人気の250cc・スズキ「Vストローム250」と新型「Vストローム250SX」、どちらを選ぶべき? 違いを解説
生産国のインドでは、2022年4月に発表されたスズキの「Vストローム250SX」。ついに日本でも8月に販売開始となりました。
生産国のインドでは、2022年4月に発表されたスズキの「Vストローム250SX」。ついに日本でも8月に販売開始となりました。
スズキの250ccクラスには、すでに「Vストローム250」という軽二輪アドベンチャーモデルがあり、併売されることが決定しています。今回は、この2台の違いと魅力について解説しましょう。
大屋雄一
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
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スズキ「Vストローム250SX」「Vストローム250」のスペック
Vストローム250SX
- 価格:56万9800円(税込、以下同)
- エンジン形式:249cc油冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
- 最高出力/最大トルク:26ps/22Nm
- 車重:164kg
- ホイール径:フロント19インチ、リヤ17インチ
- シート高:835mm
Vストローム250
- 価格:64万6800円
- エンジン形式:248cc水冷4ストロークSOHC2バルブ並列2気筒
- 最高出力/最大トルク:24ps/22Nm
- 車重:191kg
- ホイール径:フロント17インチ、リヤ17インチ
- シート高:800mm
エンジン形式だけでなく、設計年度も異なる
8月にリリースされたばかりの「Vストローム250SX(以下、SX)」と、さかのぼること6年前の2017年7月に発売された「Vストローム250(以下、250)」。どちらもスズキが展開するVストロームシリーズの最小排気量モデルで、希望小売価格は、SXが56万9800円、250が64万6800円となっています。
この2台、搭載されているエンジンが全く異なります。SXは油冷SOHC4バルブ単気筒で、最高出力は26ps。これに対して250は水冷SOHC2バルブ並列2気筒で、最高出力はSXよりも2ps低い24psを公称しています。
単純に単気筒か2気筒かの違いだけでなく、それぞれのエンジンが登場した時期には大きな隔たりがあります。SXの油冷単気筒エンジンを初めて搭載したのは「ジクサーSF250/250」というモデルで、発売されたのは2020年のこと。
対して250の水冷並列2気筒は、中国生産の「GSR250」というネイキッドモデルに初めて搭載され、日本では2012年に発売されました。つまり、単純計算で8年も設計年度に開きがあるのです。
設計の古いエンジンが生き延びるには、最新の排出ガス規制に適合しなければなりません。250はSXが発表されたことからディスコンになるかと思われていたのですが、スズキはエキゾーストパイプや触媒などを見直し、最新の排出ガス規制をクリアすることに成功。250の国内での続投を決めました。その結果、SXと併売となったのです。
SXの単気筒エンジンは、スロットルレスポンスが力強く、さらに燃焼1発ごとの蹴り出し感が非常にみずみずしいのです。一言で表すなら“元気が良い”となるのですが、急かされるような雰囲気は一切なく、景色を眺めながらトコトコと流すような走り方でも飽きることがありません。
これに対して250の並列2気筒は優しいスロットルレスポンスが特徴で、高回転域までスムーズにパワーが上昇します。また、全域で微振動が抑えられているので、長時間乗っていても疲れにくいというのも長所の一つでしょう。
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ホイールサイズの違いに両車のコンセプトが表れる
SXと250は、どちらもオンロードモデルをベースに誕生しました。その際、SXはフロントのホイール径を17インチから19インチへと大径化したのに対し、250はベースモデルと同じ前後17インチホイールを選択しました。
アドベンチャーモデルは、舗装路だけでなくダート走行も想定していることから、路面の凸凹を乗り越えやすい大径ホイールが採用されることが多く、サイズが大きくなるほど未舗装路走行がしやすくなると考えてよいでしょう。SXは、まさにアドベンチャーモデルのセオリーに則ったもので、250よりも悪路走破性は高いと言えます。
これに対して250のホイールは前後17インチ、しかもオンロードモデルと同じタイヤ銘柄が採用されています。よって、SXほど未舗装路の移動を得意としませんが、ハンドリングがオンロードモデルに似ていることから、ネイキッドなどから乗り換えても違和感が少ないというメリットがあります。加えて、ライディングポジションもネイキッドに近く、なじみやすいというのも無視できない要素でしょう。
細かな装備にも違いあり 利便性を大きく左右する
SXは、ボタンを1クリックするだけでエンジンが始動するスズキイージースタートシステムをはじめ、瞬間燃費計、LEDヘッドライトを採用しています。これに対して250は、ブレーキレバーの調整機構、センタースタンド、サイドケースアタッチメントを備えています。
また、両車ともメーターパネルの左横に電源ソケットを備えているのですが、SXは今どきのUSB(5V 2Aまで)なのに対し、250は昔ながらのシガーソケット(12V 36Wまで)となっています。
以上の装備は、あとから追加したり変更できるものもありますが、車両購入後の出費を抑えたいのであれば、こうした部分もチェックしておいた方がよいでしょう。なお、250の方が長く販売されているので、カスタマイズパーツが豊富にそろっている点も見逃せません。
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シート高が分岐点になる可能性も
ここまでエンジンやホイール径、装備について説明してきましたが、やはりバイクを購入する上で大きな要素となるのが足着き性です。シート高はSXが835mm、250が800mmとなっており、その差は35mmもあります。
バイクはライダーがまたがるとサスペンションが沈み込むので、シート高はあくまでも目安なのですが、身長175cmの筆者がSXにまたがると、両かかとがわずかに地面から浮きます。
一方、250は両かかとが楽に接地し、しかも膝がわずかに曲がるほどの余裕があるので、その差は歴然です。なお、両車とも座面が低くなるローシートが純正アクセサリーで用意されているので、足着き性が厳しい方はそちらを試してみることをおすすめします。
また、車重も無視できません。250ccクラスは、ビギナーでも取り回せるぐらいの車重に抑えられたモデルが多いのですが、250は191kgとやや重く、駐輪場の押し引きで意外と苦労します。一方SXは27kgも軽い164kgなので、250から乗り換えるとあまりの軽快感に驚くでしょう。
価格差は7万7000円 どちらを選んでも間違いなし
個人的には、油冷単気筒の張りのあるスロットルレスポンスと、アドベンチャーモデルらしい大らかなハンドリングにより、イチ推しはSX! なのですが、250の穏やかなエンジンフィールをはじめ、ツーリングバイクとしての完成度の高さも捨てがたく、スズキがあえて併売という策に出たのも分かる気がします。
価格差は7万7000円と決して小さくはないのですが、どちらを選んだとしてもバイクライフを豊かにしてくれることは間違いありません!
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