6月は真夏ほどではないけれど、蒸し暑いと感じる日が増えてきます。この時期に悩むのが、エアコンの「除湿(ドライ)」と「冷房」のどちらを使うべきか、という問題です。
「除湿の方が電気代は安そうだけど、実際はどうなの?」という疑問に答えるべく、除湿と冷房の電気代を比較してみました。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
まずはエアコンの仕組みを簡単に説明します。エアコンの室内機で空気の熱を冷媒が吸収し、その熱を屋外機で外に放出することで室内を冷やします。このとき、空気が冷える過程で水分が結露し、それを排出することで湿度も下がります。つまり、「温度を下げる」と同時に「湿度も下がる」仕組みです。
このように、冷房と除湿は基本的な仕組みは同じで、温度を優先的に下げるのが「冷房」、湿度を優先的に下げるのが「除湿」です。
エアコンの除湿には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があります。
室内の空気を冷やして湿気を取り、そのまま冷たい空気を戻す方式です。弱い冷房をかけている状態と同じであるため、肌寒く感じることがあります。
一度冷やして湿気を取った空気を、再び暖めてから室内に戻す方式です。室温を下げずに、湿度だけ下げることができる点がメリット。ただ、暖める工程が入るため、弱冷房除湿よりも消費電力が大きくなります。
ダイキンの公式ページによると、除湿(再熱除湿)>冷房>除湿(弱冷房除湿)の順で、消費電力が大きくなるとあります(参考:ダイキンHVACソリューション東京)。
パナソニックの公式ページによると、冷房と弱冷房除湿はほとんど同じであり、再熱除湿は、冷えた空気を再度暖める工程が入るため、冷房・弱冷房除湿よりも電気代が約1.2倍高くなるとあります(参考:パナソニック)。
弱冷房除湿は弱い冷房と考えられるので、通常運転の冷房よりも若干電気代が抑えられます。ただ、冷房も設定温度に達すると省エネ運転を行うので、冷房と弱冷房除湿の電気代はほとんど変わらないといえるでしょう。
再熱除湿のみ暖める工程が加わるため、電気代が少し高くなると考えておくとよいでしょう。
6月の「ちょっと暑い時期」は、除湿と冷房をどのように使い分けるのがベストなのか、「気温」と「湿度」に注目しておすすめの使い分けを紹介します。
弱冷房除湿、または冷房(設定温度高め)がおすすめです。
不快の原因は湿度の高さなので、軽く冷やしながら除湿するのが効果的です。冷房を27〜28度設定で使うと部屋を冷やし過ぎません。
再熱除湿がおすすめです。
ジメジメした梅雨などは、弱冷房除湿や冷房運転では、肌寒く感じる人が多いと思います。再熱除湿なら室温を下げずに除湿できるので梅雨でも快適に過ごせます。
冷房がおすすめです。
まずは冷房で室温と湿度を一気に下げましょう。設定温度に達した後も蒸し暑く感じる場合は、設定温度を下げる前に除湿モードで湿度を下げるのが効果的です。蒸し暑さが和らげば、設定温度を下げずに済む可能性があります。エアコンは設定温度を1度緩和すると消費電力が約13%削減できるとされているため、この方法は電気代の節約にもなります(参考:環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」)。
また、「冷房」か「除湿」か迷ったときは、「自動」モードを活用するのも一つの方法です。「自動」モードは、室温や湿度に応じて最適な運転を自動で選択する機能で、風量や運転強度も含めて効率よく調整してくれます。自分で細かく操作するよりも無駄な運転を抑えられるので、結果的に省エネにつながります。
最後に、電気代を抑えるエアコンの使い方を2つ紹介します。
先述のとおり、設定温度を1度緩和すると消費電力は約13%削減できるとされています。そのため、設定温度を下げる前に、風量や湿度の調整で体感温度を下げることが省エネにつながります。
冷やすよりも風量を上げるほうが消費電力は少ないため、少し暑いと感じたらまず風量を上げてみましょう。また、湿度が高いと蒸し暑く感じるため、除湿で湿度を下げることでも体感温度を下げることができます。
冷たい空気は下にたまりやすいため、風向きを上(または水平)にすることで部屋全体に冷気が行き渡りやすくなります。さらに、風量は「自動」に設定することで、室温が下がるまでは強風、その後は弱風へと自動で切り替わり、効率よく運転できます。結果として無駄な稼働が減り、節電につながります。
一般的に夏場は、室温26〜28度、湿度50%以下が快適とされています。ここでいう温度はエアコンの設定温度ではなく、実際の室温です。設定温度と室温は必ずしも一致しないため、室温計や湿度計を活用するとよいでしょう。
エアコンは「温度」だけでなく「湿度」も意識して使い分けることで、快適さと電気代の節約を両立できます。季節や体感に合わせた上手な使い方で、快適な室内環境を整えましょう。
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