PC周辺機器メーカーのエレコムより、約4年ぶりとなるトラックボールの新シリーズ「IST(イスト)」が登場しました。
トラックボールはマウスに比べるとまだまだ利用者の少ないポインティングデバイスですが、2020年ごろからテレワークの普及とともに急激に人気を集めています。
今回は、注目度が高まるトラックボール市場において、話題となっている新製品「IST」シリーズの特徴を紹介します。後編ではISTならではのメリットについて見ていきます。
古の「ケータイ雑誌ライター」。フィーチャーフォン時代の終焉とともに、守備範囲をIT・ガジェット・パソコン・AV家電など広範囲に拡大。趣味はゲームとアニメ・仮面ライダー・アメコミ映画などの鑑賞。好きな音楽はクラシックロックとネオアコ。
パソコンをマウスで操作する場合、マウス本体を手で移動させることで画面のポインターを動かします。それに対して、トラックボールは埋め込まれているボールを指で動かしてポインターを操作します。
操作に必要となるスペースが非常に狭くても済むことが、トラックボール最大のメリットと言えます。マウスのように本体を前後左右に動かす必要がないので、その分のスペースがいりません。
使用する場所の素材に気を配る必要もなく、マウスパッドももちろん不要。マウスよりもかさばるので持ち運び自体は多少不便ですが、電車などでも、ひざの上に置いて操作することもできるので、最近ではモバイルでも使う人が増えているようです。
エレコムのトラックボール新製品のISTは、トラックボールの中でも主流と言える親指操作タイプです。親指操作タイプは人差し指と中指でクリック操作を行うので、ボタンはマウスに近い感覚で操作できます。
そのためマウスからの乗り換えの場合は、他のタイプよりも早く慣れることができるでしょう。またISTは、握らず自然な手の形で使えるエルゴノミクスデザインを採用しており、手の大きさや握り方を問わず、手になじむ形状を採用。手首に負担のかからない角度なので、長時間の作業も快適にこなせるはずです。
トラックボールには、現在のマウスにはない「ボール」とそれを支える支持部分があります。ISTの最大の特徴はこの「支持部分」に高性能ベアリングを採用しているところです。
昨今のトラックボールでは主にコストの面から、支持部分にアルミナセラミックスや人工ルビーのボールを支持球として使用する製品が主流でした。しかし、セラミックスなどの素材は摩擦係数が低いものの、トラックボールの表面を支持球が擦ることで、支持部に埃やごみが溜まりやすく、ボールの回転が鈍くなり、滑り心地が悪くなってしまうという課題がありました。
ISTではこの問題を解決するために、小径ボールベアリングで世界トップシェアを誇るミネベアミツミの高性能ボールベアリングを採用しています。
ボールベアリングは、トラックボールの回転に合わせて回転するため、滑り始めから余分な力を必要とすることなく、指の動きにボールがついてくることで、なめらかな操球と高い操作性を実現し、繊細な作業もスムーズにできます。
またトラックボールの表面をこすることがないため、ボールが削れることがなく、支持部に埃などが付着しづらいため、メンテナンスの手間も減ります。一般的に、トラックボールはメンテナンスに手間がかかるのがデメリットの一つですが、その手間が削減されるのはISTの大きな強みと言えるでしょう。
ベアリング式の支持部分と並ぶISTの大きな特徴として、36mmの大型ボールの採用が挙げられます。
ISTではボールの操作範囲を可能な限り拡大するため、一般的なサイズよりもひと回り大きい直径36mmの大型ボールを搭載。エレコムの親指操作タイプトラックボールの従来モデル「M-XPT1MRBK」のボールが直径34mm、親指トラックボールの定番モデルであるロジクール「M575S」が35mmなのでそれらを凌駕するサイズです。
36mm大型ボールはなめらかに表面加工されており、一度の操作でポインターを広範囲かつ繊細に動かすことができます。さらに上記の通りベアリング採用なので、ボールを勢いよく転がして広範囲の移動を素早く行うこともできるでしょう。
特に2台以上のディスプレイを使用するマルチディスプレイ環境では、大型ボールとベアリングの組み合わせが強みを発揮するはずです。左のディスプレイの画面左端から、右のディスプレイの画面右端まで、ポインターを素早く快適に移動できるので、マルチディスプレイでの作業の効率を向上させることができるでしょう。
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