインとなっています。
風防にはスウォッチ初となるバイオ由来素材のエッジトゥエッジガラスを採用し、新しい挑戦も忘れていません。
この「WHAT IF?」コレクションは、8月1日のスイス建国記念日に販売店とSwatch.comにて発売されます。
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