毎年2月末前後に「CP+」という日本最大(世界最大級といっていいかも)のカメラと写真のイベントがパシフィコ横浜で開催されています。これは、その年にどんなカメラがトレンドになっているのかを占うにもよい場所。ここ数年は各社のミラーレス一眼が主役でしたが、2026年はレトロなカメラやインスタントカメラが注目されました。
アナログ回帰か? という人もいますがそれはちょっと違います。デジタルからアナログへの回帰ではなく、日常使いするデジタル(スマホカメラですね)にプラスワンの存在としてアナログが再発見されたのです。
その代表がインスタントカメラでしょう。撮ってその場でプリントできる、プリント機構内蔵カメラです。その場でプリントという「モノ」にできるのは、スマホ時代の今だからこそ魅力的。その場で人にプレゼントすることも、アルバムを作ってモノとしての楽しさも味わえます。
CP+でもはじめてポラロイド社が出展したり、富士フイルムのチェキコーナーが広くなっていたりとかなり目立っていました。
インスタントカメラには、大きく分けて2種類あります。ひとつは、完全なアナログカメラ。撮影したら即座にプリントされます。昔ながらのインスタントカメラです。もうひとつは、デジタルとアナログのハイブリッド。中にはデジタルカメラが入っており、撮ったあとで気に入ったものだけプリントできるカメラです。
それぞれカードサイズのプリントができるカメラを2機種ずつ紹介しましょう。
荻窪圭
パソコン黎明期からの老舗IT系フリーライター。現在はスマホを含むデジタルカメラの専門家としてITmediaなどに寄稿しつつ、ときどきガジェットのレビュワーや猫写真家や街歩きのガイドになる。Xアカウントは@ogikubokei
インスタントカメラの代表といえばチェキ。ここ数年、チェキ人気が高まり、ここ数年はフィルムが需要に追いつかず、入手困難が伝えられるほどです。
その中で大人でも楽しめるチェキとしておすすめしたいのがinstax mini 99。レトロな縦型デザインに加え、内部にLEDを備え、撮影の瞬間にそれを光らせて露光させることでアナログならではの6種類のエフェクトを実現しました。
チェキの魅力はアナログフィルムならではの柔らかな階調と風合い。そしてカードサイズであること。シャッターを切るとすぐフィルムがうにーっと出てきて、1分くらい待っていると少しずつ写真が浮かび上がってくるというインスタントフィルムならではの体験はデジタルでは味わえないもの。それも含めての魅力といえます。
フィルムは10枚で814円(富士フイルム公式ショップ)。1枚あたり81円です。
元祖インスタントカメラといえばポラロイド。1998年に富士フイルムがinstaxを発売するまでは、ほぼポラロイドの独壇場でした。残念ながら2000年代にポラロイド社が経営破綻してフィルムの製造も止まりましたが、ポラロイドを継続したい有志や投資家らがプロジェクトを作って工場設備を取得、新たにフィルムを開発して復活させたものです。
現在は複数のプロダクトが展開されていますが、注目は小さなフィルムのPoraroid Go。ポラロイドらしく写る範囲は正方形で富士フイルムのinstax miniの長辺が短くなった感じです。
ただ、プラスティックっぽい素材のカメラのデザインが魅力的。丸みがあってかわいくてカラフルです。チェキはフィルムが上から出てきますが、ポラロイドのカメラはレンズの下から横向きに出てきます。口から吐き出すような感じ。
ポラロイドを知る世代にはその復活が懐かしく、新しい世代にはカラフルでかわいいボディの魅力がアピールしそうです。
カメラは低価格ですが、フィルムは16枚入りで3980円(オンラインショップ)。1枚当たり約249円とチェキに比べると割高なのは残念。米国での価格はあまり差がありませんから、チェキのフィルムが日本だと安く買えるということでしょう。
富士フイルムのinstaxシリーズにはデジタルカメラ+チェキプリントのハイブリッドカメラシリーズもラインアップされています。液晶モニターを見ながらデジカメとして撮影し、必要な写真だけをプリントできます。
メリットは失敗写真はプリントしなくて済むことと、同じカットを何枚もプリント(焼き増し感覚?)できること。また、デジタルならではの豊富なエフェクトも魅力です。
特に最新のinstax mini Evo Cinemaは1920年代から2020年代までの10種類から選べる「ジダイヤル」を装備。1920年代は初期のモノクロ映画、1960年代は家庭用テレビ、1970年代は8mmフィルムという感じで、その時代を象徴する映像や写真メディアの雰囲気で撮れるというのがたまりません。
凝っているのがそのスタイル。往年の8mmフィルムカメラ(フジカシングル8)ばりの縦型スタイルで、右手で握ってもち、背面の1.54型の小さなモニタを見ながら撮るという非常に個性的な作り。Cinemaとある通り、動画も撮れます(ただし15秒)。
その斬新なスタイルと写りのリアルさは魅力的です。
カメラ部はデジタルですが、プリントはチェキそのものの風合いです。スマホと連携することで撮った写真や動画をスマホに転送できるのもハイブリッド機ならではでしょう。
今一番斬新なデザインのカメラがinstax mini Evo Cinemaかもしれません。片手でグリップし、背面の小さなモニタを見ながら撮ります。側面の1920から2020まで数字が書いてあるジダイヤルが独自機能です。上からチェキプリントが出てきます。デジタルで撮ってその場でプリントできるカメラとして、もうひとつ紹介したいのがコダック。フィルム時代にはトップブランドでしたが、2012年に破産し、コンシューマー向けの事業の多くを切り離して再建しましたが、コダックブランドは残し、他社へとライセンスしています。
そのひとつがインスタントカメラ。
Kodak Mini Shot 2はデジタルカメラとプリンターが一体化したカメラです。
コダックのインスタントカメラKodak Mini Shot RETRO。両端の2つがカードサイズのプリントを行うMini Shot 2 RETROです。昔ながらのカメラのデザインながら、熱転写方式のプリンターを内蔵し、鮮やかなプリントを出してくれます富士フイルムやポラロイドと異なるのは、カメラが内蔵しているのがインスタントフィルムではなく「昇華型熱転写方式」のプリンターであること。色彩が豊かできれいな発色を行う方式です。
おすすめは、Kodak Mini Shot 2 RETROのイエロー。コダックカラーである黄色と黒のカラーリングや角が丸く中央にレンズがあるレトロなデザインが魅力です。
中身はデジタルカメラですから欲しいものだけ何枚でもプリントできます。
プリントはカードサイズ。価格は10枚入りのパックが3つセットになって1500円(ダイレクトショップ価格)。インスタントフィルムとは方式が異なるとはいえ、1枚50円というのはお得です。
完全なアナログカメラにするか(シンプルでレトロですが、ランニングコストは高め)、デジタル+プリントのハイブリッドカメラにするか(プリントしたい写真だけ出力できるのでランニングコストを抑えられます)。問題は、カッコいいカメラか、かわいいカメラか、コストパフォーマンスが高いカメラか、いろんな撮影ができて面白いカメラかで悩むところではないでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.