【FPが解説】そろそろ準備したい「暖房器具」エアコン、ヒーター、こたつ……主な暖房器具の中で一番お得なのはどれ？ 暖房器具の電気代ランキング【2025年版】（1/3 ページ）
今回は、代表的な暖房器具の電気代を比較し、どれがもっともお得に使えるのかをランキングにして紹介します。さらに、電気代を節約できる暖房の使い方のコツもあわせてご紹介！ 家計にやさしく、快適に冬を乗り切りましょう。
肌寒くなってきました。そろそろ暖房器具を使い始めた人もいるでしょう。手軽さが人気の電気暖房にはさまざまな種類があり、どれを選ぶかによって暖房能力や電気代が大きく変わります。できるだけ電気代を抑えたいと思うのは、誰もが同じですよね。
そこで今回は、代表的な電気暖房器具のランニングコストを比較し、どれがもっともお得に使えるのかをランキングにして紹介します。さらに、電気代を節約できる暖房の使い方のコツもあわせてご紹介！ 家計にやさしく、快適に冬を乗り切りましょう。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー（1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者）。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
主な暖房器具の電気代を比較
一般的によく使われている次の6つの暖房器具の電気代を求めて比較してみましょう。
- エアコン
- セラミックファンヒーター
- 電気ストーブ（カーボンヒーター・ハロゲンヒーター）
- オイルヒーター
- こたつ
- ホットカーペット
1時間あたりの電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」の1kWhあたり31円（税込）を用いて計算します。
エアコン
エアコンは使い始めが一番電力を消費し、設定温度に達した後は消費電力を抑えられます。部屋全体を暖めるのに適しています。
- 消費電力：792W（10畳タイプ 平均値）
- 1時間当たりの電気代：24.6円
セラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターは、熱源から発生した暖かい空気をファンで送り出す仕組みのヒーターです。狭い範囲をすぐに暖めることができます。軽量でコンパクトな製品が多く、持ち運びが可能です。
- 消費電力：1000W（標準）
- 1時間当たりの電気代：31円
電気ストーブ
電気ストーブは、電気で熱を発生させて、器具の前面を中心に暖めます。熱源の種類によって、カーボンヒーターやハロゲンヒーターなどがあります。部屋の一部をすぐに暖めたいときに便利です。
- 消費電力：800W（強）／400W（弱）
- 1時間当たりの電気代：24.8円（強）／12.4円（弱）
オイルヒーター
オイルヒーターは、フィンと呼ばれるオイルが入った放熱板を温めることで、周りの空気を暖める仕組みの暖房器具です。部屋全体を暖めるには時間がかかりますが、温度ムラができにくく、風を出さないため部屋が乾燥しない点がメリットです。
- 消費電力：1200W（3段階1200/700/500W）
- 1時間当たりの電気代：37.2円（1200Wで使った場合）
こたつ
こたつは、下半身を暖める日本独自の暖房器具。インテリアとしての役割もあります。部屋全体を暖めることはできないので、他の暖房器具と組み合わせて使うのに適しています。
- 消費電力：300W
- 標準消費電力量（1時間あたり）：約160wh（強）、約80wh（弱）
- 1時間当たりの電気代：5.0円（強）、2.5円（弱）
ホットカーペット
ホットカーペットは、カーペットに織り込まれた電熱線によって、カーペット自体を暖めます。部屋全体を暖めることはできないので、エアコンなどの他の暖房器具と併用するとよいでしょう。
- 消費電力：490W（2畳相当）
- 1時間当たりの電気代：約10.4円（高）、約7.1円（中）
電気代が安い暖房器具ランキング
主な暖房器具の電気代が安い順にランキングにしてみました。
暖房器具はメーカーや機種、運転モードなどによって消費電力が異なるため、ここで紹介する電気代はあくまで目安となります。また、それぞれに暖房能力や得意な使い方が違うため、電気代だけで優劣を判断するのは難しい部分もあります。
とはいえ、このランキングを見ることで、おおよその傾向をつかむことができるでしょう。
用途に合わせて使い分けるのがカギ
エアコンは部屋全体を暖めることができますが、暖まるまでに時間がかかります。一方、スポット暖房として使えるファンヒーターや電気ストーブは、すぐに暖まりますが、部屋全体を暖めるには不向きです。
朝の着替え時など、短時間で局所的に暖めたいときはヒーター、リビングで長く過ごすときはエアコンというように、シーンに合わせて暖房器具を使い分けることで、無駄な電気代を抑えられます。
このように、その暖房器具が得意とする場所で使う「適材適所」を心がけることが節約につながります。
暖房費節約のコツ
電気代を節約できる暖房器具の使い方のコツをご紹介します。
エアコンのフィルターを掃除する
フィルターが目詰まりしているエアコンと、掃除したエアコンとの電気代を比較すると、フィルターを掃除したエアコンの方が年間990円ほどの節約になります。
フィルターは月に1回か2回掃除をしましょう（出典：資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」）。
暖房器具を組み合わせる
エアコンとこたつ、エアコンとホットカーペットなど、エアコンと電気代が安めの暖房器具を組み合わせることで、エアコンの設定温度を下げたり、稼働時間を減らしたりすることができます。
エアコンの設定温度を1度下げるだけで、消費電力量を10％削減できるという試算があります（出典：環境省「エアコンの使い方について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査」）。
厚手の靴下を履く、ひざ掛けを使う、湯たんぽを足元に置くなど、電気を使わない方法で足元を暖かくすれば、さらに節電につながります。
エアコンの風向きは下＆サーキュレーターで空気を循環
冷たい空気は部屋の下の方にたまりやすく、暖かい空気は天井付近にたまりやすいという性質があるため、部屋全体を暖めるには「風向きの設定を下」にするとよいでしょう。
下向きにしても温度ムラができる場合は、サーキュレーターで空気を循環させましょう。エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、上向きに風を送ると、天井付近にたまった暖かい空気が循環して温度ムラをなくすことができます。
一般的なサーキュレーターの消費電力は25W程度。1時間あたり約0.78円です。
外気温が3度より低い場合、エアコンはつけっぱなし
外気温が低い場合、エアコンを停止すると室温が大きく下がり、設定温度に戻すために多くのパワーが必要になります。
外気温が3度よりも低い場合は、つけっぱなし運転がお得。3度以上の場合は、こまめに消す運転がお得であるとのシミュレーション結果があります（出典：パナソニック調べ。室内温度24度、暖房温度設定24度、電気代27円/kWhでのシミュレーション結果）。
東京の場合はここ数年、冬場の平均気温が3度を下回ることはないので、こまめに消す運転の方がお得なケースが多いと言えます。
ホットカーペットの下に断熱マットを敷く
ホットカーペットを床にじかに敷くと、熱が床に逃げて暖房効率が下がります。ホットカーペットの下に断熱マットを敷くと暖房効率が上がって、設定温度を控えめにしても十分に温めることができるでしょう。
また、分割して温められるホットカーペットなら、人がいない部分の電気を切ることでさらに電気代を節約できます。
厚手のカーテンに変える
暖気は窓から逃げていくため、カーテンを閉めると暖房効率が上がります。カーテンは厚手のものや床まで届く長いものが効果的です。カーテン以外にも、窓に断熱シートを貼ったり、断熱ボードを窓の下半分に立てかけたりすることでも、暖房効率を上げることができます。
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