■いちばん近道なLinuxマスター術
ネットワークは常時正常に動作していることが求められる。そのためには,構築後にも放置せず定期的にメンテナンスする必要がある。日々管理を行うための具体的な方法としては,サーバが書き出すログ情報を見たり,セキュリティホールを埋めるパッチを当てたりと,きめ細やかな配慮が必要だ。
しかしこれらの作業だけでなく,ハードウェアや回線のトラブルがなく,ネットワークに接続されている機器類が正常に動作しているのかどうかを調べることも,安定した動作を保つのに欠かせないことだ。このようなネットワーク機器の監視を行う場合に便利なのが,「SNMP(Simple Network Management Protocol)」の利用である。本稿では,SNMPを使い,MRTGと組み合わせてネットワークモニタリングを行う方法を解説しよう。 |
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本稿はOSとして,Red Hat Linux 6.2日本語版を想定する。しかしRed Hat Linux 6.2に依存する部分はほとんどないので,ほぼ同等な方法で他のディストリビューションやLinux以外のUNIX系のOSにも適用できるはずだ。
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SNMPとは,ネットワークに接続された機器類をネットワーク経由で監視するためのプロトコルだ。このプロトコルはRFC1157で定義されている。
SNMPに対応する機器類には,その機器の情報を保持するための「管理情報領域」と呼ばれる領域が用意されている。たとえばルーターであれば,そのルーターを流れたデータのバイト数,ネットワークプリンタであれば,プリンタのステータス,用紙情報,トナー残量などが管理情報領域に格納されている。管理情報領域にどのような情報が保存されているのかは,機器によって異なる。
SNMPに対応する機器内には,ネットワークを通じて管理情報領域にアクセスするためのインタフェースが用意される。このインタフェースは「SNMPエージェント」と呼ばれる。SNMPエージェントはUDPを使ってネットワーク通信するモジュールだ。
SNMPに対応する機器――つまりSNMPエージェントが搭載された機器――の情報を得るには,サーバーやクライアントなどのホストに「SNMPマネージャ」と呼ばれるソフトをインストールする。SNMPマネージャは,SNMPエージェントと通信し,SNMPに対応する機器類内にある管理情報領域の情報を,取得したり設定する機能を持つ。つまりネットワーク管理者は,SNMPマネージャを使うことで,ネットワーク上に配置されたネットワーク機器の情報を1か所で管理できるようになる(Fig.1)。